7.4.1
生態系の観測・評価・予測技術(1)生態環境モニタリングの現状156
中国では、生態環境モニタリングの展開が遅れている ことに加えて、統一された基準がないのが現状である。
また、多くの分野において国が定めた技術マニュアルは ないが、農業や海洋などの分野では比較的詳細な技術マ ニュアルがある。
環境モニタリングに関しては、都市環境や工業汚染、
環境品質のモニタリングが重視されている一方で、生態 環境モニタリングが軽視されている。中国において生態 モニタリングは主に生態汚染モニタリングに限られてお り、現有のモニタリング能力や技術、設備水準から見る と、生態汚染指標を優先する必要があるとの見方がある。
また、経済発展による生態環境への影響に関するモニタ
リングが当面の急務になっている。
中国では現在、多くの先端技術や手法が生態モニタ リングに応用されていないことに加えて、一層の開発と 実施が当面のモニタリングの重点となっている。とく に、実用性の高い生態モニタリング指標体系と方法の構 築及び生態類型モニタリング技術を進展させることが必 要となっている。
(2)生態モニタリングの発展傾向157
中国における生態モニタリングの発展方向は、以下の ようにまとめることができる。
−リモート・センシング技術と地表の監視測定技術を 統合し、マクロとミクロの両面から全面的に生態の 品質を審査・判断する。
−グローバルな生態の品質変化に配慮し、生態品質の 評価に際して現状評価からリスク評価に転換する。
−情報管理における基準化、規範化を強化し、国家間 の協力を強化する。
(3)重大研究プロジェクト
中国における生態システムモニタリング、評価、予測 技術研究分野の重大プロジェクトを第 7-4-1 表に示す。
◎第7-4-1表 生態システム研究分野の重大プロジェクト
プロジェクト(課題)名称 出所 責任者 開始時期 終了時期
中国における主要陸地の生態システム機能と生態安全 973計画 傅伯潔 2009 2013 典型地区の農地生態システムの生産能力、資源利用効率、環境品質の同時向上の管理
方法 973計画 陳利頂 2005 2010
主要農地の土壌生物多様性及び生態機能 973計画 賀記正 2007 2010
桂西丘陵地の石山総合整備と生態農業技術集成及びモデルプロジェクト 国家科技支援計画 曾馥平 2009 2011 溶岩坂地高効率農業技術とモデルプロジェクト 国家科技支援計画 ̶̶ 2008 2011 耕地の砂漠化及び塩化防止と生態建設試験またはモデルプロジェクト 国家科技支援計画 趙明 2007 2010 民勤連古城における雨水を利用する白刺類砂堆生物生態システム構築技術モデル 科学技術部 李新栄 2007 2010
熱帯天然次生林の回復技術研究 国家科技支援計画 駱土寿 2007 2010
カルスト地形における衰弱生態システム総合整備技術とモデル 国家科技支援計画 王克林 2006 2010 浅海区における典型的な高効率生態養殖技術の研究開発 国家科技支援計画 杨紅生 2007 2012 乾燥砂漠地における灌木林の成長過程モデルと生態システムのシミュレーション 863計画 趙成義 2007 2010 中国における陸地生態システムの炭素−窒素−水の関係と環境影響メカニズム 973計画 于貴瑞 2010 2014
草地生態システムの適応性管理 科学技術部 韓建国 2005 2010
北方の草地と農牧交差帯における生態システム維持と適応性管理の科学基礎 973計画 韓建国 2007 2011 草地と荒漠地の生態システム機能形成と制御メカニズム 973計画 韓建国 2009 2013 遼河平原における農地生態システムの退化過程と水肥要因メカニズム 973計画 韓建国 2009 2013 カルスト地形における生態システムの機能適切化と総合制御 973計画 王克林 2006 2011 南方紅土区における農地生態システム評価と最適化モデル 973計画 王興祥 2005 2010 地球温暖化がチベット高原生態システムの炭素循環に及ぼす影響 国家自然科学基金 黄玫 2009 2010 中国における典型的草地生態システムの水・炭素カップリング指標が気候変動に及
ぼす影響 国家自然科学基金 胡中民 2010 2012
地球温暖化が荒漠地隠花植物の多様性及びその有機複合体の生態機能に及ぼす影響 国家自然科学基金 李新栄 2009 2011 乾燥砂漠化地区の土壌−植生システム修復の生態水文学メカニズム 傑出青年基金 李新栄 2009 2011
熱帯海洋生態の研究 中国科学院
革新チーム
黄良民
銭培元 2008 2012
7.4.2
陸域管理・再生技術中国政府は近年、大規模な植樹造林を奨励するととも に、砂漠化防止策として政府の主導による緑化活動も推 進している。中国における生態システムに関する陸地管 理と再生技術の重大プロジェクトを第 7-4-2 表に示す。
7.4.3
陸水管理・再生技術環境保護部、国家発展改革委員会、水利部等は 2010 年 11 月 30 日、「重点流域における水汚染防止第 12 次 5 ヵ年 規画編制大綱」(「重点流域水汚染防治 十二五 規劃編 制大綱」)を公表した。
同大綱には、8 大重点流域の水汚染防止計画が盛り込
プロジェクト(課題)名称 出所 責任者 開始時期 終了時期
マングローブ生態システムの気候変動影響への対応 中国科学院
方向課題 王友紹 2010 2011 海洋養殖生態システムの持続可能な発展における重要生物と環境過程
中国科学院プロ ジェクトチーム 専門家経費
黄良民
鞠建華 2009 2011 西南カルスト地形における生態システムの有機炭素の累積メカニズムと固定ポテン
シャル
中国科学院重要
方向プロジェクト 蘇以栄 2009 2011 カルスト地形における生態システム分布変化と生態システム機能の最適化 中国科学院
革新チーム 王克林 2007 2010 西南カルスト地形における生態システム退化メカニズムと適応性修復試験モデルの
研究
中国科学院西部
行動計画 王克林 2007 2010 広西北部カルスト地区における人工草地生態システムの生産力と安定性についての
研究 西部の光人材育成 谭支良 2008 2011
広西北部カルスト地区における衰弱生態システム凋落傾向と肥料自給メカニズムに
ついての研究 西部の光人材育成 曾昭霞 2008 2011
珠江口及び近隣海域の環境生態修復計画 海洋と漁業重大
専門プロジェクト 黄小平 2009 2010 長白山における生物多様性保全と自然生態修復技術試験モデル 国家科技支援計画 ̶̶ 2006 2010 チベットにおける寒冷、乾燥退化生態システムの回復技術と回復モデル 科学技術部 方江平 2007 2010 長江上流生態システムの生物多様性保全機能の評価と重要性評価 ̶̶ 朱万澤 2006 2010 ジュンガル盆地南部荒漠地の生態経済機能及び生態補償についての研究 国家科技支援計画 徐海量 2008 2010
出典:中国科学院生态环境研究中心、国家生态系统观测研究网络をもとに作成
◎第7-4-2表 陸地管理と再生技術の重大プロジェクト
出典:中国科学院生态环境研究中心、国家生态系统观测研究网络をもとに作成
プロジェクト(課題)名称 出所 責任者 開始時期 終了時期
ヤチダモ林の育成核心技術についての研究とモデルプロジェクト 第11次5ヵ年規画
科学技術支援計画 王政権 2006 2010 羊河下流荒漠化の過程と水・土壌の総合作用メカニズムについての研究 973計画 劉立超 2009 2013 黄土高原水土流失総合整備プロジェクトの核心支援技術についての研究−水土保持
耕作核心技術 科学技術部 郝明徳 2006 2010
大亜湾海域における細菌成長効率の昼夜変化規律とその影響要因に関する研究 国家青年科学基金 宋星宇 2010 2012 台風前後の浮遊植物群落の構造変化とその影響構造に関する研究 国家自然科学基金 唐丹玲 2010 2012 砂嵐の運行規律とオアシス防護帯地下構造とのカップリング関係に関する研究 国家自然科学基金 杨自辉 2010 2012 半乾燥砂地地区の土壌−植生システムにおける降雨水量の配分と水量転化に関する
研究 国家自然科学基金 劉新平 2009 2011
半乾燥砂地の地下水補給機能に関する比較研究 国家自然科学基金 超銅会 2009 2011 土壌活性有機炭素の乾燥砂地植生への影響とその意義 国家自然科学基金 贾晓紅 2009 2011 騰格里沙漠砂固定植生体系における主要灌木種生態応対対策に関する研究 国家自然科学基金 趙景光 2009 2011 荒漠植物の極端乾燥に対する耐性限界と構造メカニズム及びその意義 国家自然科学基金 周海燕 2009 2011 荒漠生物土壌有機複合構造の水文学物理特性及び降水浸入と蒸発への影響 国家自然科学基金 王新平 2009 2011 山地湿性常緑広葉林寄生植物の気候変動への反応とその生物指示機能に関する研究 国家自然科学基金 劉文耀 2009 2011 オアシス及びその周辺地区の地上0〜50m砂嵐の水平流量に関する研究 国家自然科学基金 趙明 2009 2011 砂生植物形成メカニズム及び生物学意義に関する研究 国家自然科学基金 徐先英 2008 ̶̶
中国における陸地の二酸化炭素除去過程・活動・メカニズムに関する管理決策支援 システムの研究
国際協力
プロジェクト 王紹強 2010 2012
南方紅土丘陵地区における草食動物の発展 中・オーストラリア
協力プロジェクト 文石林 1989 ̶̶