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結論

ドキュメント内 修 士 学 位 論 文 (ページ 64-69)

課題①に関して、イオン液体を用いた電気二重層トランジスタ構造において、ゲート電 圧(チャネル電圧)を変化させることにより半導体型SWCNT薄膜の極性のP型からN型 への連続的な変化が観測され、さらに P 型・N 型両方の領域においてピーク構造が現れる ことを確認した。ゼーベック係数の極大・極小値はそれぞれ4 回の測定の結果からP型に おいて 、N型においては となり、これらの値は商業的に用い られる Bi2Te3系熱電材料に匹敵する大きさであることが分かった。また熱電変換素子の性 能指数であるZTに大きく影響を与える因子であるパワーファクターに関してもチャネル電 圧の変化に対して P 型・N 型それぞれの領域でピークが見られ、フェルミレベルを正確に 制御することで SWCNT 薄膜の熱電変換材料としての性能を最大限に引き出すことが出来 ることを示した。以上のように、フェルミレベルに依存した熱電特性を解明した。

課題②に関して、SWCNT 薄膜2枚を組み合わせた熱電変換デバイスに関して、P型・P 型と P 型・N 型の組み合わせにした時の薄膜両端の温度差と経路で発生した起電力の大き さからトータルの熱電能を求めた。P型・N型の組み合わせにおいてゼーベック係数が重ね 合わさる形で強め合い大きな熱電能を確認した。これにより、P 型と N 型を連続的につな げることでオールカーボンの高効率の熱電変換素子の応用への可能性を示した。またP型・

P 型の組み合わせでは各薄膜で発生する起電力が弱め合いことで熱電能がゼロ又は負にな ることを確認した。

さらに、前述の測定においては非ドープの領域の存在によりP型とN型のピーク値の大き さが非対称であったが、本測定の結果から N 型の最大値を求めると 2 回の測定の平均が

-144.18 となり、P 型と同様に絶対値として 150 程の値を示すことを明らかにし

た。

課題③に関して、SWCNT薄膜にレーザー光を照射した際に発生する熱を利用した熱電変 換型光起電力発生の検証に関して、直径が約 1.4nmの半導体型 SWCNT の場合レーザー光 に対する起電力の大きさは 16mV/W であり、これまで報告された効率と比較すると非常低 い変換効率であった。直径が約1.4nm の金属型 SWCNTにおいても同様の測定を行い、レ ーザー光に対する起電力の大きさは6mV/Wであった。半導体型・金属型SWCNT薄膜の両 方でレーザー光照射に対する起電力発生の応答が見られたが、変換効率が低いことや応答 の大きさ(変換効率)のばらつきなどの課題があるため、今後フェルミレベルの正確な制 御や再現性の検証を行うとともに、光照射位置の依存性の測定やや異なるカイラリティの

SWCNTを用いた際の光熱電変換測定などを行う必要があると考える。

60 参考文献

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発表論文

(巻末に添付)

 K. Yanagi, S. Kanda, Y. Oshima, Y. Kitamura, H. Kawai, T. Yamamoto, T. Takenobu, Y. Nakai, and Y. Maniwa, Nano Lett., 14,6437 (2014)

 Y. Oshima, Y. Kitamura, Y. Maniwa, and K. Yanagi, Appl. Phys. Lett., 107,043106 (2015)

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謝辞

私がこの修士論文の研究を行うにあたって、多くの方々のご指導・ご鞭撻を賜りました。

柳和宏先生には、テーマの提示や実験の進め方などから、結果のまとめ方や解析手法ま で多くのことを指導していただきました。また日々、懸命にお仕事をされ、実験に勤しん でいる先生のお姿を拝見し、私も負けずに頑張ろうと地道に研究を進めたからこそ、本修 論に記した結果と 2 つの論文にまとめられるほどの成果が出せたと思っております。大変 感謝しております。

大島侑己君とは、同じ研究テーマで 2 年間実験を進め、互いに協力しながら課題を克服 したり、長時間の測定をしたりすることで価値ある結果を残すことが出来、有意義な研究 生活を送ることが出来ました。大島君の測定プログラムの改善を行う知識や、問題点を見 つけてとことん突き詰めていく姿勢には何度も助けられました。今度、社会人となり技術 者として活躍していくことを楽しみにしています。

ナノ物性研究室の真庭豊先生、宮田耕充先生、中井祐介先生、また早稲田大学の竹延大 志先生、東京理科大学の山本貴博先生には研究に対する様々な助言やご指導をしていただ きました。幅広い知識からのご指導は、私の知識不足を省みる必要性を自覚させられ、勉 強になりました。

表界面光物性研究室の先輩・後輩の皆さまにも大変お世話になりました。先輩方には、

実験や勉強から就職活動まで幅広くご指導いただき、大変感謝しています。学生生活にお いても、他愛のない会話やスポーツやトランプなどをして遊んだ記憶が今でも鮮明に蘇り ます。とても大切な宝物となる時間を過ごさせていただきました。後輩方には、研究面に 関しては、私自身の知識不足などのせいで有意義な指導が出来ないことも多々あり、迷惑 をかける場面もありましたが、よく指示に従ってくれたり気軽に相談してくれたりしたこ とがありがたくもあり嬉しくもありました。来年度はメンバーも変わり、新しく助教の方 が来られるということで、研究室の雰囲気も大きく変わると思いますが、皆さんの力で邁 進してください。期待しております。

そしてナノ物性研究室や電子物性研究室、何より表界面光物性研究室の同期の方々にも、

2年間ですが非常にお世話になりました。皆さまと過ごした日々は、一生忘れられないかけ がえのない思い出となりました。今の私があるのは、皆さまのおかげであると思います。

これから苦労することも多いと思いますが、皆さまとの楽しかった時間を思い出しつつ、

乗り切るよう頑張ろうと思います。皆さまのご活躍も願っております。

最後になりますが、これまで私の研究にご協力をしていただいた、全ての皆さまに心よ り感謝しております。

本当にありがとうございました。

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補足

1. パワーファクターの算出結果

本文の 4-2-3項において簡単のため最も信頼性の高いdevice4に関するパワーファクター

のチャネル電圧依存性のデータを示した。ここでは測定を行ったすべてのデバイスの

device1~device4におけるパワーファクターのチャネル電圧依存性のグラフをFig.6-1に示す。

Fig.5-1 に示した結果から、device1,device3,device4 においては本文で述べたようにピーク

構造が確認できるが、device2 に関してはピーク構造が見られない。これはゼーベック係数 の測定の段階で、ゲート電圧に対してリファレンス電圧(チャネル電圧)が通常とは異な り線形に変化せず、その結果、電気伝導率とゼーベック係数の 2 乗の掛け合わせの際のデ ータ点(チャネル電圧依存に関する)のフィッティングが正しくできていないことが原因 であると考えられる。本質的にはパワーファクターのチャネル電圧依存性に関しては、本 文中で述べたようにP型とN型の両方の領域においてピーク構造がみられ、今回のデバイ ス構造においてはP型のピーク値の方が大きくみられると考えられる。

Fig.6-1 ゲート電圧を連続的にシフトさせた際の半導体型 SWCNT 薄膜の

パワーファクターのチャネル電圧依存性。

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