第 4 章 SVM によるグルーヴ感の解析 43
4.2 線形 SVM による 4 次元特徴空間での分類と重要な特徴の判別
4.2.3 実験結果
4.2.3.1 クロスバリデーションによるパラメータチューニングの結果
まず,グルーヴ感の分類に先立ち,過学習を避けるべくクロスバリデーションによる線形
第4 章SVMによるグルーヴ感の解析 4.2線形SVMによる4次元特徴空間での分類と重要な特徴の判別
表 4.1: 各楽器・各打拍における線形SVMの最適パラメータ
楽器 小節内の打拍位置 C クロスバリデーションの 平均分類正解率(%)
1拍目 0.5 76.4706
1.5拍目 512.0 82.3529
2拍目 0.125 70.5882
ハイハットシンバル 2.5拍目 0.5 88.2353
3拍目 16.0 100.0000
3.5拍目 2.0 94.1176
4拍目 8.0 70.5882
4.5拍目 4.0 88.2353
バスドラム 1拍目 2.0 88.2353
3拍目 0.25 88.2353
スネアドラム 2拍目 4.0 82.3529
4拍目 512.0 76.4706
ムのパラメータCについて,その値を2−5,2−4,· · ·,215と等比数列的に変化させながら,
各Cの値を用いて17分割クロスバリデーションを逐一行い,クロスバリデーションの平均 分類正解率が最も高くなったCの値を採用した.
クロスバリデーションを用いて設定された各楽器・各打拍におけるCの値と,その際の クロスバリデーションのそれぞれの平均分類正解率を,表4.1に示す.以下の線形分類実験 では,ここで設定された各楽器・各打拍におけるCの値を最適パラメータとして用いるも のとする.
4.2.3.2 分離超平面の生成と分類正解率
表4.1のCの値を用いた線形SVMによって,ルースとタイトのグルーヴ感を分類する分 離超平面を,各楽器・各打拍ごとに生成した.なお,ここではSVMによる処理の都合上,
入力データの各次元の値は,各楽器・各打拍ごとに[−1,1]の範囲に正規化されたものを用 いている.
まず,生成された分離超平面によるグルーヴ感の分類正解率を,表4.2に示す.表4.2を
表4.2: 線形SVMの分離超平面による分類正解率
楽器 小節内の打拍位置 分離超平面による 分類正解率(%)
1拍目 82.3529
1.5拍目 100.0000
2拍目 76.4706
ハイハットシンバル 2.5拍目 94.1176
3拍目 100.0000
3.5拍目 94.1176
4拍目 88.2353
4.5拍目 94.1176
バスドラム 1拍目 88.2353
3拍目 88.2353
スネアドラム 2拍目 82.3529
4拍目 100.0000
見ると,分類正解率が最も低かったのはハイハットシンバル2拍目の76.4706%で,最も高 かったのはハイハットシンバル1.5拍目・ハイハットシンバル3拍目・スネアドラム4拍目 のいずれも100.0000%であった.また,その他の楽器・打拍についても,軒並み80%台後半
〜90%台の高い正解率となっている.このことから,ハイハットシンバル・バスドラム・ス ネアドラムのどの楽器についても,グルーヴ感によって演奏に明らかな差が生じているとい うことが確認できたと同時に,線形分類であっても高い正解率での分類が可能であることが 示された.
4.2.3.3 分離超平面の係数比較
次に,各楽器・各打拍における分離超平面の方程式中に現れる各次元の係数および定数項 の値を,表4.3に示す.ただし,分離超平面の方程式f(x)は
f(x) =a1x1+a2x2+a3x3+a4x4+b= 0 (4.1) であり,x , x , x , x の各次元は,それぞれ以下の特徴に対応しているものとする.
第4 章SVMによるグルーヴ感の解析 4.2線形SVMによる4次元特徴空間での分類と重要な特徴の判別
表4.3: 分離超平面の方程式における各次元の係数・定数項の値
楽器 小節内の打拍位置 a1 a2 a3 a4 b 1拍目 -0.4379 -1.2721 0.2892 0.4440 -0.2892 1.5拍目 -7.3730 -22.3474 25.6994 -0.0244 -1.6728 2拍目 -0.1434 -0.3420 0.6253 0.5826 -0.0708 ハイハットシンバル 2.5拍目 0.2476 -0.8413 1.2883 0.6664 -0.2601 3拍目 0.7195 -3.7472 4.1272 1.0184 -2.8756 3.5拍目 -1.3156 -1.7463 1.0883 0.7699 0.1078 4拍目 -0.1106 -0.6649 3.7733 -1.1612 -1.1827 4.5拍目 0.7351 -0.6975 2.9755 0.7320 -0.8135 バスドラム 1拍目 -2.0616 0.8125 0.7273 0.7666 -0.0832 3拍目 -0.3267 -0.0192 1.0971 0.3093 -0.0639 スネアドラム 2拍目 -2.1500 0.3907 1.4855 -1.0190 0.3718 4拍目 0.2693 -3.2189 40.4558 -1.9122 -24.0406
• x1:打点時刻ずれの平均
• x2:打点音量の平均
• x3:打点時刻ずれの標準偏差
• x4:打点音量の標準偏差
3.8節で述べたように,係数の絶対値を比較することによって,上記4次元が表す特徴の うち特にどの特徴がグルーヴ感の分類に寄与しているのかを判別することができる.ここ で,各楽器・各打拍において分離超平面の方程式における各次元の係数の絶対値を比較した グラフを,図4.1〜図4.12に示す.図4.1〜図4.12において,グラフの縦軸は分離超平面の 方程式における各次元の係数の絶対値,グラフの横軸は左から順に打点時刻ずれの平均・打 点音量の平均・打点時刻ずれの標準偏差・打点音量の標準偏差の次元をそれぞれ表している.
0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4
Volume(SD) Time(SD)
Volume(Mean) Time(Mean)
Coefficient (Absolute Value) of the Separating Hyperplane Dimensions of Input Vectors
図 4.1: ハイハットシンバル 1拍目 分離超平面の方程式における各次元の係数の絶対値の 比較
0 5 10 15 20 25 30
Volume(SD) Time(SD)
Volume(Mean) Time(Mean)
Coefficient (Absolute Value) of the Separating Hyperplane Dimensions of Input Vectors
図4.2: ハイハットシンバル1.5拍目 分離超平面の方程式における各次元の係数の絶対値の 比較
第4 章SVMによるグルーヴ感の解析 4.2線形SVMによる4次元特徴空間での分類と重要な特徴の判別
0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7
Volume(SD) Time(SD)
Volume(Mean) Time(Mean)
Coefficient (Absolute Value) of the Separating Hyperplane Dimensions of Input Vectors
図 4.3: ハイハットシンバル 2拍目 分離超平面の方程式における各次元の係数の絶対値の 比較
0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4
Volume(SD) Time(SD)
Volume(Mean) Time(Mean)
Coefficient (Absolute Value) of the Separating Hyperplane Dimensions of Input Vectors
図4.4: ハイハットシンバル2.5拍目 分離超平面の方程式における各次元の係数の絶対値の 比較
0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 4.5
Volume(SD) Time(SD)
Volume(Mean) Time(Mean)
Coefficient (Absolute Value) of the Separating Hyperplane Dimensions of Input Vectors
図 4.5: ハイハットシンバル 3拍目 分離超平面の方程式における各次元の係数の絶対値の 比較
0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4 1.6 1.8
Volume(SD) Time(SD)
Volume(Mean) Time(Mean)
Coefficient (Absolute Value) of the Separating Hyperplane Dimensions of Input Vectors
図4.6: ハイハットシンバル3.5拍目 分離超平面の方程式における各次元の係数の絶対値の 比較
第4 章SVMによるグルーヴ感の解析 4.2線形SVMによる4次元特徴空間での分類と重要な特徴の判別
0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4
Volume(SD) Time(SD)
Volume(Mean) Time(Mean)
Coefficient (Absolute Value) of the Separating Hyperplane Dimensions of Input Vectors
図 4.7: ハイハットシンバル 4拍目 分離超平面の方程式における各次元の係数の絶対値の 比較
0 0.5 1 1.5 2 2.5 3
Volume(SD) Time(SD)
Volume(Mean) Time(Mean)
Coefficient (Absolute Value) of the Separating Hyperplane Dimensions of Input Vectors
図4.8: ハイハットシンバル4.5拍目 分離超平面の方程式における各次元の係数の絶対値の 比較
0 0.5 1 1.5 2 2.5
Volume(SD) Time(SD)
Volume(Mean) Time(Mean)
Coefficient (Absolute Value) of the Separating Hyperplane
Dimensions of Input Vectors
図4.9: バスドラム1拍目 分離超平面の方程式における各次元の係数の絶対値の比較
0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2
Volume(SD) Time(SD)
Volume(Mean) Time(Mean)
Coefficient (Absolute Value) of the Separating Hyperplane Dimensions of Input Vectors
図4.10: バスドラム3拍目 分離超平面の方程式における各次元の係数の絶対値の比較
第4 章SVMによるグルーヴ感の解析 4.2線形SVMによる4次元特徴空間での分類と重要な特徴の判別
0 0.5 1 1.5 2 2.5
Volume(SD) Time(SD)
Volume(Mean) Time(Mean)
Coefficient (Absolute Value) of the Separating Hyperplane
Dimensions of Input Vectors
図4.11: スネアドラム 2拍目 分離超平面の方程式における各次元の係数の絶対値の比較
0 5 10 15 20 25 30 35 40 45
Volume(SD) Time(SD)
Volume(Mean) Time(Mean)
Coefficient (Absolute Value) of the Separating Hyperplane Dimensions of Input Vectors
図4.12: スネアドラム 4拍目 分離超平面の方程式における各次元の係数の絶対値の比較
表 4.4: 分離超平面の方程式における各次元の係数の絶対値の順位獲得回数 絶対値の 打点時刻ずれの 打点音量の 打点時刻ずれの 打点音量の
順位 平均 平均 標準偏差 標準偏差
1位 2 2 8 0
2位 2 5 1 4
3位 2 3 1 6
4位 6 2 2 2