を得る.境界条件は,撹乱は表面および無限遠で消失するとして
u=0 (9.7)
とする.
さらに,撹乱uの振幅が微小である場合は式(9.5)の2次の微小非線形項(u· ∇)uを無視 する.この場合、式(9.5)は線形撹乱方程式,
∂u
∂t +(U¯ · ∇)u+(u· ∇)U¯ = −∇p+ 1
Re∇2u (9.8)
となる.線形安定性理論において撹乱の初期振幅は微小であり、時間発展は式(9.6)-(9.8) で決定する.
9.1.2
線形撹乱のノーマルモード
撹乱は、次に示すnormalモードの組み合わせとして書ける.
u=v(x)exp(−iωt), p=q(x)exp(−iωt) (9.9) ここでxは一般座標を示し,ωは複素数である.式(9.9)を式(9.8)、(9.6)に代入し,
iωv+(U¯ · ∇)v+(v· ∇)U¯ = −∇q+ 1
Re∇2v (9.10)
∇ ·v=0 (9.11)
である.物体表面と無限遠での境界条件は
v=0 (9.12)
である.したがって,固有関数の非自明解は式(9.10)でω,v,q の固有値問題を解いて得ら れる.
複素数ω =ωr +iωi に対し,撹乱のノーマルモード(9.9)の時間因子は exp(−iωt)= exp(ωit)
| {z }
gr owth/decay
(cosωrt−i sinωrt)
| {z }
oscillations
(9.13)
と書ける.ωr は撹乱の角周波数をωi は振幅の成長率を表す.ωi > 0の時は撹乱の振幅は 時間とともに増幅し撹乱が成長することを意味する.一方、ωi < 0の時、撹乱は時間減衰する ため基本流は線形安定である。一般にωi は撹乱の成長を表すため撹乱の成長率(growthrate) と呼ばれる.
る。基本流が並進対称性を持つ場合異なるFourier成分を独立に取り扱うことが可能である.
本研究において,線形安定性解析は円筒座標系を導入する.基本流U¯ はθ方向に対して不 変であるため、撹乱は次の式のようにθ方向にスペクトル分解される。
©
« uz ur uθ p
ª®®®
®
¬
= ©
«
vz(r,z) vr(r,z) vθ(r,z) q(r,z)
ª®®®
®
¬
exp[i(mθ−ωt)] (9.15)
整数mは周回方向波数である.
平行流近似に基づく場合,基本流はz方向に対しても不変である.したがって,z方向に対 してもスペクトル分解可能であり、
©
« uz ur uθ p
ª®®®
®
¬
= ©
« vz(r) vr(r) vθ(r) q(r)
ª®®®
®
¬
exp[i(αz+mθ−ωt)] (9.16)
のように記述できる。固有関数はr方向のみの関数となり,α,mは任意のパラメータである,
平行流近似に基づくためUr = 0とする.式(9.16)を円筒座標系のNavier-Stokes方程式に 加えて線形化すれば,円筒座標系の線形撹乱方程式を得る.
i(αUz −ω)vz+Uz′vr +iαq = 2 Re
[
vz′′+ 1 rvz′ −
(
α2+ m2 r2
) vz
]
(9.17) i(αUz −ω)vr +q′= 2
Re [
vr′′+ 1 rvr′−
(
α2+ m2+1 r2
)
vr − 2im r2 vθ
]
(9.18) i(αUz −ω)vθ + im
r q= 2 Re
[ vθ′′+ 1
rvθ′ − (
α2+ m2+1 r2
)
vθ+ 2im r2 vr
]
(9.19) iαvz +vr′ + 1
rvr + im
r vθ =0 (9.20)
ここで、′は半径方向の微分を意味する.境界条件は,
vz = vr =vθ =0, (r =0, r → ∞) (9.21)
である.
9.1.4
相似変数の導入と
Chebyshev多項式による離散化
円筒座標系(r, θ,z)に対して以下の相似変数を導入する.
ζ =2 ( z
Re )12
, σ = 2r−1
ζ r ∈ [0.5,∞) (9.22)
したがって,z,r 方向の偏微分は次のように変換される.
∂
∂z = ∂σ
∂z
∂
∂σ + ∂ζ
∂z
∂
∂ζ = 2 ζRe
( ∂
∂ζ − σ ζ
∂
∂σ )
(9.23)
∂
∂r = ∂σ
∂r
∂
∂σ + ∂ζ
∂r
∂
∂ζ = 2 ζ
∂
∂σ (9.24)
ここで,N−1次のChebyshev多項式に対して,N 個の極値をとる点(以下Chebyshev点
と書く)xn は次の様に定義される.
xn = cos ( nπ
N−1 )
0≤ n ≤ N −1 xn ∈ [−1,1] (9.25)
σ ∈ [0,∞]であるため式(9.26)により、Chebyshev点の区間[-1,1]と半無限区間[0,∞)を対 応させる.
σn = σ(ˆ 1+ xn)
1−xn σn ∈ [0,∞] (9.26)
xn = −1→ σn =0,すなわちシャフト表面に対応し,無限遠では xn = 1→ σn = ∞に対応 する.ここでσˆ は点の分配の疎密を決めるパラメータである.
任意の点σn における値 f(σn)は,σ および f(σ)の値を使用してspline補間により決定 する.
hn(x)=
k=0,k,n xn −xk = δnk 0 ≤ n≤ N−1 (9.28) と書ける.式(9.27)をxで微分し,
dV(x) dx =
N−1∑
k=0
DnkVk, Dnk = dhk(x)
dx (9.29)
とする.
2階微分D(2),4階微分D(4)はDをそれぞれ2乗,4乗することで導出される.
D(nk2) = DniDik (9.30)
D(4)nk = D(2)niD(2)ik (9.31)
物体表面の圧力は定義されないため圧力項のChebyshev補間多項式Pの次数はN−1次と なる.
P = N−2∑
k=0
Pkhˆk(x) (9.32)
hˆn(x)= xn+1
x+1 hn(x) 0≤ n ≤ N −2 (9.33)
微分行列をDˆ として,
Dˆnk = xk +1
xn +1Dnk − 1
xn+1δnk 0 ≤ n,k ≤ N−2 (9.34)
と定義される,
9.1.6 Chebyshev
選点法による離散化
速度場の撹乱vは無限遠と物体表面で0になるためChebyshev点の両端を省略しN−1点 となる.したがって、微分はN−2次の多項式展開で表される.
dv dx
x=x
n
=
N∑−2 k=1
Dnkvk (9.35)
d2v dx2
x=xn
=
N∑−2 k=1
D2nkvk. (9.36)
圧力場の撹乱qに関しても無限遠に対応する点を省略するためN −3次の多項式展開,
q=
N∑−2 k=1
qkh˜k(x) (9.37)
h˜k(x)= xn +1
x+1 · xn −1
x−1 ·hn(x) 1 ≤ n≤ N−2 (9.38)
で表される.よってその微分は
dq dx
x=xn
=
N−2
∑
k=1
D˜nkqk (9.39)
D˜nk = 1
xn2−1{(x2k−1)Dnk −2xnδnk} 1≤ n,k ≤ N−2 1≤ n,k ≤ N−2 (9.40) で表される.
したがって軸対称問題における線形撹乱方程式(9.17)-(9.20)は次式で書ける.
i(α¯Uz −ω)¯ vz +Uz′vr +i ¯αq = 1
Reδ{vz′′+ξvz′− (α¯2+m2ξ2)vz} (9.41) i(α¯Uz −ω)¯ vr +q′= 1
Reδ[vr′′+ξvr′ − {α¯2+(m2+1)ξ2}vr −2imξ2vθ] (9.42) i(α¯Uz −ω)¯ vθ +imξq= 1
Reδ{vθ′′+ξvθ′ − (α¯2+(m2+1)ξ2)vθ+2imξ2vr} (9.43)
i ¯αvz +vr′ +ξvr +imξvθ =0 (9.44)
ここで
Reδ = ζRe/2, ξ= ζ
1+ζσ, (9.45)
α¯ = ζα, ω¯ = ζω. (9.46)
(9.49)で書ける.
ω¯AX¯ = BX¯ (9.49)
単位行列をI として、
A=©
« I
I I
0 ª®®®
®
¬
, B= ©
«
b00 b01 0 b03 0 b11 b12 b13 0 b21 b22 b23 b30 b31 b32 0
ª®®®
®
¬
. (9.50)
各小行列のn行k 列成分およびσに関する微分行列を,
(b00)nk = α¯Uznδnk + i Reδ
(
D(2)nk +ξnD(1)nk − (α¯2+m2ξn2)δnk
),
(b01)nk = −iUz′nδnk, (b03)nk =αδ¯ nk, (b11)nk = (b22)nk = α¯Uznδnk + i
Reδ [
D(2)nk +ξnDnk(1) − (α¯2+(m2+1)ξn2)δnk
], (b12)nk = 2ξn
m
Reδξnδnk, (b13)nk =−i ˜Dnk(1), (b21)nk = − 2m
Reδξn2δnk, (b23)nk =mξnδnk,
(b30)nk = αδ¯ nk, (b31)nk =−i(D(1)nk +ξnδnk), (b32)nk =mξδnk
D(nk1) = 1
2 ˆσ(1−xn)2Dnk, D(nk2) = 1
4 ˆσ2(1−xn)3((1− xn)D2nk −2Dnk), D˜(1)nk = 1
2 ˆσ(1−xn)2D˜nk, D˜nk = 1
xn2−1((xk2−1)Dnk −2xnδnk),
と定義する.境界条件より1 ≤ n,k ≤ N −2の範囲で定義される.各小行列は N−2次の正 方行列であるから A,Bは4N−8次の正方行列となる.
9.1.7
圧力項の消去
圧力項を消去する.これにより,圧力に対する境界条件を削除でき,また行列のサイズを 縮小し,固有値問題の計算時間を節約できる.式(9.50)を,
ω¯vz = b00vz+b01vr +b03q (9.51)
ω¯vr = b11vr +b12vθ+b13q (9.52)
ω¯vθ = b21vr+b22vθ +b23q (9.53)
0= b30vz+b31vr+b32vθ (9.54)
と書き直す.vz = (vz1, . . .,vzN−2)であり,他の成分についても同様である.式(9.54)より,
係数行列を左からかけて,
ω¯b30vz = b30b00vz+b30b01vr +b30b03q, (9.55) ω¯b31vr = b31b11vr +b31b12vθ+b31b13q, (9.56) ω¯b32vθ = b32b21vr +b32b22vθ +b32b23q. (9.57) したがって,
q= Pzvz +Prvr +Pθvθ (9.58)
と書ける.ただし.
Pz = −(b30b03+b31b13+b32b23)−1b30b00, (9.59) Pr =−(b30b03+b31b13+b32b23)−1(b30b01+b31b11+b32b21), (9.60) Pθ = −(b30b03+b31b13+b32b23)−1(b31b12+b32b22) (9.61) である.したがって,固有値問題は式(9.62),(9.63)のように3N−6次となる.
ω¯Y¯ = B¯Y¯, Y¯ = (vz,vr,vθ) (9.62)
B¯ =©
«
b00 b01 0 0 b11 b12 0 b21 b22
ª®®
¬ +©
«
b03Pz b03Pr b03Pθ b13Pz b13Pr b13Pθ b23Pz b23Pr b23Pθ
ª®®
¬
(9.63)
9.1.8
線形安定性解析結果
線形安定性解析結果を図9.1に示す.〇は長谷川ら[17] の結果でRe =10000,m= 1,2,* はRe = 10000の非軸対称流のm= 0モードの流れにm= 1,2の撹乱を挿入して線形安定性
図9.1: 線形安定性解析結果,ωi −z依存性,Re= 10000,流線形鏃.