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臨床検査技師の賠償事故例

ドキュメント内 本文(B5×40)0614三校責了.indd (ページ 32-38)

<事故例3:超音波検査中>

◆検査中にベッドから転落死 1,500万円で和解

 男性患者が検査中にベッドから転落し、2007年に検査翌日に死亡した事故が あり、和解金1,500万円を支払うことで男性の遺族と合意したとの病院発表が あった。

 発表によると、男性は呼吸不全などで通院中、脚のむくみを訴え、超音波検査 を受けた。臨床検査技師が男性の膝下の血流を調べるため、ベッドの上に椅子を 置いて座るよう指示したところ、立ち上がった男性はバランスを失い、ベッドの 柵を越えて転落。床に頭を打ったということであった。

<事故例4:病理組織検査>

◆組織検査ミスでがんと誤診

 公的病院で2001年1月、40代の男性患者が肺がんと誤診され、左肺の半分を 摘出されたことが分かった。組織検査の検体に誤って、別の肺がん患者の検体が 混入したのが原因だという。

 男性は摘出手術の翌月、縫合部に穴が開く合併症のため再手術を受けたが、脳 こうそくを併発し、意識不明の状態が続いている。病院側はミスを認め、すでに 患者側との示談が成立した。

 病院によると、男性はエックス線検査で肺の影を指摘され診察を受けた。内視 鏡で肺の腫瘍(しゅよう)とみられる部位の細胞片を採取して検査した結果、肺 がんと診断し、腫瘍のあった左肺の下半分を摘出したが、腫瘍は良性だった。

 同じ日に採取された別の末期がん患者の検体が、男性の検体に混入した可能性 が高いことが判明したという。

<事故例5:病理組織検査>

◆がん患者と間違い乳房切除

 2008年総合病院で、乳がん検診の受診者の検体をがん患者のものと取り違え て、がんではない女性の左乳房を全切除するミスがあった。受診者を識別するた めの番号を、臨床検査技師が誤って検体に記入したのが原因らしい。同病院は女 性に経緯を説明し、謝罪した。

 同病院によると、乳房を切除されたのは40代女性。乳がん検診を受け、触診 では異常がなかったが、マンモグラフィーや組織検査で「がんの疑いがある」と 診断。磁気共鳴画像装置(MRI)の画像もがんを疑わせるものであったため、切 除手術を受けた。

 ところが切除組織を詳しく検査して、がんではないことが判明。調べると、検 査組織を乗せるスライドに記入された識別番号が、同じ日に検査を受けた別の受 診者と入れ替わっていた。

 同病院はがんと判明した別の受診者にも謝罪し切除手術をした。術後は良好と いう。院長は、「非常に申し訳ないことをした。全力で再発防止策に取り組む」

としている。

<事故例6:細胞診>

◆がんと誤判定し肺切除

 総合病院で2005年9月初旬に患者3人から採取した細胞を検査する際に検体 を取り違え、60代の男性を誤って肺がんと判定、右肺の約3分の1を切除する 医療ミスが起きた。男性は既に退院し、手術が必要ない慢性炎症性腫瘤(しゅりゅ う)と分かった。同病院は、臨床検査技師が検体に患者識別のシールを貼り間違 え、確認も怠ったのが原因とみている。外部の専門家を含む事故調査委員会を設 置し、原因究明や再発防止策を検討する。病院長は記者会見で「コンピューター 断層写真(CT)検査で肺がんを強く疑わせる所見があり、細胞検査が陰性でも 切除が推奨されるケース。しかし経過観察という選択肢もあり、選択の機会を奪 うことになった」と謝罪した。他の2患者のうち、「がんの疑い」とされた1人 は手術を受けがんと確定、「良性」の1人は診療に影響なかった。8月初めに肺 がんの疑いで、内視鏡を使い肺の細胞を採取する検査を実施、肺がんと診断し手 術したが、病変部が奥深くにあるため手術中の細胞検査はできず、肺の一部を切 除。しかし、切除した組織を検査した結果、がんでないことが分かり、取り違え が判明した。

<事故例7:細胞診>

◆がん見落としで死亡

 W市医師会臨床検査センターが細胞検査で子宮がんを見落としたため死亡した として、同市の女性=当時(43)=の遺族が、同センターを運営するW市医師会に 計約1億2千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、地裁は25日、医師会側の 過失を一部認め、計600万円を支払うよう命じた。 

 裁判長は判決理由で、死亡との直接的な因果関係は認めなかったが「検査に誤 りがなければ、原告が延命した可能性はあった」とし、適切な医療処置を受けら れなかったことによる遺族の精神的苦痛を認めた。判決によると、女性は1995 年4月と6月、出血したため臨床検査センターで検査を受けたが、センターは がん細胞を見落とした。別の病院で子宮がんと診断され、手術を受けたが再発、

1998年1月に死亡した。  

 子宮がんの検診で細胞診の検査を受けたところ陰性(Class  2)の結果であっ たが、後日別の施設で検査したところ子宮頸部の進行がんであることが判明した。

見直しにより明らかながん細胞が見落とされていた。

 最初に診た医師が検査センターに異議を申し立て、この内容が新聞記事となっ た。外部の専門家も交えた事故調査委員会を立ち上げ、原因の究明と今後の対策 を講じて落着した。がん細胞を見落とした73歳の細胞検査士は事件発覚時には 退職しており、技師に対する処分はなかった。

<事故例8:心電図検査>

◆大学病院で、人工呼吸器のチューブが外れた

 2001年5月、臨床検査技師のミスで女性患者=当時(69)=の人工呼吸器の チューブが外れ、呼吸不全で死亡した事故で、業務上過失致死の疑いで男性主治 医(41)と臨床検査技師(32)を書類送検した。調べでは、臨床検査技師が同 年5月10日、心電図検査のためにベッドを倒した際、人工呼吸器のチューブが 外れた。主治医は事故発生後、緊急事態に気付きながらほかの医師に任せ、2回 呼び出されるまで患者の元に駆けつけなかった疑い。同署は、臨床検査技師が看 護師から患者に関する引き継ぎを怠ったことと、主治医以外では難しい人工呼吸 器のチューブの再挿入を主治医が行わなかったなど、過失が重なったために患者 が死亡したと判断した。2人は容疑を認めているという。医療ミスの発覚後、臨 床検査技師と主治医は病院を辞めている。

<事故例9:輸血関連>

◆名前の確認怠り輸血ミス

 市立病院で2004年5月に手術した同市内の血液型AB型の50代男性に、О型 を輸血していたことが分かった。病院が名前の確認を怠った。患者の容体は安定 し、生命に危険はないという。病院によると、男性は13日夜、大けがをして救 急外来に搬送され、手術で1,840ミリリットルの輸血を受けた。通常、輸血の際 には患者から採取した血液型の検体と、輸血申し入れ書にそれぞれ患者の名前を 記入し、確認する。今回は、隣のベッドにいたО型60代男性の検体だったのに、

輸血申し入れ書との名前の確認を看護師や臨床検査技師が怠った。14日朝の点 検でミスが判明。病院は家族に謝罪し、警察署に届けた。不適合輸血は患者の赤 血球を破壊し、死亡する場合もあるが、AB型の人にО型を輸血してもトラブル は起きにくいとされる。

<事故例10:輸血関連>

◆血液取り違え、患者死亡

 町立病院で、食道動脈瘤破裂の大量出血で救急搬送された40代の男性の処置 中、誤って検査で不合格となった血液を輸血したと発表した。

 男性はまもなく死亡した。

 副作用防止のため輸血の血液を病院の臨床検査技師が、誤って不適合血液を適 合として運び、そのまま使われたという。県警は司法解剖し、死亡との因果関係 を調べている。病院によると、男性は夜、心肺停止状態で搬送された。緊急入院 し心肺機能はやや回復したが、輸血開始から約1時間後に脈拍が低下、再び心肺 が止まり翌日未明に死亡した。

 病院の臨床検査技師が輸血管理システムの設定を誤り、検査結果の「適」「不 適」を逆にして伝票に手書きしたのが原因という。検査する職員は通常6人いる が、当時は夜間で1人だけだった。

<事故例11:輸血関連>

◆13人の輸血用血液が無駄に

 市立医療センターで2007年8月中旬、血液保冷庫内の温度が室温の暑さの影 響で上昇、手術用に保存していた患者13人の血液計8.2リットル分が使えなく なったことが24日、分かった。病院が発表した。緊急検査室のエアコン3台の うち2台が故障したのが原因。保冷庫のドアはガラス製で室温の影響を受けやす いという。病院は、厚生労働省の指針で定められた保存温度を超えると細菌に感 染する恐れがあるとして、血液を廃棄した。患者13人のうち、自分の血液が使 えないことに同意した3人は予定通り手術を受けたが、残る10人は手術を延期 した。

 病院によると、臨床検査技師が16日午後、エアコンの故障に気付いたが、業 者がお盆休みに入っているため18日午後まで修理できなかった。通常24 〜 25 度に保たれていた室内温度は、17日には32.6度まで上昇。保冷庫内も適正温度 の4〜6度を超える7.0 〜 9.6度に上がった。地方気象台によると、17日の市の 最高気温は35.4度を記録した。病院は、保冷庫を35度までの外気に耐えられる 新型に交換し、エアコンも1台増やす予定。

<事故例12:血液型検査>

◆3歳児の血液型判定ミス

 市の福祉保険センターで2005年2月に実施した血液型検査で、臨床検査技師

(51)がマニュアルに従わず、3歳児の血液型を誤って判定したと発表した。

 福祉保険センターはほかにも判定ミスがあった可能性があるとみて、同じ日に 検査を受けた他の幼児ら33人を対象に再検査を実施する。市によると、検査は 3歳以上の希望者を対象にABО式で実施。臨床検査技師は、血液を混ぜる試薬 をマニュアル通りスライドに落とし、2分以内に判定するのを怠ったため、凝縮 して正確な判定ができなかったらしい。男児はО型と判定されたが、両親の血液 型と合致しなかったため、母親が別の医療機関で再検査しA型と分かった。

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