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第 4 章 三次元培養モデルによる転写因子活性化の評価

4.2 実験材料・方法

4.2.1 試験シガレットおよびAqCSEの調製

被験シガレット3R4FのAqCSEは2.2.4項と同様の方法で調製した。

4.2.2 HBECsの三次元培養

Lonza から購入した初代正常 HBECs (Lot:CC-2540S, donor; 29 歳男性) を、Supplement Pack (Promocell) を加えたAEGM培地 (Promocell) に懸濁させ、type I collagenをコートしたフラスコ上 で培養した。三次元培養には、HBECsをAEGM培地に3.0 × 105 cells/mlの濃度で懸濁させ、type IV collagen (Nitta Gelatin) をコートしたインサート (pore size 0.4 μm, Corning, Corning, NY) に播種

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した。細胞を播種したインサートは 24-well プレートにセットし、37°C、5% CO2下でコンフル エントに達するまで培養した。コンフルエントに達した HBECs は、インサート上の培地を除去 し、hydrocortisone (Stemcell Technologies, Vancouver, Canada) とheparin (Stemcell Technologies) を 加えたPneumaCult–ALI medium (Stemcell Technologies) を24-well プレートに加え、インサート底 面から培地を供給し ALI で培養した。インサート底面の培地は 2日または 3 日おきに交換し、

21日から23日間培養し、粘液線毛細胞に分化させた103)

4.2.3 三次元培養HBECsの細胞障害性試験

三次元培養HBECsの細胞障害性評価として、アデニル酸キナーゼ (adenylate kinase: AK) 活性 を測定した。三次元培養した HBECs の基底面の培地を除去し、AqCSE または Triton X を含む AEGM 培地を加え、24 時間インキュベーター中で曝露した。曝露後の被験液を回収し、

ToxiLight bioassay kit (Lonza) に添付のAK detection reagentと15分間反応させた後、損傷した細 胞から放出された AK の酵素活性に相当する発光値を測定した。統計解析は、Dunnett 法を用い、

溶媒対象コントロールとの有意差を多重検定した。

4.2.4 転写因子タンパク質発現の測定

三次元培養した HBECs の基底面の培地を除去し、AqCSEを含む AEGM 培地を加え、6 時間 インキュベーター中で曝露した。被験液を除去し、PBSで洗浄後、細胞上面から、mRIPA buffer

を50 μl/well加え、ピペッティングにより細胞を回収した。回収した細胞溶解液は、2.2.8項と同

様の方法で、ウエスタンブロッティングに供したが、変更点として、電気泳動ゲルには Any kD™ Mini-PROTEAN® TGX™ Precast Protein Gels (Bio-Rad) 、 ブ ロ ッ キ ン グ 溶 液 に は PVDF Blocking Reagent (Toyobo) 、1次抗体および2次抗体の希釈液にはCan Get Signal Solution (Toyobo) を用いた。また、1次抗体は以下のものを、2次抗体は2.2.8項と同様のものを用いた。

o Anti-NRF2 rabbit antibody: ab62352, Abcam

o Anti-NF-κB (p65) rabbit antibody: #8242S, Cell Signaling Technology o Anti-phospho-p65 rabbit antibody: #3033S, Cell Signaling Technology o Anti-c-Jun rabbit antibody: ab32317, Abcam

o Anti-GAPDH mouse antibody: #3033S, Cell Signaling Technology

52 4.2.5 免疫組織染色

三次元培養した HBECs の基底面の培地を除去し、AqCSE を含む AEGM 培地を加え、6 時間 インキュベーター中で曝露した。被験液を除去し、PBS で 2 度洗浄後、4% paraformaldehyde を 細胞基底面に加え、4°Cでインキュベートした。固定された細胞は、パラフィンに包埋し、ミク ロトームを用いて 5 μm の厚さで切片を作製した。続いて切片を脱パラフィンし、hematoxylin

and eosin (H/E) 染色を行った。また、免疫染色においては、脱パラフィンした切片を、1 mMの

I-EDTA pH8.0 (Nacalai Tesque) 中で、90°Cで15分間熱処理し、抗原の賦活化を行った。次いで、

100倍希釈したanti-NRF2 rabbit antibody (ab62352, Abcam) またはanti-NF-κB (p65) rabbit antibody (#8242S, Cell Signaling Technologies) と切片を室温で1時間または4°Cで24時間インキュベート した。続いて切片を PBSで洗浄後、200倍希釈したAlexa Fluor 555をコンジュゲートしたdonkey anti-rabbit antibody (A-31572, Thermo Fisher Scientific) と室温で1時間インキュベートした。さら に切片を PBS で洗浄した後、標本を蛍光顕微鏡用の DAPI (Thermo Fisher Scientific) を含む Antifade Reagent proLong Gold にマウントし、KEYENCE BZ-9000 蛍光顕微鏡 (Keyence, Osaka,

Japan) により蛍光画像を得た。NRF2およびNF-κB (p65) の観測には励起波長470 nmおよび蛍光

波長535 nm、核の観測には励起波長360 nmおよび蛍光波長460 nmを用いた。

4.2.6 PCRアレイによる遺伝子発現測定

三次元培養した HBECsの基底面の培地を除去し、AqCSEを含む成長培地を加え、6時間イン キュベーター中で曝露した。被験液を除去し、PBS で 2 度洗浄後、細胞上面から Buffer RPE

(Qiagen) を 50 μl 加え、ピペッティングにより全量をチューブに回収した。細胞溶解液からの

total RNA の回収は、RNeasy® Mini Kit (Qiagen) を用い、回収した total RNA は濃度調整後、

SuperScript™ IV VILO™ Master Mix (Thermo Fisher Scientific) を用いてcDNAとした。

酸化ストレス関連遺伝子の測定には、Human Oxidative Stress RT² Profiler PCR Array (Ox-Array, Qiagen) を用い、ALB

ALOX12

AOX1

APOE

ATOX1

BNIP3

CAT

CCL5

CCS

CYBB

CYGB

DHCR24

DUOX1

DUOX2

DUSP1

EPHX2

EPX

FOXM1

FTH1

GCLC

GCLM

GPX1

GPX2 GPX3

GPX4

GPX5

GPX6

GPX7

GSR

GSS

GSTP1

GSTZ1

HMOX1

HSPA1A

KRT1

LPO

MBL2

MPO

MPV17

MSRA

MT3

NCF1

NCF2

NOS2

NOX4

NOX5

NQO1

NUDT1

OXR1

OXSR1

PDLIM1

PNKP

PRDX1

PRDX2

PRDX3

PRDX4

PRDX5

PRDX6

PRNP

PTGS1

PTGS2

RNF7

SCARA3

SEPP1

SFTPD

SIRT2

SOD1

SOD2

SOD3

SQSTM1

SRXN1

STK25

TPO

TTN

TXN

TXNRD1

TXNRD2

UCP2および

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VIMPを対象遺伝子とし、ABI 7900 PCRシステム (Thermo Fisher Scientific) により測定した。炎 症関連遺伝子の測定は、NF-κB Signaling Pathway Plus RT2 Profiler PCR Array (NF-κB Array, Qiagen) を用い、AGT

AKT1

ATF1

BCL2A1

BCL2L1

BCL3

BIRC2

CARD11

CASP1

CASP8

CCL2

CCL5

CD40

CFLAR

CHUK

CSF1

CSF2

CSF3

EGFR

EGR1

IKK1

IL1A

IL1B

IL1R1

IRAK1

IRAK2

JUN

LTA

LTBR

MALT1

MAP3K1

MYD88

NFKB2

NOD1

PSIP1

RAF1

REL

RELA

RELB

RHOA

RIPK1

STAT1

TBK1

TICAM1

TIMP1

TLR1

TLR2

TLR3

TLR4

TLR6

TLR9

TNFRSF10A

TNFRSF10B

TNFRSF1A

TNFSF10

TRADD

TRAF2

TRAF3

TRAF6

BIRC3

CCL20

CXCL2

CXCL3

ICAM1

CXCL8

IRF1

NFKB1

NFKBIA

NFKBIE

STX11

TIFA

TNF

TNFAIP2 および TNFAIP3 を対象遺伝子とした。それ

ぞれのArrayは、ハウスキーピング遺伝子としてACTB

B2M

GAPDH

HPRT1

RPLP0および

HGDC を対象遺伝子として含み、それぞれの遺伝子の発現量は、ハウスキーピング遺伝子の発 現量により標準化した。

PCR後のアレイは、Qiagenが提供するRT2 Profiler PCR Array Data Analysis version 3.5を使用し て定量化した。遺伝子発現結果は、溶媒対象コントロールからの倍数変化 (log2 (fold-change)) お よびt検定統計値 (–log10 (p-value)) を用い、Volcano plotにより解析した。考察においては、明確 に変動の見られた遺伝子に着目するため、t検定のp値 ≦ 0.005および倍数変化 ≧ 4以上の変動 を示した遺伝子に焦点をあてた104)

NF-κB Arrayに含まれる遺伝子は、IPAを用い、IPAデータベース上にそれぞれの遺伝子の転

写制御因子として、 NF-κBのみ報告されているもの、NF-κBに加えてAP-1あるいはNRF2、ま たはその両方が報告されているものに分類し、ヒートマップを作製した。

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