本研究は,東北 6 県の養護教諭を対象として,アンケート調査を行った結果,高校に おける集団保健指導の現状と集団指導の実施を左右する要因について,次の事が明らか になった。
1.高校における集団保健指導の現状
・平成28年度集団保健指導の実施状況は,実施している人が220人(72.1%),実施し ていない人が84人(27.5%)であった。実施回数は,0回が84人(27.5%),1~3回が 135人(44.4%),7回以上が12人(3.9%)で,1~3回の割合が一番多かった。
・集団指導の実施内容は,多い順で「性教育」が65.5%,「飲酒・喫煙・薬物」が43.6%,
「修学旅行前の保健指導」が 30.5%,「応急処置関係」が 20.9%,「精神保健・コミ ュニケーション」が20.0%であった。
・実施する機会として,講演会・HR活動・その他行事等(以後行事等)があり,「行っ ている」「時々行っている」を合わせて多かったのは講演会で外部講師の講演会はほ とんどの学校において行われていた。HR 活動では実施率が低く,その原因として,
限られた時間数の中で,保健指導の時間確保に苦慮している状況と保健室が空けられ ない等の問題が推察された。行事等について行事に向けて,学年・学級からの依頼や,
行事の計画の中に組み込まれていると,時間確保が保障され実施につながりやすい。
2.養護教諭が必要と思う集団指導の内容
・養護教諭が必要性があると思うものは,心肺蘇生・AEDが94.8%,飲酒・喫煙・薬物 保健室での処置が34.4%,肥満・ダイエットが52.1%,体の発育発達が51.8%,ア レルギーが51.5%であった。
・必要と思う内容は,実施内容と一致しており,集団指導へつなげていた。集団指導 が必要であると思わないものについては,個別の対応が個々で異なり必ずしも全体 へつながらない内容,プライバシーへの配慮が必要な内容であった。
・集団指導の必要性が低い項目は,個別指導で実施している割合が高いものが多く,
個別で十分対応している状況があった。
3.集団指導に対する養護教諭の考え
・集団指導についての考えは自由記述より,「個別指導優先,重要視」「集団指導の困 難感」「個別指導と集団 指導の相互作用」「職員の理解と協力(学校全体としての 取組)「方法の工夫」「養護教諭の考え(思い)」の6つとどれにも当てはまらないも のとしてその他が分類された。
・実施に当たっては,学校全体の理解と協力を養護教諭は望んでいる。学校全体の教 育活動一環として,保健指導が計画,実施,評価されていくことが望まれる。
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4.集団指導実施を左右する要因
・養護教諭の基本的特性と実施回数の関係では,関連があるのは生徒数と学科(普通 科とそれ以外)のみで、それ以外は関連が見られなかった。
・集団指導実施を左右する因子として、因子分析により「意欲」「協力体制」「自信」「専 門性」「問題意識」に分類された。
・実施回数と関連があったのは、「意欲」「協力体制」「自信」「問題意識」の 4 つであ った。
・「意欲」は生徒へ伝えたい,身に付けてほしいことがある等の実施しようとする意欲 と,学校の現状や背景,生徒の状況により個別指導を重視し,集団指導をあえて実 施しない意欲もある。小・中学校より集団指導の実施率が低い状態であるが,様々 な背景を考慮してのことであることを理解しなければならない。
・講演会は「意欲」のみ関連があった。多くの学校において外部講師の講演会が行わ れており、実施する機会を設けようとする意欲によって実施が左右されるが、実施 者が外部講師のため、それ以外については影響があまりない。
・HR活動は、「意欲」「自信」「問題意識」に関連があり、実施に際して問題意識があ ることで計画し、実施を検討し行う際には「意欲」「自信」が関係している。
・行事等は,「意欲」「自信」に関連がある。対象人数が多いため,集団指導の経験や
集団の前で行える自信が実施に影響を与えると考えられる。
・集団指導の実施を左右する要因として,「意欲」「協力体制」「自信」「問題意識」が
考えられるが,特に大きく影響しているものは養護教諭の「意欲」であることがわ かった。
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謝辞
最後に,大学院進学の機会に恵まれ,多くの学びや出会いを得たことは,私にとって 大きな財産となりました。
進学の機会を与えてくださいました青森県教育委員会,職場の皆様,辛くも楽しい時 間を過ごした先輩や同期の院生の皆様,応援してくださった養護教諭の仲間の皆様,い つも見守ってくれた家族,本研究にあたりご協力いただきました東北の養護教諭の皆様,
ご指導・ご助言くださいました大学院の先生方,そしていつも大らかに見守ってくださ いました指導教員の太田誠耕先生に心より感謝申し上げます。
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引用・参考文献
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6)前掲書5):p27
7)奈良岡美保著者代表:小児看護学概論 小児臨床看護総論 小児看護学①,医学書院,
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8)三木とみ子:四訂 養護概説,ぎょうせい,p35-36,2011 9)高等学校学習指導要領,文部科学省,東山書房,p15,2009 10)前掲書8):p207
11)文部科学省ホームページ:
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/old_chukyo/old_hoken_index/toushin/13146 91.htm
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13)植田誠治,河田史宝:新版・養護教諭執務のてびき第8版,東山書房,p264,2013 14)前掲書11):p266
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19)丸岡里香,野口直美,杉山厚子:北海道の養護教諭が実践する健康教育の現状につい て,北方圏学術情報センター年報,p31-38,2014
20)半構造化面接:http://mumu.jpn.ph/forest/computer/2016/06/28/5633/
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21)松尾太加志,中村知靖:誰も教えてくれなかった因子分析 数式が絶対出てこない因
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