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分子動力学を用いて,SWNT - SWNT間,SWNT - Lennard-Jones分子間の熱コンダクタンス(界 面熱抵抗 [m2K/MW] の逆数)を計算した.

実際のSWNTバンドルと同様に六角格子状に並んだ7本SWNTに温度差をつけ,それが緩和 されていく過程の時定数と,集中熱容量法から予測される時定数を比較することにより,熱コン ダクタンスを算出して,その結果,10 [MW/m2K]となることがわかった.他の研究で,1本のSWNT 内に構造欠陥がある場合の熱コンダクタンスの値と比較したところ凡そ300 ~ 1000倍程度の差が あることがわかった.また,非常に高いといわれるSWNT軸方向の熱伝導率と比較するため,双 方の値を熱流束にして比較したところ,SWNTの長さが長くなるほど側面からの熱の流れが大き くなり,1.5 µm 程度になったところで軸方向,直径方向の熱の流れが等しくなることが分かった.

SWNT と Lennard-Jones 分子の熱コンダクタンスの測定では,温度・密度を変えて計算し Lennard-Jones分子の相が熱コンダクタンスに大きな影響を与え,その値は0.01 ~ 10 [MW/m2K] と なることがわかった.気体,気液2相,液体,超臨界流体の領域では,SWNTに付着する(SWNT の比較的強い分子間力によって液滴となる)Lennard-Jones 分子膜に含まれる分子数が熱コンダク タンスを決定する大きな要因となっていることを見つけた.また,衝突という観点からも考え,

SWNTに1回Lennard-Jones分子が衝突する毎に,衝突した分子とSWNTの温度差が衝突前に比 べて(適応係数) 0.72倍に緩和されていくことがわかった.

Lennard-Jones分子が固相となる領域においては,密度を上げても SWNTの第一近接に存在す る分子の数は変化しない.それにもかかわらず密度上昇に伴って熱コンダクタンスが上がるのは 固体になったことで固有の振動モードをもち始めたためと考えられる.実際に,SWNTの振動モ ード,Lennard-Jones分子の振動モード,2つを共存させたときの振動モードを比較し,SWNTか らLennard-Jones分子へある振動モードでエネルギーが伝播されることがわかった.Lennard-Jones 分子の密度が上昇すると,固有の振動モードが高周波な方向にシフトし,エネルギー伝播にかか わる周波数と重なる部分が多くなる.つまり,熱を伝える振動が豊富になることになり,熱コン ダクタンスが上昇すると考えられる.

以上のように,SWNTとLennard-Jones分子の熱コンダクタンスを広い領域に渡って見積もり 伝熱のメカニズムに関する知見を得るに至った.Lennard-Jonesポテンシャルは分子間力を一般的 に表現するため,今回の計算で非常に幅広い物質との伝熱特性を予見できるようになったと思わ れる.しかし,軸方向の高い熱伝導率と比較して非常に小さい値であることもまた明らかになり,

熱特性を応用した工業製品を実用化するためには,1次元的な伝熱特性を生かした設計にするか,

他物質との界面における熱特性をなんらかの方法で改善することが望まれる.界面における熱特 性の改善に関しては今後研究が続けられていく必要がある.

参考文献

4.14 1

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謝辞

私が丸山研究室に来て,早3年が経ちました.

日々の研究生活,また,この論文を執筆するにあたり,丸山茂夫教授には多くの助言,励ま しをいただきました.深く感謝いたします.また,研究室を支えてくださった井上さん,渡辺さ ん,初鹿野さんにも大変お世話になりました.

研究室におられる諸先輩がたにも多くのことを学びました.真摯な研究姿勢,鋭い観察眼に はおどろきの連続でした.私が修士2年になってから研究室にこられた塩見さんには言葉では尽 くせぬほどにお世話になりました.塩見さんの助言なしには,論文の考察がここまでいたること はなかったでしょう.渋田さんは,卒業論文のときから分子動力学の師でした.丸山研には意外 性を持つドクターがたくさんでびっくりです.村上さんの研究に対する熱意は輻射熱で感じられ るほどでした.お体を大切にすばらしい研究成果を出し続けてください.千足さん,卒論生の進 み具合を心配している様子はまるで研究室のパパのようでした.また牛タン食べに行きましょう.

宮内さん,あまりがんばりすぎずに研究つづけてくださいね.風邪引いてばかりの私が言うのも なんですが,健康第一です.エリックさんは研究もさることながら,日本語のうまさに感服しま した.ビミョウ.山口さん,西井さん,嶋田さん,研究会などでの助言大変参考になりました.

ありがとうございました.

一緒に修士論文の季節を迎えたM2のみなは,思えば学部4年生のときからの付き合い.互い に違うテーマだからこそ聞けた話は,意外なほど研究の進む道を示されました.吉永君のMathnori に没頭する様子や,枝村君の体の頑丈さには感心させられまくりです.来年からの社会人生活が んばっていきましょう.M1の3人は,研究室の雑務をこなしてくれて,快適に研究生活を送れま した.3者3様のがんばりで,残る修士生活を充実させてください.

4年生のみんなは,研究室の雰囲気を非常にもりあげてくれました.卒業論文の発表が先に終 わり,これを書いている今,強く実感します.研究室がとても静かです.研究生活に活気と勢い はかかせませんね.日々の雑談もとてもたのしかったです.天凛2003 & 2004もありがとう.お いしいお酒は日々の活力の源です.一日一合・週休二日.2005年ものが出荷されたときには,ま た飲みましょう.

最後になりましたが,退官された庄治正弘教授,その秘書渡辺美和子さん,修士 1 年までで したが,大変お世話になりました.

この文を読み返すと,あらためて,多くの人に支えられて書き上げたことを実感いたします.

皆様,本当にありがとうございました.

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