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Fig.3-65には、3.4.3.4で算定された局所破壊応力σfと、Eq.(3-6)のα亀裂dにTable3-6 のα粒径分布の最大値と平均値を適用した局所破壊応力σfαを示す。ここで、ヤング率E(=

210GPa)とポアソン比ν(=0.3)は定数を、αの有効表面エネルギーγαは Fig.3-5 の近

似曲線(破線)を用いた(-60~-160℃の範囲で245~54Jm-2)。10LMと10MLと5UU 以外の鋼種について、局所破壊応力σfが二つの局所破壊応力σfαの範囲内に位置した。こ れより、α粒径分布の最大値から平均値の範囲のα亀裂が隣接するα粒に伝播することが 破壊の一部の限界条件になっている可能性が示唆された。

Fig.3-66には、3.4.3.4で算定された局所破壊応力σf、及びEq.(3-9,10)のα粒径dに Table3-6のα粒径分布の最大値と平均値を適用し、Eq.(3-10)のθ亀裂tθにTable3-6の θ短径分布の 95%最大値を適用することで算出した局所破壊応力σfθを示す。ここで、ヤ ング率 E(=210GPa)とポアソン比ν(=0.3)と有効表面エネルギーγθ(=10Jm-2)は Petch[3-13]と同じ値を、Locking parameter kyはEq.(3-19)の傾き20.7Nmm-3/2を用い た。10LM 以外の鋼種について、局所破壊応力σfが二つの局所破壊応力σfθの範囲内に位 置した。これより、α粒径分布の最大値から平均値の範囲の粒径のαの界面に転位が堆積 し、θ短径分布の 95%最大値程度のθ亀裂が隣接するα粒径分布の最大値から平均値の範 囲の粒径のαに突入することが破壊の限界条件になっている可能性が示唆された。

Fig.3-67には、Fig.3-66の局所破壊応力σfθのLocking parameter kyにFig.3-42を適用 した局所破壊応力σfθを示す。10LMに加え10MMと10MSと5ULが二つの局所破壊応 力σfθの範囲外だった。また、5UUと10UUはFig.3-42の温度範囲外だったため判定不 能であった。しかしながら、10MLと10SMについては局所破壊応力σfθが局所破壊応力 σfθよりも局所破壊応力σfを正確に表した。これより、Locking parameter kyの温度依存 性の確度をより高める必要があるものの、局所破壊応力σfに若干の温度依存性がある可能 性が理論的な根拠と共に示唆された。

10LM は、α粒径平均値が 140μm 程度と粗大なため、粒径内の応力と歪が一定ではな いことが考えられることから、両モデルの前提条件に適合しなかったと考えられる。

これまでの考察より、α粒径分布を考慮すれば、Tsann Linら[3-1]やPetch[3-13]のモデ ルでα粒径分布の異なる鋼種の局所破壊応力σfをそのばらつきも含めて説明できると考え られる。しかしながら、いずれのモデルにおいても、α粒径分布が同程度でθ短径分布が 異なる鋼種である10MLと10MMと10MSの局所破壊応力σfに有意な差があった3.4.3.4 の実験結果Fig.3-61~64は説明できなかった。この理由は、Tsann Linら[3-1]やPetch[3-13]

のモデルが破壊に寄与する亀裂の発生を前提としており、亀裂発生の条件を考慮していな いためである。したがって、破壊起点と考えられるθ割れに及ぼす諸因子の影響を考慮し たへき開破壊機構のモデルを構築する必要があるといえる。

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Fig.3-65 局所破壊応力σf(各種記号)と局所破壊応力σfα(二直線)の比較

Fig.3-66 局所破壊応力σf(各種記号)と局所破壊応力σfθ(二直線)の比較

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Fig.3-67 局所破壊応力σf(各種記号)と局所破壊応力σfθ(二直線)の比較

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3.4.3.5 の考察から、破壊に寄与する亀裂の発生を前提とし、亀裂発生の条件を考慮して

いない Tsann Lin ら[3-1]や Petch[3-13]のモデルで説明できない 3.4.3.4 の実験結果

Fig.3-61~64 を説明できるようにするため、破壊起点と考えられるθ割れに及ぼす諸因子

の影響を考慮したへき開破壊機構のモデルの構築が求められた。そこで、θ割れに及ぼす 諸因子の影響を調査し、そのへき開破壊への影響について考察した。θ割れは、砂時計型 丸棒引張試験片の縦断面の一定歪箇所で観測した。

3.4.4.1 砂時計型丸棒引張試験

各鋼種の板厚中心部から砂時計型丸棒引張試験片(標点間距離18mm、切欠き半径R = 5,

15mm、標点間最小直径 6mm)を長手方向が圧延方向と等しくなるように切出した。

Fig.3-68 に砂時計型丸棒引張試験片の形状を示す。試験片の標点に治具を引っ掛けてバネ

で固定し、その治具にクリップゲージを取り付けた。試験片のネジ部をつかみ治具に取り 付けて、つかみ治具を万能試験機に固定し、-141℃~-40℃の温度環境下で3mm/minの 荷重速度で試験片最小直径部の最大主歪が 40%となる変位量まで負荷した。負荷中の荷重 と変位は、測定機を介して10Hzで断続的に測定した。取り出した試験片は加熱機で加熱し たエタノール溶液に数分間浸漬してから室温に戻した。低温制御は、試験片の両標点の上 もしくは外側に溶接機でスポット溶接した熱電対を温度計に接続して温度を測定しながら、

試験片を覆う木箱と試験片上部のつかみ治具を覆う木箱の中を液体窒素雰囲気で満たすか、

あるいはドライアイスで冷却した液体アルコールに試験片を浸漬した。試験中の温度の変 動範囲は、両測定点合わせて最大±5℃程度であった。砂時計型丸棒引張試験の外観は、

Fig.3-32の丸棒引張試験と同様である。

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