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色素増感太陽電池の製作

3. 実験装置及び方法

3.2 実験方法

3.2.3 色素増感太陽電池の製作

誘電体バリア放電による表面処理の効果を調べるため、色素増感太陽電池を製作し、I-V 特性の測定を行った。表面処理は、①導電性ガラスの導電膜のみ、および②TiO2薄膜のみ とした。色素増感太陽電池の製作手順を以下に示す。

(1) TiO2ペースト製作

乳鉢に、TiO2粉末(平均一次粒径21 nm)を1 gと、酢酸(pH3)を3 ml入れ、10分間かき 混ぜた。TiO2の塊が残ると、導電性ガラスへのペースト塗布時に均一な塗布が難しくなる ため、すり潰すように行った。

(2) TiO2ペーストの塗布

TiO2ペーストの塗布は、スキージ法を用いた。スキージ法は図3.2.4に示すように、

ガラス棒をスライドさせることで、ペーストを薄く伸ばす方法である。

まず、導電性ガラスを両面テープで固定する。次に、マスキングを行うため、導電性ガ ラス両端に、厚さ0.058 mm の住友スリーエム製のスコッチテープを貼る。テープは、導 電性ガラス中央部が10 mmになるように、端面から約7.5 mmで両端を覆った。

導電性ガラス表面上にTiO2ペーストを塗布し、ガラス棒を2往復スライドさせて、薄膜 状にする。注意点として、スコッチテープの端面が痛みやすく破けることがあるので、押 しつけすぎないようにする。また、速やかに乾燥及び焼成を行わない場合は、自然乾燥を 防ぐため密閉容器内に保存する。

図3.2.4 スキージ法によるTiO2ペーストの塗布

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(3) TiO2薄膜の乾燥及び焼成

導電性ガラス表面上にTiO2ペーストを塗布してできた、薄膜を乾燥及び焼成させる。こ れらの工程は、ホットプレートによる加熱を利用した。図3.2.5に、使用したホットプレー ト(IKA製:HP4)の外観、表3.2.3に仕様を示す。

まず、薄膜が自然乾燥による割れを防止するため、加熱による乾燥を行った。ホットプ レートを100 ℃に設定して、30分間保温してから導電性ガラスをプレート上に乗せ、1分 間乾燥させた。乾燥後、ホットプレートのダイヤルを「0」にして、20分間自然冷却を行っ た。

次に、導電性ガラスをプレート上から取り除き、TiO2薄膜の焼成を行うため、ホットプ レートを500 ℃に設定して、30分間加熱させる。乾燥時と同様に、導電性ガラスをプレー トに置き、10分間焼成を行った。焼成から数十秒~約2分の間にTiO2薄膜表面の一部が薄 茶色に変色し、約4分後までには白色に戻る反応が発生した。焼成後、再びダイヤルを「0」

に戻し、30分間自然乾燥を行った。

図3.2.6に、これらの工程のシーケンスを示す。また、図3.2.7に焼成したTiO2薄膜を

示す。

表3.2.3 ホットプレートの仕様

図3.2.5 ホットプレート

図3.2.6 TiO2の乾燥及び焼成のシーケンス

加熱最低温度[℃] 50 加熱最高温度[℃] 500

温度精度[℃] ±10

プレート寸法[mm] 100×100

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図 3.2.7 焼成後のTiO2薄膜

(4) 色素の吸着

TiO2薄膜を色素溶液(3.0 × 10−3 M)に 6時間浸漬して色素を吸着させた(図 3.2.8参照)。

色素はN749 black dye(分子量:1364.98)で、エタノール溶液として使用した。色素の仕様

を表3.2.4に示す。浸漬処理後のTiO2薄膜を図3.2.9に示す。

表3.2.4 色素(N749 black dye)の仕様[16]

図3.2.8 TiO2薄膜の浸漬処理

図3.2.9 漬処処理後のTiO2薄膜

分子式 C69H116N9O9RuS3

分子量 1364.98

純度[%] 85

色 暗緑色

光 吸 収 範 囲 [nm]

615, 415, 341, 329 (0.02mM エタノール中)

31 (5) 触媒層(対極)の製作

触媒層として、炭素を使用した。図3.2.10のように、TiO2薄膜側の対極となる導電性 ガラスの表面を炭素棒でこすり、隙間なく塗った。

図3.2.10 触媒層の製作

(6) 色素増感太陽電池の製作

色素増感太陽電池の製作を図3.2.11に示す。まず、図3.2.11(a)のように、TiO2薄膜上に ヨウ素電解溶液を一滴だけ滴下した。

次に、触媒層側の導電性ガラスをすぐにTiO2薄膜側に重ね、ヨウ素電解溶液を広範囲に 行きわたらせた。みの虫クリップ(端子)を取り付けるため、図3.2.11(b)の通り、光電極と対 向電極を少しずらして重ねるようにする。

また、図3.2.11(b)のように、受光面積を一定にするため、100 mm2(10 mm×10 mm)の正

方形の穴のあるゴムシートでマスキングした。触媒層側も同様に、穴のないゴムシートで マスキングして、クリップで両端を固定した。

(a) ヨウ素電解溶液の滴下と本体の組み立て (b) 受光部のマスキング

図3.2.11 色素増感太陽電池の組み立て

32 (7) 色素増感太陽電池の完成

製作した色素増感太陽電池を、図3.2.12に示す。I-V特性測定時は、導電膜及び触媒層に みの虫クリップを取り付けて測定回路とつないだ。

図3.2.12 色素増感太陽電池(完成品)

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