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1) トロカーポートの位置

基本的に腎摘と同様だが、カメラは高い(頭側)のほうがみやすいので肋骨弓と腹 直筋の交わるところに留置。Obsity の強い人は、やや外側に留置する(IVCをや や外側から見えるように)

2) 手術手順(右)

① 肝下面の癒着があれば鋏(コールド)にて切開し癒着の剥離を行う。肝三角間膜は 肝を挙上した際、付着部からの出血する可能性があり、最初に切離しておく。

② 腹膜の切開

腹膜を下の図のごとく切開する。腫瘍があまり大きくない場合は、肝下縁に横切開 を IVC内側までいれ、IVCに沿って尾側に切開を入れる。腫瘍が大きい場合は、腎と 副腎間に IVC 内側まで切開をいれ、IVC にそって頭側に切開し、肝下縁で再度外側に 向かって切開する。視野不良が不良のとき、腎の可動性が悪い場合には、若干腎外側に 切開を加えると腹膜切開窓が広くなり、また、腎の可動性が増して視野がよくなること がある。リトラクターで肝を挙上をする際に、三角間膜を切開していたほうが、付着部 からの出血を予防できるし、視野も良い。

使 切開の道具は鋏(電気メス、コールド)を使用。

ポ 腹膜を少し切開すると気腹ガスが腹膜と脂肪の間にガスが入る。それを利用し

て、必ず腹膜と下の脂肪を遊離してから切開。

腹膜切開が不十分だと、つぼ穴手術のようになって視野が悪くなる。内側はしっか り IVC縁と IVC に沿って切開、外側も腎の外側、肝三角間膜まで切開を入れる。

注 腹膜を遊離せずに切開し、不用意な出血をさける。

③ 腎と副腎間の遊離

手技 腎と副腎間にある脂肪を切離して、腎と副腎間にスペース作る。十分なスペ ースを作ることで、副腎の可動性を確保する(中心静脈など処理の際、腎と間に十 分なスペースがないと、副腎の可動性が悪く手術がしづらくなる)

遊離のメルクマールは下は筋層がみえるまでで、外側は脂肪のなくなるとこまで十 分におこなう。腎の可動性が悪い場合には、腎外側の腹膜切開をくわえる。

使 鉗子、リガシュアー

ポ 気腹ガスが腹膜の下に入ることで容易。必ず腹膜と下の組織を剥離して遊離し てから切開。

腎副腎間で広いスペースを作ることが、副腎の可動性をよくして、今後の操作を容 易にする。

注 腎副腎間にも、細い静脈が必ずある。スペースができないうちにこれらから出 血すると、比較的止血に難渋する。鉗子を開くときには必ず、血管がないが注意を する。

④ 右副腎摘除のストラテジー

上図の点線○の所は、血管が豊富な部位なので、副腎周囲の剥離がすすんでいない 状態では、手をつけずにおいておく。そのため、まず①の腎副腎間の安全な部位に スペースを作る。次に②の安全な部位より副腎の後面に入り、ブリッジを作る。

⑤ ブリッジの作成

手技 副腎とIVC 間にスペースを作り、副腎の後面にスペースを作る。後面に鉗子 が入ったら、鉗子のシャフト部で副腎を牽引しブリッジを形成する。

使 鉗子、リガシュアー ポ

【副腎後面の入り方】副腎を外側に変移させ、IVC の際で後面の筋肉の層に到達 する。副腎は可動性のある臓器であり、鉗子の操作で容易に動く。出血、副腎損傷 しないように注意しつつ、副腎を外側に変移させると IVC、副腎間に隙間ができ、

そこの谷間の膜を鉗子にて鈍的に破ると容易に後面の筋肉の層に入れる。

【ブリッジの形成】

注 IVC後面に正常副腎や腫瘍が伸びている症例もある。術前に画像をチェックし ておく。

⑥ 中心静脈結紮

手技 左手鉗子にて副腎に適切なトラクションをかけ、中心静脈に向かって剥離を すすめる。中心静脈が同定できたらメタルクリップにてクリッピング(中枢 2 本、

末梢 1 本)

使 鉗子、リガシュアー、クリップ

この部の剥離のポイントは副腎のどの方向にトラクションをかけるかが一番大事 となる。前項でも述べたが、上図にトラクションをかけるには鉗子の先を副腎の奥 にではなく、鉗子の先は筋肉の層に添わす形でおくまでいれ、シャフトの部分で副 腎を牽引する。こうすることで不用意な副腎損傷も避けられる。

トラクションは横方向のみでなく、副腎自体を浮かすような方向にかける。

中心静脈や、副腎と肝の間には通常 2 層ほど膜がかぶっている(他の部位ではすで に剥離されているのが残っている)。中心静脈などを剥離の際は、いきなり中心静脈 を捜そうとせずに、 上に載っている膜をはがすようにしていくと自然に露出される。

このとき、中心静脈の奥(副腎、肝の間)も中心静脈剥離に先駆けてしておいたほ うが、中心静脈の剥離は容易となる。

中心静脈は副腎の岬状の先端から出ており、剥離ラインも副腎近傍となる。中心静 脈剥離の際、副腎を損傷しやすいので、どこまで副腎があるのかをよく確認しつつ 中心静脈の剥離をおこなう。

注この部を剥離の際、IVC より短肝静脈が出ていることがある。損傷は大量出血につ ながるため、視認された場合には早い段階でリガシュアーにて処理をしておく。

⑦ 肝副腎間剥離

手技肝と副腎の間を組織をリガシュアーに切離。

使 鉗子、リガシュアー

ポここでのポイントは、左手鉗子にて有効に尾側に牽引をかけることと、肝をスネー クリトラクターにて副腎のエッジが見えるように牽引をかけること。

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