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, , 温度と播種深度の変動の影響について 播種深度が1cmでは全体的に土中出芽率が高く 品種間差異がみられないことから,25℃の高温下では播種深度が2〜3cmでの試験が適し ていると考えられた.15℃の低温区における鞘葉出芽率は播種深度が3cmではほとんど出 芽せず,播種深度2cmでは品種間差異がみられないことから,15℃の低温下では播種深度 1cmでの試験が適していると考えられた.温度と播種深度の違う条件での出芽率の間には

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ほとんどすべての試験区間において有意な相関が認められた よって 温度15℃〜25℃

播種深1cm〜3cmの条件において品種間差異が把握できると考えられた.本研究では,多 数の品種を検定することを目的として,検定期間が短い25℃,播種深度2cmの検定条件を 遺伝子源の土中出芽性の評価方法とした.

圃場検定用に深度2cmに播種できるテープシーダを試作し,室内検定と比較検討したと ころ,土中出芽率は全体的に低い結果となったが,有意な相関が認められ,室内検定で 圃場の土中出芽性を概ね評価できると考えられた.しかし,室内検定の土中出芽率が高 い品種においては室内検定と圃場検定の結果が異なる品種が認められたため,20℃,3cm の条件で行うことが品種を育成する上で適当と考えられた.

現実の直播栽培では催芽種子を用いることが想定されるため,催芽種子を用いた.粒 状培土は,土壌条件が均一になるが還元状態になりにくく,土中出芽性に優れた遺伝子 源を評価する目的には適さないため水田土壌を用いた.室内検定において代かき土壌の 場合には正確に播種深度を調節することが難しく圃場検定との相関が高いこともあり,

未代かき土壌で行った.

カルパー粉衣は低コスト栽培の目的には合致せず,カルパー粉衣が不要である品種を育 成するのが本研究の目的であり,土中出芽性の評価はカルパー粉衣を用いず,催芽籾を播 種することとした.乾籾を播種した場合,未発芽の場合もあり,評価すべき出芽性以前の 段階で出芽性が劣ると判断する可能性が高く,発芽した籾を播種することで土中出芽性の みを評価した.乾籾での土中発芽性と土中出芽性は複雑な要因が関連するので今後は別の

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検討が必要と思われる 土壌を用いないで還元条件にする方法による評価は再現性が高く

検定方法として有望であるが,多数の品種を用いて土中出芽率と高い相関関係があるとい う報告はなく,また,土壌の還元によって引き起こされる環境ストレスをすべて再現でき るかは疑問であり,土壌条件との違いを表現できる評価方法と合わせた検討が必要と思わ れる.

このようにして確立した検定法を用いて,次に土中出芽性に優れる遺伝子源の探索を行 った.

土中出芽性に優れる遺伝子源についてはさまざまな報告があるが,日本の栽培品種より 優れているという報告は少なく,日本在来稲の赤米 (星野ら 1985),Italica LivornoやK aeu N‑17 (萩原 1993),ASD1 (山内・上野 1995),Aswina (Saka and Izawa 1999),Arro z da Terra (Ogiwara and Terashima 2001) などが既に報告されている.

本研究での室内検定では,日本,在来品種に土中出芽率の高い品種が多く認められ,

星野ら (1985) と同様の結果と思われた.また,イタリア・ロシアの大粒品種やアメリ カの品種の中に出芽率の高いものが認められ,これは藤代ら (1988) と同様の結果であ った.一方,中国,韓国,インド・スリランカ・バングラディシュの品種には出芽率の 低い品種が多かった.フェノール反応や粒粒で,印度型と判断されたものの土中出芽率 が低かく,これは飯村ら (1995) が日本稲の還元抵抗性が高いとしていることと符号す る.

上林ら (1994),Yamauchiら (1993),Saka and Izawa (1999) が印度型品種で出芽苗 立ちに優れたもののあることを報告してはいるが,一般的には日本型品種の方が印度型 品種にくらべ,高い土中出芽性を持つと考えられた.

圃場検定で高い土中出芽率を示した品種はTa Hung Ku,KAEU N 16,KAEU N 17などが あった.室内検定における土中出芽率と圃場検定における土中出芽率の間には有意な相 関が認められた.

萩原 (1993) は,Arroz da Terra,KAEU N 17,Italica Livorno,コシヒカリを供試

度条件の違いによって土中出芽率が異なる傾向を示した品種も認められたことから,土 中出芽性の評価は,数種の温度条件を変えて考慮する必要があると考えられた.

Ta Hung Kuは,気象条件の異なる2年間の圃場検定の結果において,Arroz da Terra,

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Italica LivornoおよびKAEU N 17より高い土中出芽率であり 温度条件の違いによらず 日本栽培稲のキヌヒカリより有意に高く,これまでに報告されている土中出芽性の遺伝 資源より優れていると考えられた.Ta Hung Kuは長大粒でフェノール反応はなく,どん とこいとの交配後代に不稔個体がわずかに認められるなど生態型は不明である.

このようにして多くの品種を各種の条件下で探索した優れた遺伝子源を交配母本として 用い,土中出芽性のみではなく,農業形質にも優れた品種の育成を試みた.

キヌヒカリ/赤米の交配後代から短稈,高出芽率個体を選抜し,さらに圃場検定で最 終的に2系統を選抜して,生産力検定試験に供試したが,これらは収量がかなり劣った.

どんとこい//北陸148号/Arroz da Terra,どんとこい//北陸148号/Dunghan Shaliの交 配後代の交配後代から,主に葉いもち圃場抵抗性,玄米品質,倒伏程度による選抜を行 い,選抜系統を圃場検定に供試したが,土中出芽率はどんとこいと差がなかった.葉い もちが多発し,玄米品質が劣り,分離も大きく,良質で固定した系統を選抜するのは困 難であった.

Ta Hung Kuは極早生で長稈,長芒を多数有し,穂発芽しやすく,脱粒しやすいという 劣悪な特性をもつが,一方葉いもち病に強い.これを交配した後代系統の圃場検定で出 芽率の高い系統を選抜し,さらにその中から固定度が高い系統を再度圃場検定に供試し た.その結果,2年間ともに土中出芽率の高い系統を選抜し,Ta Hung Ku並の土中出芽率 である収6570が選抜できた.

収6570はどんとこい並の短稈で,脱粒は難であったが芒が多く大粒で品質が不良であ

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り やや少収であった 収6570は 北陸PL3と命名され 土中出芽性に優れ かつ収量性 玄米品質,食味,芒についても優れた品種育成のための中間母本として用いられること となった.

どんとこい/Ta Hung Kuにさらにどんとこいを戻し交配した後代から和系375,和系376 の2系統を選抜した.和系375,和系376は農業形質が優れ,しかも日本晴より良食味であ った.これら2系統は圃場検定において出芽率が高く,室内検定においてもTa Hung Ku並 の土中出芽率であった.したがって,和系375,和系376はTa Hung Kuの土中出芽性を取 り込みながら,脱粒性,稈長 (倒伏),芒,品質,食味を改良した系統と考えられた.さ らに,いもち病にも強く,優れた土中出芽性をもつ系統として有望である.

土中出芽性に優れる遺伝子源を用いた品種の育成経過において,前年に土中出芽率が 高いが翌年に低い結果となり棄却した系統が多い.土中出芽性は複雑な要因をもつ特性 であり,土中出芽性に優れた品種を確実に育成するには,数世代にわたり土中出芽率で 選抜し,土中出芽性に関して固定した系統を選抜することが必要と思われる.また,交 配親の違いで選抜効率が大きく異なるので,的確な遺伝子源を利用することが重要であ ると考えられる.

最後に土中出芽性の遺伝様式の究明を行った.

Ta Hung Ku,どんとこいを用いた交配後代の土中出芽率の調査結果から,F3は両親の中 間値にピークがある連続した頻度分布を,B1F2系統はどんとこいに近い値にピークがある 連続した頻度分布を示し,B1F3系統の頻度分布も同様であった.

星野(1989)は,赤米/ツクバハタモチの交配後代の土中出芽率を調査した結果から,

1対の不完全優性遺伝子と推定しているが,本研究での頻度分布をみると,数世代にわた る分離を想定することが妥当であり,少数の遺伝子のみでの説明はできないと思われた.

SSRマーカーにおいて,有意差を認められた4マーカーは,Ta Hung Ku型の集団の土中出 芽性が高い結果であった.4マーカーのうち,3マーカーは第2染色体のマーカーで,連鎖 地図第2染色体の中央部から長腕側に位置していた.他の1マーカーは,第5染色体のマー カーの短腕側に位置していた.いまだ,土中出芽性に関するQTLの全体像は不明だが,さ らに解析を進め,QTLを明らかにし,選抜マーカーを決定していけば,圃場での土中出芽

このように本研究によって土中出芽性の評価方法が確立され,優れた遺伝子源が選定も され,良好な農業形質と土中出芽性を兼ね備えた有望系統が育成された.さらに土中出芽 性の遺伝情報の一部が明らかにされた.これらの知見や有望系統は今後の直播栽培の安定 化に大きく寄与するものと考えられる.

謝辞

本研究を行うにあたり,宇都宮大学農学部 吉田智彦 教授の懇切丁寧なご指導を賜り ました.心からお礼申し上げます.

東京農工大学農学部 平沢正 教授,茨城大学農学部 松田智明 教授,宇都宮大学農 学部 本條均 教授,同 和田義春 助教授には,本論文の御校閲を賜りました.

北陸農業試験場においては,小林陽室長,上原泰樹室長,作物研においては,井辺時雄 部長,安東郁男室長のご指導をいただきました.

福田善通博士,佐藤宏之博士,竹内善信研究員には,実験の遂行にあたり多大な協力と 助言をいただきました.

福井清美主任研究官,清水博之研究員,小牧有三主任研究官,笹原英樹研究員,大槻寛 研究員,平山正賢主任研究官,根本博室長,加藤浩室長,出田収主任研究官,平林秀介 主任研究官には,選抜育成にあたり多大な協力をいただきました.

また,業務科職員および非常勤職員の方々には,実験の遂行にあたり多大な協力をいた だきました.

ここに記して深く感謝いたします.

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貴重な種子をご分譲いただきました星野孝文 山内稔両氏に心から感謝の意を表します 最後に,親愛なる妻,両親へ. 理解し支えてくれて本当にありがとう.

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