図8ブラジル人学校の場合
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④家族形態
世界の反対側に家族を残し、父親一人が家族と離れて出稼ぎにくることは、 90年代 の初頭まではごく普通のことであったo しかし、現在では家族を日本へ呼び寄せ、一緒 に生活する日系南米人が増えてきているo 「家族が一緒に暮らすのは大切だから」と考 える親は全体の約7割。家族を大切に思う気持ちが強い。また、それに伴って日本で出 産することも増えてきているため、幼い頃から日本で生活する子供たちが多くなってい
る。この傾向は今後ますます増加すると考えられる。
⑤言語能力
親の多くが、日常会話程度でしか日本語を使えないので、子どもとのコミュニケーシ ョンは主に母国語になる。
ところが、公立学校に通う子どもは学校で日本語を覚え、母国語を忘れてしまうケー スが極めて多い。これでは、親子間の会話にも支障が出るおそれがある。子どもに母国 語を忘れないようにさせるために、7割の親が「母国語で会話するように心がけている」
と答えている。一方、子供が日本語を覚えることが「大切である」と答えた親はほぼ全 員であった。日本語が出来ない親にとって、子供は親の大切な通訳者である。公立学校
の教師の話では、時には親の通訳のために、学校を欠席する生徒もいるそうである。
⑥教育に対する意識
鈴鹿市やその周辺で、親が選択できる学校は、公立学校か母国語の学校(ブラジル人 学校)の二つになる。親は、主に将来日本で暮らすつもりなら公立学校、また母国‑棉
る予定ならブラジル人学校と、目的によって通わせる学校を選択しているようである。
教育に対する保護者の意識は、全体として非常に高い。これは意外な結果であった。
公立学校、ブラジル入学校ともに、 「経済的に可能な範囲で良い教育をさせたい」 「最高 の教育を受けさせ、そのため出費は惜しまない」と多くの親が考えていた。少なくとも
子どもを学校に通わせている親は、子どもの教育に積極的であることが伺える。実際、
所得が高いとは言えないにも関わらず、授業料が高い(日本の私立学校並み!)ブラジル人 学校に通わせる親が多いことは、上述のことを示しているといえよう。また、公立学校 の教師の詣では、運動会などの学校行事には仕事を休んで参加する親や、国際交流学習 の一環として伝統料理や文化のレクチャーに協力してくれる親も多数いるということ だった。
教育に関する相談相手は、基本は配偶者である。それ以外の相談相手として、公立学 校では2人に1人が「学校の先生」を挙げていた。ブラジル人学校での学校の先生‑の 相談度が2割程度だったことを考えると、公立学校の教師が、仕事で忙しい親たちから、
いかに両親たちから頼りにされているかが分かるo
学校‑の要望としては、公立学校では、 「進学に関する情報が欲しい」、 「子どもの学
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校での様子をもっと知りたい」が多かった。また「翻訳された資料を増やして欲しい」
も三番目に多く、より充実した情報提供が求ギ)られていることが分かるo一方ブラジル 入学校では「学校行事に関する情報が欲しい」、 「子供の学校での様子をもっと知りたい」
が多く、言語の問題がないにも関わらず、情報提供が不足しているように思われた.。た だ、日系南米人の親は、労働時間が不規則かつ長いケースが多く、子どもとJ;、れあう時 間も少なくなりがちである。そのため学校からの情報が、子どもから親に確実に行き届 かないことも考えられ、必ずしも学校側の問題とは言い切れない。
そのため、親を雇用する派遣会社の労働基準の見直しが必要と考えられる。その他、
ブラジル人学校では日本語の授業時間が少ないことや、教育の質‑の不満などが挙げら れていた。
⑦子どもの将来
多くの親が、子供には「大学まで」進学して欲しいと考えている。しかし、公立学校 では「高校まで」、 「まだわからない」を選択した親も多かった。先程、親の教育‑の意 識で彼らが教育に熱心な傾向を述べたため、この回答は一見矛盾しているかに見えるが、
これはおそらく、公立学校の親は、良い教育を受けさせたい気持ちは強いが、現実的な 困難も大きいと考えているのだろう。
将来への考え方は、二つの学校ではっきりと差がみられた。ブラジル人学校に通わせ る親は、 98%がブラジル‑の帰国を前提とし、子どもをブラジルの大学に進学させるこ とを望んでいる。ただし現実には、ブラジル人学校を卒業してもブラジル‑帰れず、日 本に残って働くことになるケースは少なくないだろう。ブラジル人学校は日本で正式に 認ギ)られた教育機関ではないので、卒業してから母国に帰れなければ、親の望むような 大学進学という将来を得ることがとても難しくなってしまうのである。一方、公立学校 では将来帰国するつもりだと答えた親は50%に留まり、子供の将来は日本でと考える 者が多いようであるoまた、親は日本で高齢になると労働者としての仕事が無くなるだ
ろうから日本で生活を送ることは難しいため実際に帰国するのはほとんどの親である だろうと考えられる。
3)学校現場の声
教育現場には、多くの課題が山積みである。国際担当の先生方‑のインタビューによ れば、日本語の指導に始まり、教科指導、学校生活の指導、親との連絡、進路の問題、
指導出来る教員の不足など、課題は尽きない。言葉の壁や、異文化‑の戸惑いもある.。
そんな多くの問題を抱えながらも、教師たちは外国籍生徒の指導に熱心に取り組んでい る。その努力の結果が、生徒が学校を楽しいと感じたり、親が教師を額りに思ったりす ることに反映しているのだろうo
現場からの要望としては、日本語学習のためのプレスクール設置、大学生やボランテ
イアによる支援、常勤の通訳の各校配属、一貫した指導指針の確立などがあげられてい た。
4)課題、そしてこれから
今後、何が必要なのか。外国人の子どもが学習するうえで、最も重要なのは、言語の 習得であるo事実、日本語をゼロから覚える子どもがほとんどである。にもかかわらず、
公立学校での日本語指導には限界があるoそのため、日本語学習のためのプレスクー/レ の設置が必要である。
また、公立学校が対応できるように外国人のいる学校に常勤の通訳の各校配属が必要 である。
今回の調査を通して、日系南米人の中学生の多くが、楽しく学校生活を送っているこ とが分かった。ただしそこには、外国人特有の悩みや将来‑の様々な不安も見え隠れし
ていたL,また、親にも様々な事情や不安があることも分かったo しかし、今回のアンケ ートは鈴鹿市の外国籍の子供達の現状を知るための、ほんの辛がかりに過ぎないだろう。
今後、ますます増加が予想される外国籍の子供たち、)生徒、親、教師を様々な角度か らサポートする体制が、一層必要となるだろう。
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終わりに
最近、日系南米人の不就学問題や進学問題が注目されている。教育委員会や他の団体 が力を合わせて就学や進学ガイダンスなど対策を行っている。そのため、就学率が上が
り、進学率も年々に増加している。
三重県も例外でない。しかし、日本語が分からない子どもが増え、結果として学力低 下も続いている。また、高校に進学する子どもがいても、目標のなさにやめてしまった
り、また、卒業しても職業に結びつかず、結局、親と同じ3Kの仕事をしてしまう。
このような状況の中で学校や進学を諦め、ドロップアウトする子どもたちの存在が避 けられない。そのためドロップアウトした子どもの実態を把握するために研究する必要 があった。本稿においてはドロップアウトの経験がある9人の対象者をインタビューし、
自分自身が経験した家庭環境、学校生活について調べ、ドロップアウトの選択に迫られ た要因を探ることが目的であった。
彼らはドロップアウトしていない少年との共通点が多い。カルチャーショックや言葉 の壁などは皆が経験をする。しかし、問題はそれをクリアしたものとクリアできなかっ たもので分けられている。
学校と親のサポートがなければクリアができないし、学校だけで、または親だけでは クリアが難しいのである。しかし現在の学校からの日本語指導は不十分であるし、親の 支援も限られていて、不十分である。このように両方のサポートが中途半端な状況では 問題をクリアする子どもとしない子どもの格差が現れる。
現在日本語指導の見直しなどの様々な対策が行われている。しかし、子どもがクリア するためのもう一つの基盤である親のために、何もされていないのは事実である。不安 定で不規則な労働状況にある親は、子どもの教育をサポートする余裕がない。
今回、対象者のケースの中に離婚などの家庭被壊が起こっているが、これはたまたま ではないと考えられる。最近日本で離婚する日系南米人の夫婦が増えているのが事実で
ある。過労による結果、ストレス、病気、家庭内暴力などの問題が現れている。ようす るに不安定で不規則な生活が家庭全体に影響を与えていて、子どもだけではないのであ
る。
今後、外国人が増加し続ける見込みである。そのために子どもも増え、日本の小学校 に通う外国籍の子どもの割合が日本の子どもを上回る時代が現在の少子化問題も重な っては遠くないだろう。三重県のある小学校のクラスでは外国籍の子どもが半分にもな り、言語問題により授業のペースが落ち、不満を抱く日本人の親が現れ、学校を変更し たりするケースが現れている。
外国籍の子どもの日本語習得が第二言語ではあるが、しかし、その言語が将来の可能 性を開くための必要不可欠な道具である。今回の9人の対象者の中にその道具がなかっ たものが多かった。しかし彼らの多くに勉強を続けたいチャンスが欲しいという気持ち