第 5 章 プロジェクトの評価
4. DRBFC と IGE が ケースス タディを
5.6 自立発展性
プロジェクトの自立発展性を、自立発展に必要な要素が整備されつつあるかを中心に考察すると以 下の通りとなる。
【プロジェクトの自立発展性】
(1) 制度的側面
(政策的支援、スタッフの配置・定着 状況、類似組織との連携、運営管理 能力等の観点から記述)
a) 「東ティ」国の政策としても、道路状況の改善、維持管理事業の必要性を痛感して いる。 道路事業のための国家予算も増加している。
b) 「東ティ」国の道路事業を一手に引き受けている道路・橋梁・治水部(DRBFC)の 年度予算も増加しており、確実に「東ティ」国の道路事業に対する態度の進歩が 伺える。
c) DRBFC の職員数には「東ティ」国の全道路(幹線道路:約 1,400 km. 地方道路も 含めた全道路の総距離:約 6,000 km)を管理・運営していくには限りがある(事務 職員、運転手等を含めて約 100 人)。
d) 人員を増やすには、それなりの制度・体制・業務量等の整備が必要となるので、急 激に人数を増やせば改善される訳ではないが、徐々に体制を整えて人数を増加 させていくことは必要である。
e) DRBFC は出来るだけ民間を活用した方法での対処を考慮しているが、「東ティ」
国の民間コンサルタント・建設業者の力量を考慮するにインドネシア他に業務が流 れ、「東ティ」国自身の職員・技術者の能力向上には繋がらない恐れもある。 民 間に任せるにしてもそれなりの計画・設計・調達・施工管理・施工検査の必要はあ るので、職員の更なる能力向上は求められるところである。
f) IGE は将来に公社として独立することが求められているが、公社として財政的、技 術的に独立するには組織としての体制も職員の能力も未熟であり、更なる組織力 の強化と職員の能力の向上が必要である。
g) 建機が不足している「東ティ」国では日本より譲渡された建機類は道路維持管理を 含む各地のインフラ整備に引っ張りだこの状態にある。 CBRM の技術支援により IGE の維持管理技術も向上し、建機も十分に活用されているが、日本より譲渡され た建機は製造後 5 年を経過しており、建機の寿命を考慮した場合、どのように IGE を発展させていくかは今後の重要な課題である。
h) 建機管理能力、メカニック、オペレータの能力は CBRM 活動により確実に向上して いるが、IGE を今後どのように発展させていくか等に関しては、「東ティ」国自身内 でもはっきりと確立されていない状況が伺える。
i) 政府上層部による職権乱用とも思われる機材の貸し出し要求や機材の維持管理 に不可欠な経費の負担等の機材の使用法に関する問題の対策としては、ケース スタディや技術移転セミナー等を通して機材の使用者側の協力と理解を広める活 動を実施しており、06/07 年度より、部品調達の予算が計上されるようになった等 の効果も出てきている。
(2) 財政的側面
(必要経費の資金源、公的補助の有 無、自主財源、経理処理状況等の観 点から記述)
‐ DRBFC の予算は増加しており、道路事業は今後の「東ティ」国の公共事業の柱と なる。 未だ国道とは名ばかりの道路もある。 「東ティ」国政府は政治的理由もあ るものの山間部と幹線道路(国道)を繋げる地域道路の改良工事に力点を置いて いる部分もある。
‐ 幹線道路(国道)の整備は海外の援助機関が主に今まで実施してきているので、
海外の援助機関の動向に任せている部分も多い。 しかしながら、海外の援助機 関により改修された道路の維持管理業務は「東ティ」国自身の手により実施される べきものである。
‐ 今後は増加している国家の道路事業予算を、限られた人員によりどのようにして実 施していくかに重点を置いての協力も求められる。 また、施工管理に比較して、
DRBFC 技術者は設計・計画に弱点が見られるので、その部分への協力も必要と なる。
‐ IGE の管理部門は組織的に未だ若いということもあり、管理面で弱い部分も見受け られる。 重機・メカニック・オペレータを抱えて、いかにして IGE を管理・運営して いくかに関しての、財政面も含めての更なる協力も必要である。
(3) 技術的側面
(移転された技術の定着状況、施設・
機材の保守管理状況、現地の技術的 ニーズとの合致状況等の観点から記 述)
‐ CBRM 活動により定着を図っている道路維持管理台帳は DRBFC 内にて定着しつ つあり、彼ら自身での更新も実施していくことが期待できる。
‐ 台帳のデータベースの活用には、更新作業を通してのデータの再入力のための 道路状況調査が大事なものである。 状況調査活動、データベースへの入力が毎 年、DRBFC により定期的・恒常的に実施される必要がある。 技術的な問題点は ない。
‐ インドネシア統治時代の経験により、道路維持管理に関する技術的側面の概論に ついては DRBFC の各技術者は把握している様子である。 しかしながら、道路維 持管理を実施していく上での技術的な側面よりも、いかにして組織的に管理して いくかが、「東ティ」国にとっては現時点では重要な事項である。 技術的側面は 運営・管理を軌道に乗せていく上で、技術的な不足部分がクローズアップされてく るものである。
‐ CBRM の活動により、IGE のメカニック・オペレータは育っている。 技術的にはい まだ未熟な部分もあるが、IGE 建機が日本により譲渡された時点での何も判らない 集団であった時代よりも格段の進歩が見られる。
‐ 今後は IGE の更なる自立発展を目指すべく、建機の管理能力を含めての IGE の管 理能力を更に上げていく必要がある。
(4) その他 ‐ 道路維持管理事業を含めての道路事業の更なる発展は、地方とディリとの交流・
流通を増加させることになると共に、公共事業による雇用機会の増加にも繋がり、
「東ティ」国の安定にとっては欠くべからざるものである。
‐ 道路事業の予算も増加していることにより、予算の適正な使用を組織的に実施し ていくためには更なる協力が必要とされるところである。
‐ 日本より贈与された IGE の建機はほぼ 5 年を経過している。 今後、これらの建機 の老朽化に伴い、建機の不具合が生じるケースも多くなってくるものと考えられる。
IGE としてどのように今後自立していくか、IGE の建機を運営していくかは今後の 課題となってくる。