本研究では、MPTP 誘発パーキンソン病モデルマウスにおける運動機能 障害および認知機能障害に対する機能改善薬の探索、およびその標的となるタ ンパク質の探索を行った。EP は体内でピルビン酸とエタノールに加水分解され た後、ピルビン酸がミトコンドリア内へ移行し、クエン酸回路の基質として働 く結果、その下流の電子伝達系が活性化される。sigma-1 受容体である SA4503 は、ミトコンドリア関連小胞体膜に存在する IP3R に結合した sigma-1 受容体 に作用し、ミトコンドリア内に Ca2+ を直接流入させる。EP および SA4503 は それぞれ異なる経路からミトコンドリアの ATP 産生能を向上し、パーキンソン 病様症状を改善したと考えられる。一方で、FABP3 特異的リガンドである MF8 は、FABP3 に結合することで FABP3 と α-syn の会合を阻害し、毒性を持つ
α-syn のオリゴマー化を阻害する結果、パーキンソン病様症状の発現を抑制した
と考えられる。したがって、EP、SA4503、MF8 の 3 薬剤はそれぞれ異なるメ カニズムでパーキンソン病様症状を改善することが予想された (Fig. 16)。次に、
これらの 3 薬剤を臨床応用することを考え、すでに臨床で使用されている
L-DOPA とともに特徴を比較した (Fig. 17)。本研究の結果から、EP、SA4503、
MF8 は神経細胞保護効果があり、それにより MPTP 誘発性の運動機能障害、
認知機能障害を改善した。このことから、この 3 薬剤はパーキンソン病の根本 的治療薬となる可能性がある。一方で L-DOPA は、脳内で低下したドパミン量 を補充することでパーキンソン病様症状を緩和する薬剤であるため、対症療法 であり、さらに認知機能障害を改善しない。以上の事から、EP、SA4503、MF8 は、
現在パーキンソン病の第一選択薬である L-DOPA に比べて優れている薬剤で あると結論づけることができる。また、臨床応用の際には安全性を十分考慮す
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る必要がある。EP は体内でピルビン酸に加水分解されるが、ピルビン酸自体は 生体内に存在する分子であるため、安全であると考えることができる。SA4503 は、現在脳梗塞に伴ううつ様症状の改善という適応で臨床試験の第二相に進ん でおり、その安全性は確保されている。一方、MF8 は、近年我々が開発した分 子であり、未だ安全性に関するデータは少ない。今後、前臨床試験に向けての 検討が必要であると考えている。
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Fig. 16. The scheme of summary in this study.
Expected mechanisms of improvement the Parkinson’s disease symptoms by EP, SA4503, MF8 are shown. Each of the three drugs protects dopaminergic neurons by different mechanisms and improves Parkinson's disease-like symptoms.
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Fig. 17. Comparison of characteristics of each drug.
EP, SA4503, MF8, L-DOPA are compared for the clinical application. EP, SA4503, and MF8 have neuroprotective effects, it suggests to be disease-modifying therapies.
L-DOPA is a symptomatic treatment and does not improve cognitive dysfunction. EP, SA4503, and MF8 seem to be superior drugs to L-DOPA.
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