図 3.71 加工方向プラス方向における Force
7. 結論
本研究は、形彫放電加工において荒加工段階で超高速回転ミーリング加工に同機械上 で切り替え加工を行うことで、加工時間、加工精度及び形彫放電加工機での超高速ミー リングの複合加工の適応性について検討したものである。今までのミーリング加工と違 い放電荒加工面への加工のため、従来のデータでは対応できない点が生じる。そのため、
放電荒加工面に対する超高速回転ミーリングの加工条件及び表面制度を明らかにする 研究である。
まず、切り込み深さと残留放電痕の関係についての実験では、放電荒加工面に対する 最小な切り込み値が判明したとともに、数式化することができ、
切り込み量 Z [μm]=1.7×Ry という公式を得た。
次に、放電荒加工面において超高速回転ミーリング最小切り込み量での最大ピック量の 選定の実験では、最大ピック量を選定することができた。
最大ピック量(Y)=50μm
また同時に最小切り込み量と最大ピック量においての超高速回転ミーリング最適条 件での表面粗さを得ることができ、形彫り放電加工機と同等の表面精度が得られること がわかった。
放電荒加工面15μm/Ryでは1.2μm 放電荒加工面25μm/Ryでは2.60μm
同時に、6軸センサの測定結果より、放電荒加工面に対して超高速回転ミーリング加 工を行う場合においての機械軸に加わるForce/Torque も明確となり、また超高速回転 ミーリングにおいての加工方向に対するForce/Torque のかかる向きも明確となった。
超高速回転ミーリングにおいてのForce/Torque は、ごくわずかなものであり、形彫放 電加工機において超高速ミーリングが使用可能であることが判明し、複合加工の可能性 が見出された。
そこで以上の結果をふまえ、実際に半球状の3次元形状の加工を行い、放電加工のみ で仕上げる場合と複合加工を用いて仕上げる場合との加工時間を比較した。これにより 複合加工法を用いることによって、加工時間をおよそ1/5に短縮することができた。ま た、表面粗さでは形彫放電加工機とほぼ同程度の精度がえられた事からも複合化後方が より実用的であることがわかった。
放電加工のみ 6 時間 38 分 36 秒
複合加工 1 時間 22 分 23 秒 79%の時間短縮
最後に、本研究を行ってきた中で問題視された点を列挙し今後の課題として以下に 示す。
1. 深溝加工を施す際の加工法について
2. 鋭角を有する形状やエッジ部の加工法について 3. 焼き入り材料での超高速回転ミーリング加工の試み 4. 精度向上のための軸のATC化
5. 6軸センサのデータをリアルタイムで機械にフィードバックさせ、加工を制御する。
謝辞
本研究及び本論文は、小林和彦のご指導の元に行われ、完成するに至りました。終始 御指導、ご鞭撻を賜りました同教授に厚く御礼申し上げます。
共同研究者の和田浩一氏には研究を進めるにあたり、多くの御教示、御助言を頂くと共 に、研究外の事柄に対しても非常に御世話になり、同氏に深く感謝の意を示すものであ
ります。
また、電気加工研究室及び長尾研究室の方々には本研究の完成に際し、ご援助、ご協力 を頂いた事に関して感謝し、御礼申し上げる次第であります。
参考文献・資料
1) 武藤一夫 高松英次:金型設計・加工技術 P.152〜156
2)和田浩一 形彫放電加工に置ける加工時間短縮に関する研究 P.8
3) 安斎正博:高速・高精度な金型加工を実現するためには 精密工学会秋季大会2001年度講演論文集 P.314
4) 高木六弥:金型工作法 P73
5) 武藤一夫 高松英次:金型設計・加工技術 P.155
6) 武藤一夫 高松英次:金型設計・加工技術 P.165
7)向山芳世:形彫・ワイヤ 放電加工マニュアル P.78〜81
8)ツールエンジニア編集者:エンドミルのすべて P50〜54
付録 1
Force/Torque データ
切り込み深さと残留放電痕の関係についての Force/Torque の結果
1.放電荒加工面15μm/Ry図F.1 切込み量15μmにおいてのForce 図F.2 切込み量20μmにおいてのForce
図F.3 切込み量25μmにおいてのForce 図F.4 切込み量15μmにおいてのForce
図F.5 切込み量15μmにおいてのTorque 図F.6 切込み量20μmにおいてのTorque
図F.7切込み量25μmにおいてのTorque 図F.8 切込み量30μmにおいてのTorque
2. 放電荒加工面25μm/Ry
図F.9切込み量25μmにおいてのForce 図F.10 切込み量35μmにおいてのForce
図F.11 切込み量40μmにおいてのForce 図F.12 切込み量45μmにおいてのForce
図F.13 切込み量25μmにおいてのTorque 図F.14 切込み量35μmにおいてのTorque
図F.15 切込み量40μmにおいてのTorque 図F.16 切込み量45μmにおいてのTorque
超高速回転ミーリング最小切り込み量での最小ピック量の選定のForce/Torque結果 1.放電荒加工面15μm/Ry
図F.17 ピック量10μmにおいてのForce 図F.18 ピック量50μmにおいてのForce
図F.19 ピック量75μmにおいてのForce 図F.20 ピック量100μmにおいてのForce
図F.21 ピック量10μmにおいてのTorque 図F.22 ピック量50μmにおいてのTorque
F.23 ピック量75μm Torque 図F.24 ピック量100μm Torque
2 .
放電荒加工面25μm/Ry図F.25 ピック量10μmにおいてのForce 図F.26 ピック量20μmにおいてのForce
図F.27 ピック量30μmにおいてのForce 図F.28 ピック量50μmにおいてのForce
図F.29 ピック量75μmにおいてのForce 図F.30 ピック量100μmにおいてのForce
図F.31 ピック量10μmにおいてのTorque 図F.32 ピック量20μmにおいてのTorque
図F.33 ピック量30μmにおいてのTorque 図F.34 ピック量50μmにおいてのTorque
図F.35 ピック量75μmにおいてのTorque 図F.36 ピック量100μmにおいてのTorque
付録 2
エンドミルの加工距離と磨耗につい ての顕微鏡写真
エンドミルの加工距離と消耗について、任意に設定した加工距離において、ボール エンドミルの顕微鏡写真を撮影した。
エンドミル新品
1m加工後
2m加工後
5m加工後
10m加工後
20m加工後
30m加工後
新品
30m加工後