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農業用水路および河川のキノン種

ドキュメント内 2020 年 3 月 (ページ 87-91)

第 4 章 水質変化と微生物叢の関係

4.3 結果および考察

4.3.4 農業用水路および河川のキノン種

農業用水路および河川の粒径 2 mm 以上の砂礫を除いた底質中のキノン組成(Fig. 4-5a) と処理水,農業用水および河川水中のキノン組成(Fig. 3-5b)を整理して示す。処理水が 放流された直後の底質中のキノン組成(St.A2)の特徴は UQ-8 が 60%を超えて優占し,

MK-6がほとんど検出されず,UQ-9,UQ-10およびMK-8の割合が他の地点の底質中キ ノン組成と比較して小さいことである。また,St.A2の底質中キノン組成は,Fig. 5bに 示す処理水中(TW)のキノン組成と同様に UQ 割合が高く(それぞれ 74%と

82%),UQ-8(48 %)が優占する処理水の微生物が底質に移行したと考えらえる。UQ-8は,βまたは

γ-Proteobacteria に属するほとんどの細菌が含有している(鈴木ら, 2001)。具体的には

0.00 0.02 0.04 0.06 0.08 0.10

St.A1 St.A2 St.A3 St.B1 St.B2 St.B3 St.B4 St.C1

Q ui none c ont ent s/ S S [ nm ol /m g ]

UQ-8 UQ-9 UQ-10

UQ-others MK-6 MK-7

MK-8 MK-8(H2) MK-others

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Achromobacter, Alcaligenes, Comamonas, Hydrogenophaga, Pseudomonasなどが知られてお り(鈴木ら, 2001; 胡ら, 1992),一般的な活性汚泥中のUQ優占種はUQ-8で,27~38 mol%

程度であると報告されている(平石および上田, 1997;平石ら, 1993) 。St.A1とSt.A2の キノン組成は MK-6 の割合が比較的大きいことを除けば類似したキノン組成であった。

一方,St.A3のキノン組成はSt.A2と比較してUQ-8が半減し,MK-8およびUQ-9が2 倍以上に増加している。また,加茂川本流(St.B1~B4)および支流のSt.C1の底質キノン

組成はSt.A2とは異なっていた。

各地点におけるキノン種と水質との関係を明らかにするため,栄養塩濃度と各キノン 種のキノン量の相関をとり,相関が高かったキノン種を Table 4-2 に示す。DTN,DTP と強い相関を示したキノン種は UQ-8,MK-8 であり,これらは栄養塩負荷を示す指標 であると考えられる。UQ-8,MK-6,MK-8 は脱窒活性に影響を受ける種として知られ ていることから,処理水中によって供給される窒素は硝酸性窒素(全窒素の約90%)に対 応して脱窒菌の増加が生じていると考えられる(濵田ら, 2009)。また,宋らは油汚染サイ トにおいて,栄養塩を注入した 3 か月後に UQ-8,MK-8 が著しく増加したと報告して おり,栄養塩の付加による脱窒菌の増殖を示唆しているが(宋ら, 2012),本調査地点では 地理的な栄養塩濃度の違いによって脱窒菌の密度が変化していることが示唆される結 果となった。

各地点のキノン種数とEQの関係をFig. 6に示す。栄養塩濃度はキノン種数と正の相 関が認められた(DTN,R = 0.78; DTP,R = 0.78)。一方で,キノン組成の均一性を示すEQ と栄養塩濃度は負の相関を示した(DTN,R = -0.71; DTP,R = -0.73)。St. A1,A2,A3の EQはそれぞれ,0.51,0.37,0.63であり,栄養塩濃度の高いSt.A2ではEQが減少した。

しかし,St.A3のEQはSt.A1よりも高い値を示した。このことから,キノン種の増加は

処理水に含まれるフロックが放流口の近傍に沈澱したためであり,下流への影響は小さ いことが示唆された。

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Fig. 4-5 農業用水路および河川の粒径2 mm以上の砂礫を除いた底質中のキノン組成(a)

と処理水,農業用水および河川水中のキノン組成(b).

0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0

St.A1 St.A2 St.A3 St.B1 St.B2 St.B3 St.B4 St.C1

Quinone contents of dry soil

UQ-8 UQ-9 UQ-10 UQ-others

MK-6 MK-7 MK-8 MK-10

MK-8(H2) MK-9(H8) MK-others

a

0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0

St.A1 TW St.A3 St.B1 St.B2 St.B3 St.B4 St.C1

Quinone contents of SS

UQ-8 UQ-9 UQ-10

UQ-others MK-6 MK-7

MK-8 MK-8(H2) MK-others

b

88

Table 4-2 DTN-およびDTPと底質中のキノン量との相関

Fig. 6 各地点のキノン種数と多様性指標(EQ).

UQ-8 UQ-others MK-8 MK-others Total quinone DTN DTP

UQ-8 - 0.78 0.97 0.97 0.99 0.83 0.83

UQ-others * - 0.71 0.64 0.72 0.89 0.88

MK-8 ** * - 0.97 0.98 0.81 0.82

MK-others ** ** - 0.99 0.72 0.72

Total quinone ** * ** ** - 0.78 0.78

DTN ** ** * * * - 1.00

DTP * ** * * * **

-Upper triangular : Correlation coeficient, Lower triangular : Probability (** P < 0.01, * P < 0.05)

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8

0 5 10 15 20 25

St.A1St.A2St.A3 St.B1 St.B2 St.B3 St.B4 St.C1

EQ

Speci es n u m b er

Species number EQ

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