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線維配向の乱れの区別

ドキュメント内 2010 MR (ページ 41-44)

第 6 章 提案手法によるコラーゲンの イメージングイメージング

6.4 線維配向の乱れの区別

線維配向の乱れの程度が異なる領域を、提案手法を用いて区別できるかを調べた。酸と負 荷それぞれの方法によって破壊した部位のうち、図6.8に示す位置における線維配向の乱れ の程度を、提案手法とSHG顕微鏡を用いた多偏光構造解析によって調べた。

(a)酸による破壊 (b)負荷による破壊 図 6.8: 取得したデータの位置

6.4.1 酸による化学的破壊

図6.8(a)に示す点を中心とした6×30ピクセルのデータを、横軸を回転角度、縦軸を信

号強度として関係を示した結果が図6.9である。図6.8(a)のうち、赤の点は1%の塩酸を付 着させた部位、緑の点は2%の塩酸を付着させた部位、 青の点は3%の塩酸を付着させた部 位、紫の点は4%の塩酸を付着させた部位である。また、6×30ピクセルの平均の信号強度 とモデル式から、非線形の最小二乗法を用いて求められたca, cm, δθを表6.3に、各パラメー タを用いて描かれるθ+δθと信号強度の関係を図6.10に示す。

表6.3: 求められた評価パラメータ

1% 2% 3% 4%

角度依存性パラメータ ca [a.u.] 16.01 13.81 12.55 8.486 最大信号強度パラメータ cm [a.u.] 63.04 94.57 69.20 96.81 局所線維配向パラメータ δθ[deg] -0.8475 11.41 -8.674 5.506

図6.9: 角度と信号強度の関係 図6.10: 提案手法により求めた角度 と信号強度の関係

図6.8(a)に示す各点において、170µm×170µmの範囲でSHG顕微鏡によって観察した 結果を、図6.11と表6.4に示す。レーザの偏光角度は、0〜360degの間で10deg刻みに変化 させ、37通りの信号強度を取得した。

表6.4: 酸による破壊部位の多軸構造解析

1% 2% 3% 4%

smax [a.u.] 553 604 604 532 smin [a.u.] 183 228 246 247 R 3.022 2.649 2.455 2.154

0 100 200 300 400 intensity [a.u.]

0 deg 30 deg 60 deg 120 deg

150 deg

210 deg

240 deg

270 deg 300 deg

330 deg 180 deg

90 deg profile of SHG signal [a.u.]

1%

0 100 200 300 400 intensity [a.u.]

0 deg 30 deg 60 deg 120 deg

150 deg

210 deg

240 deg

270 deg 300 deg

330 deg 180 deg

90 deg profile of SHG signal [a.u.]

2%

0 100 200 300 400intensity [a.u.]

0 deg 30 deg 60 deg 120 deg

150 deg

210 deg

240 deg

270 deg 300 deg

330 deg 180 deg

90 deg profile of SHG signal [a.u.]

3%

0 100 200 300 400 intensity [a.u.]

0 deg 30 deg 60 deg 120 deg

150 deg

210 deg

240 deg

270 deg 300 deg

330 deg 180 deg

90 deg profile of SHG signal [a.u.]

4%

図6.11: 偏光角度と信号強度の関係

SHG顕微鏡の多偏光データを用いた構造解析の結果、Rの値に注目すると、付着させる 塩酸の濃度が高くなるほど、組織の線維配向の乱れが大きくなっていることが確認された。

角度依存性パラメータcaの値を比較した結果も、濃度が高くなるほど配向性が低くなると いう傾向を示した。SHG顕微鏡による微視的な配向性の結果と提案手法による結果の傾向 が一致したことから、提案手法によって線維配向の乱れの異なる部位を検出できることが示 唆された。

6.4.2 負荷による物理的破壊

図6.8(b)に示す点を中心とした5×5ピクセルのデータを、横軸を回転角度、縦軸を信号

強度として関係を示した結果が図6.12である。図6.8(b)のうち、赤の点は6時間の部位、

緑の点は12時間の部位、青の点は24時間の部位である。また、5×5ピクセルの平均の信 号強度とモデル式から、非線形の最小二乗法を用いて求められたca, cm, δθを表6.5に、各 パラメータを用いて描かれるθ+δθと信号強度の関係を図6.13に示す。

表6.5: 求められた評価パラメータ

6時間 12時間 24時間 角度依存性パラメータ ca [a.u.] 16.37 15.42 15.70 最大信号強度パラメータ cm [a.u.] 63.29 57.10 62.53 局所線維配向パラメータ δθ[deg] -2.714 -0.2298 -1.458

図6.12: 角度と信号強度の関係 図6.13: 提案手法により求めた角度

と信号強度の関係

図6.8(a)に示す各点において、170µm×170µmの範囲でSHG顕微鏡によって観察した 結果を、図6.14と表6.4に示す。レーザの偏光角度は、0〜360degの間で10deg刻みに変化 させ、37通りの信号強度を取得した。

表6.6: 負荷による破壊部位の多軸構造解析 6時間 12時間 24時間 smax [a.u.] 560 537 562 smin [a.u.] 231 249 250

R 2.424 2.157 2.248

0 100 200 300 400intensity [a.u.]

0 deg 30 deg 60 deg 120 deg

150 deg

210 deg

240 deg

270 deg 300 deg

330 deg 180 deg

90 deg profile of SHG signal [a.u.]

6時間

0 100 200 300 400 intensity [a.u.]

0 deg 30 deg 60 deg 120 deg

150 deg

210 deg

240 deg

270 deg 300 deg

330 deg 180 deg

90 deg profile of SHG signal [a.u.]

12時間

0 100 200 300 400intensity [a.u.]

0 deg 30 deg 60 deg 120 deg

150 deg

210 deg

240 deg

270 deg 300 deg

330 deg 180 deg

90 deg profile of SHG signal [a.u.]

24時間

図6.14: 偏光角度と信号強度の関係

負荷を印加する時間を変化させた各試料の角度依存性パラメータcaと、多偏光データに よる解析結果Rを比較すると、どちらも負荷を印加した時間による値の差はみられなかっ た。実際に人間が運動する際には、7800N以上の力が瞬間的にアキレス腱に印加される[46]

のに対し、印加した力が約16Nと大きくなかったために、組織の破壊がほとんど発生せず、

線維配向の乱れの程度に差があらわれなかったからであると考えられる。従って、提案手法 により線維配向の乱れが発生していないことが検出できたと考えられる。

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