2−0 はじめに
以下のページではまず舞台について、(1)
限定された閉鎖空間(2)旅路(3)小規模の 集落(4)町の4つに分類し,その特徴につい て整理した後、具体的な舞台の個々について解 説,考察し,その後、その舞台で行われるシナ リオの具体的なアイデアについて紹介してい く。
シナリオにおいて舞台という要素が重要に なるのは,舞台がPCに動機をあたえるものだ からである。何故このPCはここにきたのか?
という事の説明,これがある意味ではシナリオ の3 分の1 を占める。それゆえに、ある意味 では複数のPCを一堂に集める事ができ、なお かつ活躍しやすい舞台の選定をするだけでシ ナリオとなる,とも言えるだろう。
なお、もちろん舞台が複数に分かれるケース というものもあるが,そのような場合メインの 舞台はどこか?と考えて読んでいただきたい。
2−1 限定された閉鎖空間
ここでいう限定された閉鎖空間とは,シナリ オのメイン舞台が一つの建物の内部であるも のを指す。例えば山小屋,館、塔、遺跡等であ る。
考えれば分かるとおり,このシナリオパター ンは最もマスター負担が軽いものだ。PCたち をその場所に集めるだけでとりあえずシナリ オの形になるからである。PCの設定による裏 づけが加えられたのであれば、例えば、魔道師 なり魔族の下僕なりの棲む洞窟に迷い込むと いうだけで、それは立派なシナリオである。
このタイプの舞台を用いたシナリオの場合,
PCの動機は3つに大別される。1・自分から
やってくる、2・導かれ訪れる、3・たまたま 迷い込む、である。もちろん、全PCの動機が 一致している必要は全く無い。
2−2 限定された閉鎖空間(1) 山小屋
整備された街道であれば,ある一定区間ごと に旅人が訪れる小屋が用意されているものだ。
あるいは廃屋やほこらが雨宿りに使われるこ ともあるだろう。このパートはこの種の、旅人 が利用する無人の小規模な建造物がメインの 舞台となるシナリオパターンについて解説す る。なお、冒険する余地のある広さを有する舞 台、例えば遺跡跡,廃城、寂れた屋敷等は別パ ートで解説を行う。
この舞台を用いたシナリオパターンは少な い。その舞台にPC達が集まった事そのものが シナリオであるか,PC達が集まった後おもむ ろにシナリオの事件が起きるかの2択である。
むしろ通常の場合は、たまたま立ち寄った旅人 同士としてPC達を出会わせる、物語の始まり の地としての役割が、小屋という舞台装置の重 要な側面であろう。基本セット語り部の書所収 の落雷、多彩の騎士のオープニングが参考にな るだろう。
(1)「PC達が集まる」
PC達が集まる事そのものがネタである。持 っている運命によっては一同に会しただけで おもむろに戦闘が始まってしまうような組み 合わせもあるだろう。このシナリオパターンは そういったシチュエーションを想定している。
さすがにこのパターンのシナリオはヴァリ エーションが少ない。というのも通常の場合お もむろに始まった戦闘がきっかけで、何か別の 事件が起きるという展開に持っていくのが普 通だからである。このネタで面白くするには三 つ巴、四つ巴の錯綜した状況を作り,お互いが
動けない3すくみ状態を作ることが良いので はないかと思う。単純に誰かVS誰かではあま りにも浅いからである。
参考シナリオ:落雷(基本ルール所収)
(→43)
(2) 「襲撃から逃れる」
PC達が立ち寄った小屋に妖魔等の襲撃があ り、それから脱出するというシナリオパターン である。このシナリオパターンは基本的にはも う少し規模の大きい館・村といった舞台のほう が向いている。
2−2 限定された閉鎖空間(2) 民家・館
2−1で扱った小屋が無人の建造物に対し、
人の生活している建造物をこのパートでは扱 う。館、宿屋等がこれにあたる。一般の民家は 規模の問題からシナリオのメイン舞台になる ことはあまりない。PC全員が宿泊することが 可能であるぐらいの大きさが、シナリオの舞台 には必要になるからである。
言うまでもなくこの種の舞台の焦点は、そこ に暮らす住民である。PC達は住人たちを訪ね、
あるいは招かれて一堂に会し、物語が始まるの である。館であれば魔道師や豪商、貴族・騎士 が館の主人であり、物語のキーパーソンであろ う。また、宿屋であればそこの主人や女将さん、
あるいは宿泊客の背景がシナリオを開始させ るのだ。
(1) 「訪れた宿屋で・・・」(→2)
PC達を集めシナリオを開始させるもっとも 簡単なシチュエーションは、街道沿いの宿屋に PCを集め、そこでおもむろに事件を起こすと いう手法である。
何者かの襲撃を受ける、宿屋の住人たちの事 情にかかわる等、さまざまな状況が考えられる だろう。ちなみに、この手法は都市部の宿屋に は向かない、事態の収拾がPCの手を離れ、官 憲に委ねられてしまいかねないからである。
また、宿屋は、ワケ有りのNPCが駆け込ん でくる(→9)、口入れ屋から仕事を受ける(→
7)等シナリオの発端としても使用しやすい場 所である。
※口入れ屋
口入れ屋とは不定期な仕事の需要に応じて 人を集める手配師のことである。深淵世界では 中原の大都市メジナに居を構える「仮面のアー ヤンテル」が有名。いわゆる「冒険者の宿」的 に使用できる。
(2) 「館(1)、魔道師の館」(→3、26、
30)
深淵において最も使いやすい舞台設定のひ とつがこの「館」である。シナリオの舞台にす る場合は、森の奥や山中といった人里はなれた 場所に設定するのが良いだろう。
この舞台が使いやすいのは、PCの行動範囲 が限定されるためシナリオの方向をコントロ ールしやすい、限定された閉鎖空間であるため PC同士が自然と知り合いになれる、等が理由 である。
シナリオの舞台に館が選ばれた場合、最も使 いやすい館の住人は魔道師であろうと思う。こ の場合魔道師の力を頼ってPCが訪ねて来る 場合と、魔道師の事情でPCが集められる場合 に大別できる。前者の例としては、病の治療の ためや、呪いを解くためといった理由が考えら れ、後者の場合は魔族の復活を計画している、
大規模な魔法の実験を行おうとしている等の 理由が考えられる。いずれにせよ、魔道師の策 謀にPCが少しずつ気づいていくというのが 基本のストーリーラインとなる。
(3) 「館(2)、怪物のすみか」(→5、2 1)
館は怪物のすみかとして、小規模なダンジョ ンのようにも利用できる。
雨宿りにたちよった 一軒家が妖魔や死霊の 住処になっていたり、魔族教団の隠れ家であっ
たり、というのが典型的なシナリオパターンで ある。
もちろん、「真紅の退魔師」や「風の公子」
あたりのPCが魔物退治に館を訪れるという シナリオ展開も面白いだろう。
(4) 「館(3)、貴族の館」(→19、33、
35)
地方の農村などは騎士位の持ち主が領主を やっていることがある、そのような人物の住む 館が舞台のシナリオだ。歴史のある古い家柄の 館に長年積もった澱おりのようなものに対峙する シナリオを扱うわけである。過去の陰惨な事件 や奇妙な風習、呪われた血筋などこの分野はシ ナリオモチーフとして興味深いものが目白押 しである。例えば、魔族の呪いを受けており時 折異形を伴った子が生まれる家系(→33)や、
代々魔族に生贄を捧げることで魔族の庇護を 受けてきた家系(→19)といったアイデアは どうだろうか。
この分野は伝奇ものホラーをやるぐらいの つもりでいたほうが扱いやすいかもしれない。
外部からの来訪者により水底に溜まった澱が 舞い上がる、そんな風なイメージでシナリオを 組んでみてほしい。
2−3 限定された閉鎖空間(3) 遺跡、廃墟、廃 屋
先史時代の遺跡や、人が住まなくなって年月 が経過した廃墟も深淵のシナリオ舞台として よく使われるものである。2−2節で扱った分 野と違い基本的に人が住まない場所が舞台で あるので、いわゆるダンジョンシナリオのよう にプレイすると良いだろう。基本ルール所収の うるわしき国、「追憶」所収の銀の魚が泳ぐこ とが参考になる。
(1)「遺跡探索」(→6、7、23)
深淵の背景世代である妖精代末期において も、先史時代の遺跡がわりとあちこちに存在す
る。そのような遺跡の探索を行うシナリオタイ プをこの節では扱う。
深淵で遺跡を舞台にしたシナリオを組む場 合、最初に問題になるのは動機付けである。一 般系のテンプレート、例えば農夫や踊り子がわ ざわざ好き好んで遺跡に行こうとするとは思 えない。追憶のシナリオのようにやむをえない 事情を作り出すか(→6)、「封印の破壊者」や 解かざるをえない類の運命を持たせ無理やり 理由をつけるか、いっそ最初から戦闘/探索能 力の高いテンプレートのみ使用するよう制限 をかけるか、いずれかの手段を講じる必要が出 てくる。
導入も、「依頼されて遺跡探索に向かう」パ ターンが基本となる。それ以外の導入パターン は運命を用いたものが中心になる、例えば「幻 視」で繰り返し遺跡の夢を見るとか、「過去に かかわる疑念」で何故だかわからないが遺跡で 寝ているところを他のPCに発見されるか「風 の子供」で飛んでくるかである。
一旦遺跡に向かわせてしまえば、深淵の世界 には妖魔や魔族の封印等魅力的な素材は豊富 にある。それらを用いれば魅力的なシナリオは いくらでも組めるだろうと思う。
(2) 「廃墟、廃屋」(→4、20、27、
37)
遺跡と廃屋の違いは過去にそこに暮らして いた住人がいたかどうかである。特に疫病や妖 魔の襲撃によって滅んだ村の場合、そのときの 住人たちの怨念が今も残っているだろう。過去 に遭った事件を中心にシナリオを組み立てる と良いと思う。
典型的なシナリオパターンとしては、当時の 住民やその関係者が故郷を訪れるといったも のになるだろう。
また、かつて人が生活していた廃屋も舞台と しては魅力的なものである。打ち捨てられた獣 師の館や、滅んでしまった魔族信仰の拠点など はシナリオのアイデアに事欠かない。