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図5-1 理論値と合ってくるエネルギーと実効原子番号の相関

このように、実効原子番号が大きい試料ほど理論値と合ってくるエネルギーが大きくな ることについては、実験結果のCT画像の中に見られるリング状の異常画像が関係している と考えられる。結果のCT画像を見ると、Al、Ti、Cuでこのような画像が見られ、実効原 子番号が大きい試料ほどより高エネルギー側までリング状の画像となっている。

図5-2 Cu, 30.39 keVの画像

例として上の画像を、次に示すように円の中心を通る横一直線で切って、全ピクセルの値 を調べてみたところ、右のようにカップ状になっているのがわかる。Cu, 30.39 keVにおけ る減弱係数の理論値は94.03(cm-1)なので円の外側ほど理論値に近いといえる。

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図5-3 カッピング効果

私の解析では、このカップになっている部分(円内)にROIをとっているため、結果と して得られる減弱係数の値が低くなってしまっているといえる。

そこで、試しに下に示すように円周の全ピクセルをROIとして減弱係数を取得してみる ことにした。

図5-4 円周ROI

その減弱係数取得結果と、理論値との誤差をもともとのROIの場合と比較したものを下に 示す。

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図5-5 円内ROIと円周ROIによる減弱係数取得結果

図5-6 理論値との誤差

結果として、低エネルギー側はやや理論値に近づいたが、約60keV以上の高エネルギー 側では理論値から遠ざかってしまう結果となった。

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では、そもそもなぜリング状の画像が再構成されてしまうのか検討する。これまでの二色 X線CTに関する論文において、ビームハード二ング(線質硬化)現象によってリング状の 画像が再構成されるとの報告があったが、本研究のフォトンカウンティングCTでは、線源 が連続 X 線であるため、ビームハード二ング現象によるものではないと考えられる。そこ で、銅板の厚さを変えて透過法による測定を行った。その結果を以下に示す。

図5-7 透過法による測定(Cu)

この結果から、試料が薄い場合には低エネルギー側までよく理論値と一致するというこ とが分かった。また、画像がリング状になることもこの図からよく説明できる。CT撮影の 際 X 線が試料の厚い部分を通る場合、低エネルギー側の減弱係数は理論値と比べてかなり 小さい値が計算されるということが分かる。

このような結果になる原因としては、実効原子番号の大きな物質は減弱係数が大きいた め、透過厚が大きい場合に低エネルギー側のフォトンは試料を透過することができず、相対 的にバックグラウンドの影響が大きくなってしまっていることが考えられる。

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・透過法とCTの比較

Al, Carbon, Ti, Cuについて、透過法により求めた減弱係数とCTから求めた減弱係数を

比較した。グラフは理論値との差で示してある。また、透過法の結果については Energy

binning = 20の処理を施した。

図5-8 透過法とCTの比較(Al)

図5-9 透過法とCTの比較(Carbon)

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図5-10 透過法とCTの比較(Ti)

図5-11 透過法とCTの比較(Cu)

Carbon以外の3試料でCTによる結果が最も精度が悪いことが分かった。今後、更なる検

討が必要であると考えられる。

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・長時間測定による弊害の可能性

CTによる結果の精度が悪い原因について、長時間測定によりX線強度が不安定になって いる可能性を考えた。本研究における一試料あたりのCT撮影の時間は17~18時間ほどで ある。検証の方法としては、測定データの中からそれぞれの回転角度の一番端のデータ(試 料を透過しないデータ)だけを抽出して、各データの総カウント数を計算するというやり方 で行った。その結果を以下に示す。凡例部分には、それぞれの試料のCT撮影を開始した日 付も示した。

図5-12 長時間測定によるX線強度検証

また、Cuまでの測定では機器同士の通信トラブルによりX線照射中のままCT撮影プログ ラムがストップしてしまい、数時間後に途中から再開した例もあるため時系列で表したも のも示す。

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図5-13 長時間測定によるX線強度検証(時系列)

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時間単位での変動はほとんど見受けられないが、Cuでは測定再開後に若干変動している と思われる。最も気がかりなのが、測定する日によって大きくカウント数が異なるという点 である。時間単位での変動がほとんどないため、得られる減弱係数の精度にはそれほど悪影 響を与えていないと考えられるが、この結果は X 線が不安定である可能性を示している。

私はその原因として、気温や湿度、気圧などの環境因子によるものと考察するが、更なる検 討が必要と考えられる。

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(補足)CT画像再構成の原理

CT 画像再構成の原理について簡単に説明する。例として、下のような5×5の範囲の中 の黒く塗りつぶした部分に物体があるとして、4 方向からの X 線減弱データが以下のよう なものだったとする。

図2-3 減弱データ(例)

まず、4方向からのX線減弱データをX線方向に引き伸ばして次のようにする。

図2-4 データの引き伸ばし

次に、この4つを重ね、それを濃淡情報に変換することでCT画像となる。

図2-5 データの重ね合わせ

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参考文献

[1] https://www.saga-himat.jp/actual.html

[2] http://www.hosp.ncgm.go.jp/s036/010/index.html

[3] W. Zou et al. (2008) “Atomic Number and Electron Density Measurement Using a Conventional X-ray Tube and a CdTe Detector” Jpn. J. Appl. Phys., Vol. 47, No. 9.

[4] 取越正己、角尾卓紀 (2004):単色X線CTの医学診断応用、The Japanese Society for Synchrotron Radiation Research, Vol.17, No. 4.

[5] 松本政雄ほか (1996):CdTe, CdZnTe 検出器を用いて測定した診断用X 線スペクトル の補正、放射線、Vol.22, No.3.

[6] 小野大輝、学士学位論文:フォトンカウンティングCTを用いた電子密度測定

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