7.1 はじめに
7. 2 本研究の結論
7. 3 今後の課題と展望
第 7 章 結論
7.1 はじめに
本章では、専門家と非専門家のインテリア認知に関する研究のプ ロセスにおいて得られた結論を示した。そして、本研究のなかで被 験者の認知構造の特徴とその変化を明らかにする方法論の今後の 展望と課題について検討する。また、開発途中ではあるが二重符号 化論を基にイメージコラージュを活用した環境評価手法の可能性 についても論じたい。
7.2 本研究の結論
本研究を進めるにあたって、テーマ別にみると下記の三つである。
三つのテーマに沿って仮説を立て、その検証を行うことで本論の結 論を得た。
(
1
)インテリア空間を評価する専門家のインテリア認知の特徴と 生活者のインテリア認知の特徴を比較することで、その違いを明ら かにする。その結果をもとに、対象空間を評価する被経者の属性と 専門性に関する違いがインテリア評価にどのような違いをもたら すのか明らかにする。仮説「専門家と非専門家は立場・役割の違いにより見方が異なる」
専門家は提案する立場としてクライアントの要望と好みを把握 することで、ニーズに合った説得力のある提案をしたいと考えてい ることがわかった。
提案を受ける立場の非専門家が「納得・安心」を得るために、そ の「判断」をどのような具体的な判断材料から得ようとしているの か明らかにすることができた。また、その判断基準になるものが生 活経験を基にしていることがわかった。
(
2
)専門性に関係なく各個人のインテリア認知の個人差を類型化 することで、類型化別のインテリア認知の特徴とその背景にある個 人差の共通性を把握する。仮説「専門家と非専門家はインテリアの見方が異なる」
類型別の評価構造は、それぞれの環境に対する感覚的理解とその 背景にある経験と知識に裏付けられた客観的かつ具体的な判断を 示していることが認められた。
専門家にも様々なタイプの人がいるように、非専門家にも専門化 なみのインテリア認知をする人がいることがわかった。専門家と非 専門家との仕分けでは、その枠組みに合わない専門家と非専門家が 存在することがわかった。概して、専門家は価値目標が明確であり、
専門家と非専門家の見方は保持している知識構造の違いとして明 確に異なることがわかった。
(
3
)専門家を志す初心者が専門性の蓄積の過程で、専門家として の価値観をどのように身に付けていくのか、その過程を評価構造の 変化として捉えることは、専門家を志す者にとって、教育的意義が あると考える。併せて、発達段階の被験者の評価を決定している要 因の因果関係を明らかにし、専門家の評価構造の形成過程を解明す ることで、専門性教育へ資する知見を得る。仮説「専門家と非専門家では保持するインテリアの知識構造が異 なる」
類型別を行うことで、評価構造の「分化」「統合」の特徴の違い を示し、評価構造の「進化と変容」を学生の学年の違いと専門家 の属性より、専門的知識と経験を身に付ける過程に沿って評価構 造の進化と変容を段階別に示すことができた。
イメージコラージュの新技法を活用し、認知構造図より、「知識 の手続き化」と「知識の構造化」の観点から専門家と非専門家の
「認知構造」違いを確認することができた。これらの結果より、
専門家のインテリア認知とその背景にある経験に裏打ちされた知 識構造を抽出することができた。
結論としては、専門家と非専門家では保持するインテリアの知
識構造が異なることを検証することができた。その過程で専門家 保持する知識の仕組みと特徴を認知構造として把握出来たことは 大きな成果であったといえる。
序論の冒頭でも述べたが、設計者は house を建てる作り手のプロ であるが、生活者は house の先にある自分と家族の安らぎと幸せの ある home の創り手である。今回の調査でもその違いが示された。ま た、役割の違いからの調査では顧客がインテリアの専門家に何を期 待し、どのような役割を果たしてもらいたいのかを気配りをみるこ とができた。直接、環境と人との関わりではなく、プレゼンボード というモノをとおしてインテリアの仕様を評価することは既往の研 究では類をみない。そのことがかえって、目標を持ってインテリア をみる姿勢を構成システムの特性の違いとして、その因果関係も含 めて示すことができた。また、今後に向けて住まい手の類型化とそ の根拠を示すことができたことは一定の成果であったといえる。
6.2 今後の課題と展望
認知システムの「認知の複合性」に関わる「分化」「統合」の指 標は、今後多数の調査事例を重ねることで、その信頼性を確保しな ければならない、対人的な使用を目的にしなければ、「環境-人」
の関係で有用性を発揮すると考える。特に、評価グリッド法は様々 な分野で活用されていることを考えると
また、調査で試したイメージコラージュを用いた新手法は、今回 は個別インタビューの形式で取り組んだが、一方でイメージコラー ジュの作成とインタビューを含めると一人あたり 2 時間程度を要 することが課題として残っている。また、集団での活用についても 課題があるが、キャプション評価法自体がイメージコラージュ技法 の一方法であることからその可能性は大きいといえる。