第 3 章 実験報告
第 2 節 実験 2
2.2 方法
2.2.1 実験参加者
実験参加者は,健常若齢者49名であった.実験開始前にあらかじめ参加者を指 先接触あり群と,対照群,指先接触なし群のいずれかの群にランダムに割り振っ た.指先接触群16名(男性10名,女性6名,平均年齢26.1±5.6歳),対照群16 名(男性9名,女性7名,平均年齢25.7±5.0歳),指先接触なし群15名(男性9 名,女性6名,平均年齢31.1±6.9歳)であった.また指先接触あり群に関しては,
安全マージンの平均値+2SDである306mmを基準としたため,1名を除外した.
また介入時の触れられなかった割合が,著明に高かった1名も除外した.
事前に,本研究の課題遂行に支障となるような疾患がないことを確認の上,実 験に参加してもらった.実験参加にあたり,実験目的・方法・心身への影響・参 加中止の自由について説明を行い,実験参加者本人から実験内容への同意と実験
34
参加への承諾を紙面にて得た.また,本研究の手続きは,首都大学東京研究安全 倫理委員会により審査を受け,承認された(承認番号29-24).
2.2.2 実験装置
実験1と同一の実験環境,装置で実施した.
2.2.3 実験プロトコル
実験のプロトコルは図26の通り.実験課題はPre測定,Post測定,介入の3つ の構成で行った.
Pre測定,Post 測定では,共通の隙間通過課題を実施した.スタート位置から 4 mの位置にドア型の隙間を設置し,平行棒を把持した状況で隙間を通り抜けてい った.介入課題は,指先接触あり課題,隙間通過課題,指先接触なし課題を行っ た.指先接触あり群,対照群,指先接触なし群の参加者は,介入条件で行う課題 のみが異なり,それ以外の手続きは同じであった.
Pre・Post測定 平行棒把持での隙間通過課題
Pre・Post では,できるだけ体幹を回旋しないという制約下での隙間通過行動を
測定した.ここでは,参加者は,身体幅の 2.0 倍の平行棒の両端を把持した(図
27).実験1において,平行棒の長さによって,結果に違いが生じなかったため,
使用する平行棒は1種類とした.平行棒の種類1(身体幅2.0倍)×隙間の通過幅 3(平行棒の0.9倍,1.0倍,1.1倍)×繰り返し3回の合計9試行を行った.なお,
これらの試行とは別に,実験手続きに慣れてもらうための練習を,隙間の通過幅
3×平行棒の種類1の合計3試行を行った.
介入課題
介入効果の要因を検証するため,指先接触なし群を追加した.介入回数は,隙間
の通過幅3(身体幅の2倍の0.9倍,1.0倍,1.1倍)×繰り返し12回の合計36試
行を行った.これらの試行とは別に,実験手続きに慣れてもらうための練習を,
隙間の通過幅3×繰り返し2の合計6試行を行った
指先接触あり課題は,ドアに付与された目標物に対して,正確に左右の指先で触 れていくことが要求された(図 28).その他は,実験 1 と同一であった.隙間通 過課題(対照群)は,実験1と同一であった.指先接触なし課題は,ドアに付与 された目標物に対して,両側の指先でドアを触れようとする動作をするものの,実 際には,ギリギリ触れずに通り抜けることを行った(図29).
35 Pre測定
介入
Post測定
合計63試行
図26 実験2のプロトコル
図27 身体幅の2倍の平行棒を把持している様子
平行棒把持での隙間通過課題(9試行,最小限な回旋)
平行棒把持での隙間通過課題(9試行,最小限な回旋)
練習試行(3試行)
実験参加者(N=49)をランダムに振り振った
指先接触あり課題
(36試行)
指先接触あり群 対照群 指先接触なし群
隙間通過課題
(36試行)
指先接触なし課題
(36試行)
練習試行(6試行)
36
図28 指先接触あり課題 図29 指先接触なし課題
2.2.4 実験手続き
参加者が行う総実験試行数は63試行であった(予備練習3,Pre最小限な回旋
9,予備練習6,介入36,およびPost9).その他の手続きは実験1と同一であっ
た.
2.2.5 実験デザインと分析
独立変数は,介入条件(指先接触あり群,対照群,指先接触なし群),介入前後
(介入前,介入後)の2要因とした.介入条件は参加者間要因,介入前後は参加 者内要因とした.従属変数は,ドアと平行棒の先端の間にできる隙間である安全 マージン,体幹の回旋角度,隙間通過時のドアとの衝突頻度,歩行速度,隙間中 心からの逸脱距離,および指先接触群において介入時にドアに触れられなかった 割合であった.
それぞれの項目の算出方法は,実験1と同一であった.統計解析として,それぞ れの従属変数に対して2要因(介入条件,介入前後)の分散分析を行った.統計 学的有意水準は5%とし,統計ソフトはSPSSを使用した.
37 0.0
50.0 100.0 150.0 200.0
指先接触あり群 対照群 指先接触なし群
安全マージン(mm)
Pre Post