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ドキュメント内 九州大学学術情報リポジトリ (ページ 41-55)

本研究ではB2型規則合金の規則化過程を速度論的に, かつ統 括的に明らかにすること, 特に規則化過程に及ぼす過剰空孔の 影響を明らかにすることを目的とし, 実験結果の解析に簡便に 適用できる a般的速度式を導出した. この速度式は, 規則化の 系過程に関する特定のモデルによらず, B2型規則合金における 般的な物理条件から導出した規則度Sの3次項まで含む非線 形速度方程式であり, 実験結果の解析に簡単にかつ直接的に適 用でき, - �支的に成り立つという利点を持つ. さらに, この速 度式を空孔濃度の時間変化まで考慮した式に拡張し, 典型的な 82型規則合令の 'つであるFeCo合令の規則化過程の速度論的 解析に適用した.

4方, Fe Co合金の不規則領域から焼入れた後の等温規則化 に伴う格子定数変化をX線同折法で測定した. また, 規則領域 から焼入れた後の等速昇温規則化に伴う電気抵抗変化を直流四 端子法で測定した. さらに, 電気抵抗からその温度微係数α Rお

よび規則度のみによる電気抵抗の温度微係数ム α Rを求めた. こ れら格子定数, α Rおよびム α Rの実験結果を導出した速度式で 解析し, B 2型規則合金の規則化における一般的速度式および FeCo合金の等温規則化過程と昇温規則化過程に関して以下の 結論を得た.

104

-( I

) 一般的速度式

(1) B

2型規則合金の 4般的速度式として次式を提唱した.

dS/dt=1/2 . C..F(T)S{S� v e (T)2 - S2},

ただし, Sは規則度, Se(T)は平衡規則度 Cvは空孔濃度およ びF(T)はS, tを含まない温度Tの正の関数である.

( 2

)一般的速度式に含まれるF(T)を以下のように仮定すること により, 擬化学反応論より得られたTakagi-Oguchiの式およ

び原子論的立場で導出されたVineyardの式と対応させて, 原 子振動数(ν)および活性化エネ ルギー(

ç

)との

れ次

関 係 式を得た

.

(

A

)T a k a

g

i -

O

g

u

c

h i

との 対 応

F(T)=ν , (Tc/T)exp(-ç='

C

Tc/T).

原子振動数に対して

ν , =4ν ,

活 性化エネルギーに対して

ç=' =1/3+ç=.

105

-(B)Vineyardの式との対応

F (T) =ν , (Tc/T)2exp(- ç

m'

Tc/T).

原子振動数に対して

ν , =49/4ν

フb孔の移動エネルギーに対して

tm' =7/42+t

m

-( 11

)等温規則化過程

( 1

)等温規則化過程に適用できる速度式として次式を得た.

ただし

X=Xe/ [1+(α -l)exp !-t/τ -ß +ßexp(一γ(T)t! ]

1 /τ =XeF(T)Cve(T),

α =X e/X 。=S e2/S 02,

F =XeF(T) lCve(Tq)-Cve(T)! /γ(T) .

( 2 )格子定数Pと規則度の2乗Xの聞の関係式として次式を得た.

p=

A

+ BX

ー106

-ただし,

A=

2.84957xlO-10

ffi,

B=

0.00322xlO-10

ffi.

( 3 )合金の空孔の形成および移動エネルギーとしてつぎの値を 得た.

0 0 m m // // T1,u YEEd 'K 守K 1i ハY 9 3 1i

一一一一

f m E E

(4 ) 合金の格子定数(規則度)は, 焼鈍時間の経過とともに2

段階で増加する

.

不規則状態か ら焼入れられたFeCo合金を等温 焼鈍により規 則化する場介 焼鈍の初期には焼入れによる過剰空孔を媒介に

した規則化が急速に進み(ステージ1 ) やがて過剰空孔は消 滅し , つぎに熱予衡濃度の空孔によって引き続き規則化が進行 する(ステー ジII) . このため格子定数(規則度)は焼鈍時間 の経過とと もに2段階で増加し, この2段階変化は低い焼鈍温度 ほど顕著に現われる.

( 5 )空孔濃度変化を合む木研究の速度式は, 実験結果をよく説 明し, 格子定数の2段階変化も合理的に解釈出来る. しかし,

今孔濃度変化を含まない速度式(

4

- 2)は, 規則化が50 %程度進 行したのち すなわち過剰空孔が消滅したのちの規則化過程に

しか適用できない.

107

-( 111

)等速昇温規則化過程

( 1 )等速昇温規則化過程に適用できる速度式として次式を得た.

dX/dT=11φ ・ CvF(T)X(Xe-X).

ただし,

dCv/dT=-11φ - N

d

P2ν 1 Cv-Cv(T)!

exp(-Em/RT),

F (T) =ν exp(-Em/RT).

( 2 )電気抵抗の温度微係数αRおよび αRからフォノン散乱と磁 気的散乱の項を除いたム αRと規則度の2乗Xとの聞につぎの関 係式を得た.

αR=a(1-g2X)+3b(1-g3X)T2

ー(glρ。+g2aT+g3bT3)dX/dT.

ム αR αR-(a+3bT2)

=-(g2a+3g3 bT2)X-(gl

P

0十g2aT+g3bT3)dX/dT.

ただし, a,b,gl,g2,g3は定数である.

(3 )焼入れ速度φで温度T から焼入れた試料の空孔濃度C とQ

- 108

-規則度の2乗Xは次式で近似される.

Cv= Cv(T Q)exp{ (N dp2 ν/φ)k(TQ)},

X=XoXQI

[XQ+(X o-XQ)exp{ (X 。 νCv/φ)k(TQ)}].

ただし,

k(T Q)=(RT Q2 IEm)exp(-Em/ Q

I

� m RT Q)' XO=Xe(T), XQ=Xe(TQ).

(4

)等速昇温規則化過程では, 規則度の2 段階変化は現われな

し】

773以kの規則領域から焼入れた場合 焼入れ温度の平衡先

孔濃度の98.5%程度が過剰ZE孔として凍結される. 焼入れたの ち一定速度 で昇温した場合, 凍結された過剰空孔は650K付近 から急激に減少し , _ EL最小値を示し たのち増-加に転じ

800 K付近で平衡空孔濃度に達する . これに伴い規 則度も 650 K付近から急激に増加し, 焼入れ温度が高い程急激である.

また, 800 K付近で -旦 、子衡値より大きくなり その後は焼入 れ温度に関係なく平衡値で推移する. α Rやム α Rの変化はその 初期段階で(8 00Kまで)過剰空孔の影響を大きく受けるが, そ れに続く平衡空孔濃度変化と連続的であり, その結果, 規 則度 の2段階変化は生じない.

- 109

-(5

)電気抵抗の残留抵抗およびフォ ノン散乱と俄気的散乱の各 項に規則度の影響を考慮したα Rやム αRに関する本研究の速度 式は, 規則化に伴うα Rやム αRの変化の実験結果をよく再現し た. また, 焼入れ直後の規則度と空孔濃度の初期値を合理的に 見積もることにより, 規則化に伴うαRやム αRの動的挙動およ

び規則化に及ぼす過剰空孔の役割を合理的に説明できる.

(6

) フォ ノン散乱による電気抵抗は, 規則化に伴い規則度の2 乗に比例した影響を受け, その比例定数は7.0xl0-5K-lであ る.

( 7

)磁気的散乱による電気抵抗は, 規則化の影響をほとんど受 けない.

(8

)合金の残留抵抗率は, 規則度の2乗に比例して減少し, そ の比例定数は0.03である.

AU ----a

謝 辞

本論文は, 著者が九州大学 大学院 総合理工学研究科 材料開 発工学専攻 金属材料物性学講座において, 平成8年度文部省同 内研究員として留学中 沖 憲典教授の御指導のも とにそれま で行った研究をまとめたものである . '(中教授の長年にわた る御 教授 と御鞭捷に心か ら感謝致します. また 沖研究室のスタ ッ

フである桑野範之助教授の有益な御教示 板倉 賢助手のコンピ ュータに関する助言, 波多 聴助手の御協力に厚くお礼申し上げ ます.

本研究の遂行の過程で は, 多くの方々にお世話になり ました .

特に , 昭和4 8年度文部省国内研究員として九州大学工学部鉄 鋼冶金学科に留学した際, 本 研究の基礎を築いて下さり, その 後も数々の適切な助r jと御指導を戴いた江口 鉄男先生, 文献 や実験についての御教示を戴いた工学部材料工学科の友清 芳二 助教授に深く感謝致します. また, 本論文作成にあたり, 種々 の御指導を賜わった九州大学歯学部太田 道雄教授および総合理 工学研究科の森永健次教授に厚くお礼申し上げます.

留学にあたり御尽えj 戴いた都城高専 江藤校長, また, 公私に わたり御援助戴いた都城高専応用物理 平原教授 森茂助教授 お よび a般物理立山技官, 木下事務官に心から感謝いたします.

本論文は, 仁記の}f々をはじめと する多くの方の御協力 と御 支援によって完成したものであることを特記 し 重ねて厚く御 礼申し上げます.

、11成9年 7月

111

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