10代,20代の人たちに様々なコンテンツを体験してもらい,アンケートに答えてもらった結果,
特に人気が高かったコンテンツは,現在とは違う時間帯の風景を見回すことのできるコンテンツで あった.また,画面にタッチしていくという動作も人気が高かった.さらに,写真にかざすことに よって動画として動き出すように見えるコンテンツの評価も高かった.新しい情報を知ることが できた,という回答の多かったコンテンツはエアタグと,ガイドによる説明であったが,これらの 文字情報は,工夫次第で先に説明したパノラマや,タッチするアクション,動画再生にとりいれる ことができるため,コンテンツのボリュームを増やす余地はまだある.今回のツアーの中でのコン テンツの課題は,機器トラブルが多かったことである.現地でのテストや第一回函館観光ツアーの 反省を活かし,最終的な第二回函館観光ツアーでは,読み込みが終わらずコンテンツを体験するこ とが出来ないという大きなトラブルはなかったが,junaioについて知識のあるスタッフがいなけ れば円滑に進行しない部分があった.トラブルの中でも,ロードが終わらないというものが多かっ たが,これは,junaioのサーバの問題でもあったため,ツアーという形式であればサポートがで き,良好という見方もできる.また,iPadを持ちあげていると疲れてしまうという問題もあった.
junaioはiPadのみならず,Android,iOSに対応しているので,スマートフォンでの利用が考え られる.また,元町周辺では見晴らしのいいスポットが多いため,画面ばかりを見るツアーではな く,参加者が欲しいと思った時に情報を得られる構成にすることも考えられる.これは,画面に注 視していて足元が見えないという危険を防ぐこともできる.
ARの効果を調べるためにツアーという形式であったが,ツアーの中に収めることを考えると,
個々人の観光のペースに合わせることができないため,上記のようなコンテンツや形式,機能を盛 り込んだコンテンツは,街の至る所に散りばめ,訪れた時にスマートフォンで見ることができる,
という形が理想であると考えている.そのような,様々な情報をARという形で得られる街という 意味で「AR の街・函館」として函館外にPRしていき,本プロジェクトの目的である函館観光活 性化に繋げたい,というビジョンがグループとして明確になった.AR技術で,10代,20代に楽 しんでもらえ,新しいことを知ってもらうことができ得る,という効果があることは分かったが,
函館でARを利用したアプリケーションなどを利用するだけでは函館に観光客を誘致することが できないため,函館外に向けてPRするためにもARを使用すれば良いのではないかと考えた.こ れから以上のような取り組みを行った場合の問題点は,そのような取り組みを行った後,本当に活 性化につながったのかどうかの測定が難しいということがあげられる.
そして,今回の取り組みに対する残された問題点は,若い人にARが有効という結果が出たが,
函館に訪れる若い観光客に有効だったかはわからないということである.今回の調査は函館市内近 郊に在住する10代,20代の人々に対して行ったが,実際に観光客として訪れている人々に対して ツアーを行うべきであった.また,若い世代の人が観光に訪れないという課題を,AR を用いれば 解決できるという根拠が薄弱であったため,まず,従来の函館観光よりも有効であるかどうかの調 査が必要であった.そのため,私たちがプロジェクトとして活動してきた AR コンテンツを利用 した観光と,観光雑誌や観光ガイドマップ等の紙媒体による観光を,同じ質問紙で調査する必要が あった.さらに,函館の観光にとってARが有効であるかどうか調査することが必要であった.そ のため,函館以外の都市でも AR 観光を実施して調査し,比較するべきであった.この,函館と
いう都市に対してARが有効か否かについて私達なりの意見を述べる.函館という都市には西部 地区,五稜郭地区,湯の川地区など様々な観光エリアが存在しており,それぞれに特徴があること もあり,四季折々のイベントが多様である.また,北海道では歴史のある都市であり,その資料も 多く保存されている他,史跡も数多く残っている.そのような多くの函館の魅力を持つ函館におい て,私たちは,AR技術が有効なのではないかと考えている.
(※文責:岸野亜理沙)
第 6 章 まとめと展望
6.1 まとめ
本グループでは函館観光の活性化のために AR(拡張現実)の技術を利用し,AR による観光コ ンテンツを制作した.そしてその制作したコンテンツを用いて,実際に函館を観光してみて,アン ケート調査による効果の検証をおこなった.4章で述べたとおり10代,20代の若い世代,特に高 校生・大学生を対象におこなったアンケート調査によれば,AR を利用した観光自体に新鮮みがあ り,楽しく観光できたとの結果が確認できた.反省点はあるものの,AR が函館観光の活性化につ ながるであろうことが想定できる結果となった.
しかしながら「函館観光を活性化する」という目標が達成できたのかどうかという調査・検証ま では至らなかった.理由としては函館観光の活性化につながったかどうかの指標は,観光客は増加 したのか,観光客の満足度は上がったのかという調査が必要となり,それらの調査結果が行政か ら公表されるまでには2年のタイムラグが生じるため,最低でも3年の調査期間が必要であるか らだ.
また,反省すべき点としては以下の内容が挙げられる.(1)今回の調査は函館市内近郊に在住す る10代,20代の人々に対しておこなったが,実際に観光客として訪れている人々に対しておこな うべきであった.
(2)私たちがプロジェクトとして活動してきた AR コンテンツを利用した観光と,観光雑誌や 観光ガイドマップ等の紙媒体による観光を,同じ質問紙で調査するべきであった.
(3)函館以外の都市でも AR観光を実施して調査するべきであった.
(※文責:佐藤正徳)
6.2 展望
我々はこのプロジェクト学習の活動を通し,これからの函館の観光は AR の技術によって活性 化させることができるのではないかとの結論に至った.そこで,函館を「AR の街・函館」とし て, AR の技術を活用することによって地域の活性化を促進していきたいというビジョンが明確 になった.
「AR の街・函館」を実現すべく多種多様な函館観光AR コンテンツを制作し,函館観光の新た なツールとして活用していくためには,常にコンテンツのバージョンアップ等による最新観光情報 を提供していくことが必要となる.また,コンテンツのPRにも力を入れるために,今後は行政 や観光団体との連携も必要となってくる.それらの課題を解決していってはじめて「AR の街・函 館」が認知されていくであろう.
(※文責:佐藤正徳)