緊急に⾚⾎球の輸⾎が必要な出⾎性ショック状態にある救急患者について,
直ちに患者の検査⽤⾎液を採取することに努めるが,採⾎不可能な場合には 出⾎した⾎液を検査に利⽤しても良い。輸⾎⽤⾎液製剤の選択は状況に応じ て以下のように対処するが,⾎液型の確定前にはO型の⾚⾎球の使⽤(全⾎
は不可),⾎液型確定後にはABO同型⾎の使⽤を原則とする。
1)ABO⾎液型確定時の同型の⾎液の使⽤
患者の最新の⾎液を検体として、ABO⾎液型及びRho(D)抗原の判定を
⾏い、直ちにABO同型⾎である⾚⾎球(⼜は全⾎)を輸⾎する。輸⾎と 平⾏して、引き続き交差適合試験を実施する。
2)⾎液型が確定できない場合のO型⾚⾎球の使⽤
出⾎性ショックのため,患者のABO⾎液型を判定する時間的余裕がない 場合,同型⾎が不⾜した場合,緊急時に⾎液型判定⽤試薬がない場合,
あるいは⾎液型判定が困難な場合は,例外的にO型⾚⾎球を使⽤する(全
⾎は不可)。
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抗D判定における異常反応
患者⾎球の質的・量的な異常
後天的な変化(妊婦・⽩⾎病等)
DAT陽性患者
抗Dによるマスキング
寒冷凝集素の影響
抗D試薬の劣化・不適正な使⽤
D異型輸⾎(D+⇒D-)
D抗原の分類
D (Normal)
Weak D (D u ): 弱反応性D
Partial D
Partial weak D
Elevated D
1996年 Dr.Daniels講演より
Unusual
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35000 30000 25000 20000 15000 10000 5000 2000 1000 500 250 0 S1
0 5 10 15 20 25 30
頻度
抗原sites 模式図
D
D
D D
D
D D
D D
D
sites(x104) R1r DCcee 0.99-1.46 R0r(R0R0) Dccee 0.2-2.0
R2r DccEe 1.4-1.66 R1R1 DCCee 1.45-1.93 R1R2 DCcEe 2.3-3.1 R2R2 DccEE 1.58-3.33 D- - D- - 11-20.2 weak D Du 0.011-0.047
Phenotype
P.L. Mollison(1979)より
D抗原量の分布
Weak D
⽩⼈における頻度は0.2%〜1%
遺伝⼦検査において脂質⼆重膜内の部位に点変異が⾒られる
遺伝⼦レベルでは76 Type・ 84種に分類(2010年)
抗原数は100から4000 sites/cells
Weak D Type2 (446-818 sites/cells)であっても免疫原性あり
WeakD Type 抗原数 頻度(Caucasian)
Type 1 533〜1283 70.3%
Type 2 446〜818 18.0%
Type 3 1333〜2650 5.2%
Type 4 1687〜2406 1.3%
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アジア各地におけるDEL に関する報告
報告 D陰性頻度 DEL頻度
(D陰性に占める) DEL全体頻度
⽇本⼈
0.58% 10.3% 0.060%
中国
0.28% 25.5% 0.071%
⾹港
0.29% 29.2% 0.085%
韓国
0.15% 16.3% 0.024%
台湾
0.33% 32.0% 0.106%
⽩⼈(Caucasian)
15% 0.18% 0.027%
⿊⼈(African)
3-7% NA NA
DEL⾎液による抗体産⽣が疑われた症例
患者は67歳⼥性・B, ccdee
20年前にD陽性⾎液の輸⾎により抗D産⽣の履歴あり
2000年以降輸⾎された⾎液構成(ccdEE:1, ccdee:7, ccdEe:6, Ccdee:2, CcdEe:3)
0 2 4 6 8 10 12
0 50 100 150 200 250 300 350 400 450
LDH(IU/L) Hb(g/dL)
輸⾎ 4U 6U 7U 2U
不規則抗体 (-) (-) (-) (+:抗D)
JJTM Vol.51, No.6:
2005より(⼀部改変)
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「Weak D」 と 「Partial D」
Partial DもWeak Dも、Rh(D)抗原のアミノ酸配列が⼀部変化したもの(417aa) わずかなアミノ酸の変化は⽴体構造を含む構造への影響を及ぼす
主に⾚⾎球膜の外側もしくはその直近位置の変化:
●Partial D
⇒ エピトープが変化し、抗Dが結合出来なくなる部分ができる 主に⾚⾎球膜内や内側の変化 : ●Weak D
⇒ Rh(D)抗原の膜外への表出状態が変化(減少)する
● Partial Dで⾒出された変化
● Weak Dで⾒出された変化
⾚⾎球膜 外側↑
内側↓
Clin. Lab. 2002;48:53-59より抜粋
「Weak D」 と 「Partial D」
⾚⾎球
D遺伝⼦⾚⾎球
D遺伝⼦⾚⾎球
D遺伝⼦⾚⾎球
D遺伝⼦Normal D Weak D Partial D* Partial-Weak D*
* 明確な定義はなく、⼈により解釈が異なる
⽤いる試薬により分類が異なる場合があり要注意
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抗D弱反応時の検査
検体の再調製の実施と再検査
異なるformulationの抗Dを⽤いた試験
直接凝集試験
D陰性確認試験(間接抗グロブリン法)
ポリクローナル抗Dを⽤いた被凝集価測定
凝集像の判定に注意が必要
×2 ×4 ×8 ×16 ×32 ×64 ×128 ×256 ×512 ×1024 ×2048
正常 D陽性 4+ 4+ 4+ 3+ 3+ 2+ 2+ 1+ 1+ w+ 0
Weak D 3+ 3+ 2+ 1+ w+ 0 0 0 0 0 0
異型輸⾎ 2+ 2+ 2+ 2+ 2+ 1+ 1+ w+ w+ 0 0
mf mf mf mf mf mf mf mf mf 0 0
輸⾎検査の実際 第三版より抜粋
D(+) モノクローナル抗D(MoAb)+被検⾎球
(-)⼜は(±) (+)
D u 因⼦確認試験
モノクローナル抗D (MoAb) + 被検⾎球 ポリクローナル抗D(PoAb)
MoAb(+)
PoAb(+) MoAb(-)
PoAb(+) MoAb(-) PoAb(-)
Partial D D(-) titration
Weak D
D(+)
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IBGRLに依頼された検体
依頼数 抗体保有 依頼数 抗体保有 依頼数 抗体保有 依頼数 抗体保有 依頼数 抗体保有
weak D 8 0 14 0 12 0 38 0 72 0
Ⅵ 10 2 22 1 11 2 10 0 53 5
HMi 1 0 7 1 7 0 11 0 26 1
HMii 1 0 4 0 4 0 2 0 11 0
Ⅴa 6 2 1 0 2 0 2 0 11 2
not identfy 3 2 3 1 3 1 8 2 17 6
DFR 1 0 7 0 1 0 0 0 9 0
Ⅶ 0 0 0 0 4 4 2 2 6 6
Ⅲc 1 1 0 0 1 1 1 1 3 3
Ⅱ 0 0 2 2 0 0 0 0 2 2
Ⅲa 0 0 2 2 0 0 0 0 2 2
Ⅳa 0 0 1 1 0 0 1 0 2 1
Ⅳb 2 0 0 0 0 0 0 0 2 0
DBT 1 1 0 0 0 0 0 0 1 1
計 34 8 63 8 45 8 75 5 217 29
計
Transfusion Med. 1995より⼀部改変
1991 1992 1993 1994
ANTI-D EPITOPE No SPECIFICITY
(1-9)
A LHM76/58 + + - + + + + - + (+) - + 1+
B LHM76/59 + + + + + - + + + + - - 4+
C LHM174/102 + + + + - - + - + + - - 3+
wD LHM50/B2 + + + + + + + - + + - + 4+
E LHM169/81 + + + + - - - - + + - - 4+
F ESD1 ? + ? ? - - + + + ? - ? 3+
G LHM76/55 + + + + - - + + + + - - 4+
H LHM77/64 - + + + - - + + + + - - 4+
I LHM70/45 + + + + - - - - + - - - 0
J LHM59/19 + + + + + + + - - - - + w+
K LHM169/80 + + + + + + + - + + - - 4+
L LHM57/17 + + + + + + + - + - + + 0
VARIANT
DFR
TEST
Re su lts
DHAR DBT
D II D IIIa DIIIb DIIIc D IVa D IVb Dva DVI DVII
IS 37
℃ weak D
0 NT 3+
3+ NT NT
4+ NT NT
3+ NT NT
3+s NT NT
1+ NT NT
BioVue
®ABR cassette Polyclonal anti-D IgG
Gamma clone anti-D IgM/IgG Monoclonal anti-D「三光」
Monoclonal anti-D「wako」
Bioclone
®anti-D Blend
市販抗D試薬DFRが疑われた症例
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Weak D表現型患者の管理
扱い⽅ 対応とリスク
供⾎者 Rh陽性扱い
Rh陰性患者にこの供⾎者を輸⾎すると、抗D産⽣の刺激となる可能性がある(これらの⾎球に免疫原 性が無いことを⽰す⼗分な証拠に⽋ける)。但し陰性確認試験陰性群の中にも微弱なD抗原を持つ供⾎
者がいることは報告されているが(約10%.⼤久保ら.1993)陰性⾎として供給されている。また、抗 Dを保有するRh陰性者に輸⾎された場合、⽣体内で抗Dと反応するためAG法によるD陰性確認試験 の確認が絶対必要。
D陰性確認試験実施後・
陰性扱い
D陰性確認試験未実施・
陰性扱い
陽性扱い
患者の年齢・性別・D陰性⾎液の⼊⼿の可能性・緊急性を考慮して、Rh陽性⾎液を輸⾎することもあ る。Rh陰性⾎液の浪費は防げるが免疫の機会の否定はできない。Rh0(D)異型輸⾎実施時同様に本⼈・
家族へのインフォームドコンセントが必要かどうか今のところ不明。
Rh陽性扱い
(RhIgの観点より)
妊娠初期に検査を⾏いWeak DであればRhIgの投与対象者とはならない。妊娠初期にD陰性確認試験 を実施することはその後の経胎盤出⾎をWeak Dと⾒誤らないためにも重要。仮に抗D抗体を産⽣した 場合にはD陰性の妊婦の場合と同様の処置を要する。(検査で免疫は防げない)
Rh陰性扱い
(RhIgの観点より)
本来妊娠初期に検査を⾏いWeak DであればRhIgの投与対象者とはならない。⼀⽅では⺟親にとって harmlessであり、児の⾎液への効果がないとはいえないといった説もありRhIg投与を⾏う医師も存在 する。⺟親⾎球への感作により効果に関しては疑問⼤。また、RhIg投与基準に則していないことも問 題(ローブリンテスト陽性は投与対象とならない)。
新⽣児 Rh陽性扱い
(RhIgの観点より)
⺟親が陰性且つ新⽣児がWeak Dの場合には⺟親を免疫する可能性があるため、⺟親にRhIgを投与す る。
輸⾎予定者
(受⾎者)
産婦⼈科患者
直後遠⼼で反応がみられないまたは微弱な反応を⽰す全ての患者にRh陰性⾎液を輸⾎する。受⾎者に とって最も好ましい(リスクのない)対応といえる。ただしこれはRh陰性⾎液の浪費につながりD陰性者 の少ない⽇本⼈においては問題が残る可能性がある。また、試薬特性により正常D陽性者であっても弱 反応を⽰す(⼿技上の問題)場合があり、この対応には検査環境(検査⼿技)の徹底が前提となる。