• 検索結果がありません。

80

81

ついては鉄筋かぶり7 cm程度まで振動変位の計測が可能であることが確認でき、腐食減少 率と振動変位の間に相関がみられた。D13のせん断補強筋では、鉄筋径が細く励磁コイルの 電磁力が伝わりづらいため5 cm以深の鉄筋の振動変位の推定が困難であった。かぶりの浅 い鉄筋については、試験体の浮きの影響もあり100 μmを超える振動変位も得られた。した がって、実構造物においても鉄筋の振動変位の計測が可能であり、腐食評価の適用できる可 能性が示唆された。

7-2 今後の課題

加振レーダ法を用いて、実験的にコンクリート内部の鉄筋腐食評価を行った上で生じた 課題は以下の通りである。

 加振システムの改善

本論文で使用したシステムをもちいた場合、かぶり5 cm以下では振動変位と腐食減量に 単調増加の傾向が見られた。しかし、かぶりが5 cmをこえる状況では振動変位が正確に計 測できない場合が多くあった。実際の構造物ではかぶりが5 cm程度かそれより深いものが 多いとされている。そのため、励磁コイルの巻数を増やしたり、流すことのできる電流を増 やすことで加振力を強くし、より深くまで電磁力が伝わるよう改良する必要がある。

 電食実験の見直し

第 5 章にて行った電食実験では、電食に使用した供試体の鉄筋端部が出ている面と鉄筋 のコンクリートと外気の境界部分にのみエポキシ樹脂の塗布を行った。しかし、特にかぶり

5 cm の供試体では計測面ではなく側面方向にひび割れ、さび汁が現れてしまう傾向が見ら

れ、腐食減量に対する鉄筋の振動変位の評価が正確に行えなかった。そのため、計測面と水 分の浸透面以外にエポキシ樹脂を塗布するなどして腐食の進行方向をある程度制限して評 価を行う必要がある。

 振動変位に影響を与える因子の検証

本論文では、腐食生成物および腐食生成物の発生にともなうひび割れが振動変位に与え る影響について検証を行った。しかし、実際の構造物においては、高強度コンクリートを使 用している場合や様々な径の鉄筋が使用されている場合がある。また、実構造物の劣化では、

第 6 章で示したように浮きや剥落などといった現象も起きる。そのため、振動変位がコン クリート強度や鉄筋径、浮きなどによりどのような影響を受けるのか検証する必要がある。

82

参考文献

【1】碓氷淳,” 励磁コイル加振によるコンクリート内配線のドップラ映像系に関する基礎的 研究”,平成27年度群馬大学修士論文

【2】山村允人,”鉄筋節のレーダイメージングによる鉄筋腐食評価に関する基礎的研究”,平成 27年度群馬大学修士論文

【3】三輪空司,”周波数掃引加振ドップラによる逆合成イメージング”,計測自動制御学会論文 集,Vol.52,pp.538-544(2016)

謝辞

本研究を行うにあたり基礎から応用にわたる丁寧なご指導、ご協力を賜りました群馬大 学理工学部電子情報部門、三輪 空司准教授に心より感謝申し上げます。

本研究を行うにあたり懇切丁寧な御指導、御協力頂きました群馬大学大学院理工学府電 子情報部門 本島 邦行教授 山越 芳樹教授に深く感謝申し上げます。

本研究を行うにあたり励磁コイル加振システム作成について貴重なご意見を賜りました 群馬大学理工学研究院電子情報部門、栗田 伸幸准教授に心より御礼申し上げます。

本研究を進める上で、供試体の打設にご協力いただきました群馬大学理工学府環境創生 理工学部門 小澤 満津雄教授に心より感謝申し上げます。

供試体の製作、電食実験についてご協力、ご相談頂きました東電設計株式会社、堤知明 様、中川貴之様、志岐仁成様、東京電力、鬼束俊一様、富田沙希様、安田浩二様に感謝申 し上げます。また、屋外実験場をご提供頂きました安藤ハザマ株式会社、村上祐治様にも 感謝申し上げます。

本研究を進める上で、計測システム作成にあたり貴重なご意見を賜りました群馬大学、

遠坂 俊昭客員教授に心より感謝申し上げます。

関連したドキュメント