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収集費用/世帯(月額・円)
では組合分担金における負担配分の課題、市町合併では、ごみ処理施設のみに限 らず、公共サービス全般で協議が必要な合併の課題と考えられ、移行期の特殊要 因とすれば、必ずしも考慮する必要はないだろう。
図3−2をみると、組合への移行(または市町合併)によって、竹富町では、
組合①と組合②の両ケースとも、費用をより多くの世帯で負担するため、1世帯 当たり収集費用は低下する。1世帯当たり焼却・埋立等費用でも世帯数増加の効 果が働くものの、小型焼却施設も維持する組合②ケースの方が、現状と組合①ケ ースのいずれよりも費用がかかる。そして、石垣市では、組合①と組合②の両ケ ースとも、竹富町と同様に、費用をより多くの世帯で負担するものの、1世帯当 たり収集費用は、海上輸送費用の負担が及ぶために現状より上昇する。しかし、
1世帯当たり焼却・埋立等費用は、世帯数増加の効果が働き、両ケースで現状よ り低下することが分かる。
その結果、1世帯当たり収集と焼却・埋立等の費用合計では、表3−4の通り、
竹富町単独で2,661円、石垣市単独で1,990円だった負担は、組合①ケースで2,092 円、組合②ケースで1,948円まで低下する。組合への移行(または市町合併)に よって、1世帯当たり処理費用全体でみれば、竹富町でより大きい縮減効果がみ
られ、それでも石垣市の費用負担への影響は小さく、効率性向上を実現すること は十分に可能である。
4.3.沖縄本島遠方離島の検討②:宮古島市における広域化と効率性
5市町村が合併した宮古島市では、合併以前の2002年12月より伊良部町の生 活系ごみを海上輸送して宮古島内で処理している。そこで、2002年12月以前の 2001年の伊良部町と現在の伊良部地区を比較して、単独処理から共同処理への 移行が費用をどのように変化させたかをみたのが図3−3である。
図3−3をみると、伊良部地区の1世帯当たり収集費用、焼却・埋立等費用は、
海上輸送を伴うものの、伊良部町単独より大きく低下しているのが分かる。合併 後の伊良部地区のみの1世帯当たり収集費用(海上輸送費用含む)も大きく低下 した。収集費用と焼却・埋立等費用をより多くの世帯で負担でき、規模の経済が 働いた結果と考えることができる。直面する地理的条件が八重山地域と異なると はいえ、宮古島市の事例をみても、離島を含めてごみ処理サービスを広域化し、
効率性を高められる可能性は高い。
図3−3 市町村合併による広域化・大規模化の効果
2,5鰯
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搬一丁…門一ザ・ト…η一一町一n一打十丁η一H
響 2螂 4⑰優 5鋤 8◎◎
取集菅扁/世帯(月額・円)
5.むすび
地域ごとに地理的な条件といった特性は様々であり、民間活力の導入や広域的 な生産を行う余地やその効果もまた、地域ごとに異なっている。全国的に有効な 政策であっても、地域ごとに最大の効果を引き出すには、地域特性に応じた政策 立案は欠かせない。沖縄をはじめとする島換地域では、いまや財政移転を求める 前に、離島が点在するといった地理的制約に合った政策をいかに展開し、地方公 共サービスを「最少の費用で最大の効果」をあげるように生産するのかが問われ
ている。
本章では、ごみ処理サービスに関して、離島を抱える地方団体の全国的な生産 及び費用構造を捉えるために、地理的条件の影響や離島の非効率性を考慮に入れ た費用関数を推定した。その上で、その他の地域に比べて顕著な地域特性をもつ 沖縄地域におけるごみ処理サービスの生産及び費用構造と、広域化の有効性と効 率性向上の可能性を、沖縄地域のヒアリング調査と提供資料から検証した。
その結果、次のような点が明らかになった。
費用関数の推定では、第1に、ごみ収集・運搬に地理的な条件が影響する程度 を示す「可住地面積比率」が高いほど「1人当たり処理及び維持管理費」が低下 する。第2に、各地方団体における離島のウェイトを表す「離島人口比率」が高 いほど「1人当たり処理及び維持管理費」は上昇する。離島においては小規模な 焼却炉の運転管理や、それとは逆に、人口規模に見合わない大規模な処理施設の 整備といった非効率性が存在しており、広域化・大規模化で効率性が高まる可能 性は高いだろう。
そして、ヒアリング調査に基づく事例研究では、第1に、竹富町以外の調査対 象地方団体では、関西圏に比べて収集費用が低水準だった。これは、費用関数の 推定でも全国的な民間委託の有効性を示したが、その他の地域に比べて進んでい る民間委託が大きな要因である。民間活力の導入によって、沖縄の低い労働コス トが収集委託料の低廉化に反映されている。第2に、海上輸送費用に関して、モ デルケースに基づく仮想計算の結果、沖縄本島および沖縄本島近接離島では、お おむね低コストと判断できる。また、ごみの種類が同じなら、沖縄本島遠方離島 と、沖縄本島及び沖縄本島近接離島で費用はさほど変わらない。第3に、石垣市 と宮古島市の処理形態や収集・焼却埋立等の費用は、沖縄本島の地方団体と大き
な差は見られない。しかし、竹富町は、海上輸送を伴う大規模で特殊なごみ処理 形態によって費用がかさんでいる。
さらに、離島を含む広域化と効率性向上の可能性に関する検証では、第1に、
沖縄本島近接離島において、r海上輸送を伴う組合処理」とr単独処理」との比 較では、「海上輸送を伴う組合処理」によって海上輸送を積極的に活用し、沖縄 本島に近接する利点を活かしたごみ処理の広域化による効率性向上が十分に可能 である。第2に、沖縄本島遠方離島において、石垣市と竹富町が共同処理(組合 化や市町合併)する方式に移行すれば、竹富町でより大きな費用縮減効果がみら れ、それでも石垣市の費用負担への影響は小さい。さらに、宮古島市域内におけ る伊良部地区(旧伊良部町)での単独処理から海上輸送を活かした共同処理への 移行効果の検証では、処理費用が大きく低下していることが確認できる。沖縄本 島遠方離島でも、ごみ処理サービスの広域化・大規模化によって効率性を高めら れる可能性は高い。
なお、本章の検証で、次のような課題は残されている。第1に、沖縄地域にお いて、沖縄本島からの距離や離島の特性に応じて、どの程度まで広域化・大規模 化が可能がは十分には分かっていない。第2に、ごみ処理サービスのアウトカム としての効果と費用を比較する形での検証は行っていない。こうした課題の検証 には、より高度な数量分析も行った上での多角的な検証が必要になるだろう。
第4章 白治体病院における経営効率の検証
1.問題の所在と本章の構成
地方公営企業法第3条には、経営の基本原則としてr地方公営企業は、常に企 業の経済性を発揮するとともに、その本来の目的である公共の福祉を増進するよ
うに運営されなければならない」と定められている。このことは、公共サービス を提供する地方公営企業が民間企業と全く同等ではないとしても、一般会計等で 負担すべき事業以外の部分は独立採算を中心に企業的な経営で財政規律を確保 し、公共サービスの安定的な供給を通じて「最少の経費で最大の効果」を実現す べきことを意味している。
しかしながら、民間医療機関による提供がそもそも困難な地域や部門の医療を 自治体病院が担っているという地方も多く、企業の経済性と公共の福祉増進との 両立は容易なことではない。2008年度には、自治体病院の70.9%で経常損失、69.7%
で純損失が生じており、2004年度と比べていずれも約6%ポイント上昇して、慢 性的な赤字経営の病院は増加傾向にある。近年では、以前から可能な病院の①再 編・統合、②廃止、③診療所化、④民間譲渡に加えて、⑤地方公営企業(全部適 用)1〕、⑥地方独立行政法人(公務員型、非公務員型)、⑦指定管理者制度への 移行といった新たな経営形態を選択する地方団体も出始め、地域の医療体制を支
える自治体病院の赤字体質をいかにして改善するかが間われている。
本章の目的は、地方独立行政法人化病院等を含む全国の自治体病院(一般病院)
836病院の経営効率を包絡分析法(DataEnve1opmentAna1ysis:DEA)を用いて相対 的に評価し、その上で、どのような要因に経営効率が左右されるのかを検証する ことである。この検証によって、複数のインプットから複数のアウトプットを生
1)病院事業は採算性が低く、地方団体の保健衛生や民生行政など一般行政との関わりが密接 であるなどの理由で、地方公営企業法の財務規定等が当然に適用されるものの、組織や職員に 関わる規定は当然には適用されない(一部適用)。ただし、条例で財務規定等を除く地方公営 企業法の規定を全て適用することが可能で、これを行えば、地方公営企業法が定める財務・組 織・職員の身分取扱の規定すべてが適用されていることになり、地方公営企業法(全部適用)
と呼ばれる。