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老人福祉センター・老人憩の家に関する研究

ドキュメント内 論文要旨論文要旨 (ページ 106-109)

第 4 章  東京都における自立高齢者支援施設の運営・利用実態に関する既往研究

4.3  老人福祉センター・老人憩の家に関する研究

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4.3 老人福祉センター・老人憩の家に関する研究 1)概要と目的 

 東京都における老人福祉センター・老人憩の家に関する既往研究として,山部・管野ら(2006)

15),文 16)による板橋区のふれあい館(老人福祉センター A)・いこいの家(老人憩の家)を対象とした

研究があげられる.

 山部・管野らはこれらの施設を「地域余暇活動施設」として,健常高齢者(本研究における「自立 高齢者」)のための余暇活動の場として位置づけ,ハードとソフトの両面からこれらの施設の現状と 課題をみつけることを目的としている.

2)方法

 まず,地域余暇活動施設への参加状況・要望を明らかにするため,60 歳以上の区民を対象とした アンケート調査を行った(配布数 1200 通,有効回収率 27.0%).加えて,施設利用者の属性や利用 目的・形態及び利用上の要望を明らかにするため,区内の 4 施設の施設利用者を対象としたアンケー ト調査を行っている(配布数 38 枚〜 75 枚,有効回収率 73.5%〜 87.8%).

 また,施設内での利用実態を明らかにするため,区内のいこいの家(15 施設)・ふれあい館(5 施設)

のそれぞれから,単独型と他の施設に併設された複合型を対象施設として 1 つずつ選び,計 4 施設に おいて館内の交流が発生しうる場所において交流の種類・人数・グループを定時ごとに記録した.

3)結果

3.1)60 歳以上の区民へのアンケート調査からみる施設への参加状況・要望

 回答者 303 人中,地域余暇活動施設への参加率は 10% 程度であり,参加しない理由としては主に 仕事のため(22.2%),施設自体を知らないため(17.3%),活動内容がわからないため(14.8%)が あげられた.

 施設形態への要望としては,多世代の人と利用できる施設を望む人は 54.1% と多数いる一方,高 齢者のみが利用できる施設を望む人も 17.6% と一定数存在することが明らかとなった.

 施設活動の参加者からは家の近くにほしい(31.8%),交通の便をよくしてほしい(29.5%)と通 いやすさを求める意見が多くみられた.一方不参加者からは,地域社会との関わりがほしい(31.0%),

開館時間を延ばしてほしい(29.1%),情報を公開してほしい(22.7%)というより開かれた施設運 営を望む意見が多くみられた.

 活動内容としては,1 人でも参加しやすい活動や健康づくり活動への要望が大きく,併設してほし い施設としては区役所・区民センターや医療・保健施設などの希望が多く,利便性を求める傾向がみ られた.求める諸室としては,参加者・不参加者ともにトレーニング室・マッサージ室が多かった.

参加者のみから要望の多かったのは浴室,不参加者からは図書室であった.

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3.2)施設利用者へのアンケート調査からみる施設の利用状況・要望

 利用者の年齢層としては各施設共に 70 〜 74 歳が最も多く,いこいの家は「教養講座」を受講する 60 歳代が多く,ふれあい館は 80 歳代後半が少ない傾向であった.利用の目的は「余暇時間を充実さ せたい」が多く,いこいの家では「活動内容に興味をもった」が,ふれあい館では「健康づくりのため」

が多い傾向であった.利用の形態としては,いこいの家ではクラブ・講座を,ふれあい館ではカラオ ケや囲碁などの娯楽や入浴を主な参加活動とする利用者が多くみられた.対象となった 4 施設ともに 入浴施設はそなえられている.

 活動内容への要望として,いこいの家・ふれあい館ともに「1人で参加しやすい活動」「健康づく り対策の強化」への要望が多くみられた.いこいの家では教養講座やサークル活動への充実への要望 が多かったことに対し,ふれあい館では子どもとの交流機会への要望が多くなっていた.

 施設内への要望としては,求める諸室は,利用の形態(主な参加活動)ごとに異なった.設えとし ては椅子を増やすことなどが求められていた.

3.3)観察調査による施設の利用実態

 単独型・複合型をそれぞれ調査したが,複合型における共有スペースでの併設施設利用者との交流 はわずかであり,単独・複合による差はみられなかった.そのため,詳細な分析は単独型いこいの家・

ふれあい館について行っている.また, 複合型施設の共有スペースが交流の機能を果たせていなかっ た理由としては,共有スペースの距離が離れている点,靴の脱ぎ履きが必要な設えとなっている点が 考えられる.

 〈単独型いこいの家〉

 ロビーや娯楽室の使われ方として挨拶や休憩の短時間滞在が多くみられた.また,和室利用者の中 には椅子を持参している人が確認された.茶道教室終了後の廊下など,交流を意図していない空間が 会話などによる交流の場となっていた.

 〈単独型ふれあい館〉

 ロビーや娯楽室の使われ方として仲間との交流やマッサージなどの長時間滞在が多くみられた.健 康体操では,個別活動をしていた人が集まってきており,1人でも参加しやすい活動となっていたこ とから,施設利用のきっかけとして有効だと考えられる.入浴を目的とする利用者は,特に高齢の方 や下肢機能が低下した方多く,浴室と同じフロアに滞在する人が多い.クラブ・講座目的の利用者,

健康づくり目的の利用者は,活動に関係する室以外はほとんど利用しないことが明らかとなった.ク ラブ・講座の利用者は活動後はすぐに帰宅し,健康づくり目的の利用者は交流も訓練室やその周辺の みで行っていた.

 運営を民間委託しており,装飾や掲示物による情報提供や,スタッフによる声かけが多くみられた.

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4)結論

 アンケート調査時点では,設置数・活動内容・運営方法・施設の環境が高齢者のニーズには合致し ておらず,情報提供や下肢機能が低下している高齢者への配慮が不足していた.今後,様々な事情か ら単独型施設の設置は難しいため,利便性をもつ施設と複合させていきながら施設数を増やし,多世 代で利用できる共用スペースや活動・イベントの幅を広げていくことが求められている.

 施設での取り組みとしては,1人でも利用しやすく,静的活動・動的活動の両方に対応した空間作 りやプログラム提案が必要である.また,ロビーのスペースを広くとり,椅子や装飾などの設えによ り明るく交流しやすい空間が求められる.

 いこいの家は 80 歳代後半の利用者が多く,施設数も多いため,地域に密着した施設ということが できる.今後,健康体操など1人でも参加しやすい活動を行い,利用者拡大をする必要があると考え られる.

 一方,ふれあい館は 5 つと数も少なく,地域余暇活動の拠点として広域の利用者に対応する必要が あるため,施設までの移動サービスが求められていた.両施設では提供されるサービスの種類が異な り,利用者の利用形態も異なった.今後具体的に求められる活動としては,前期高齢者に人気の高い 教養講座プログラムや,区民からの要望の大きい健康づくり活動があげられる.

 今後は,運営の民営化が進むことが想定され,運営者は施設の情報を積極的に提供すると同時に利 用者のニーズを把握することが求められる.また,機能・規模の異なるいこいの家とふれあい館のネッ トワークを構築し,地域住民にとって身近な施設とすることが不可欠である.

 

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