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YSZ/YDC 相互拡散試験

ドキュメント内 染川 貴亮 (ページ 55-61)

第 4 章 YSZ 系電解質を用いた SOFC 材料における空気極/YDC 中間層界面の高抵抗層に与えるドープ

4.4 実験結果

4.4.1 YSZ/YDC 相互拡散試験

図4-1に、1500℃で10時間焼成したYSZ/(Ce1-yYy)O2-y/2 (y=0.05, 0.15, 0.25) サンプルの断面の SEM-EDS分析結果を示す。YSZおよびYDCの界面において、気孔は確認されておらず界面は十分緻密に焼 成していると考えられる。図4-1中のそれぞれのラインの説明は図中に示す通りである。図4-1より、い ずれのドープ元素濃度の中間層材料においても、中間層YDC側から電解質YSZ側に向かってCe のス ペクトル強度が減少していることが確認された。また、逆に電解質材料YSZ側から中間層材料YDC側 に向かってZrのスペクトル強度が減少していることが確認された。この結果は、既報の結果と同じ傾向 を示している[7, 10]。

次に、固溶層の厚みの観点から3.4.1 節にて述べた通りCe のスペクトル強度に着目し、YDC中のド ープ元素濃度が固溶層の厚みに与える影響を比較するために、図 4-2 に、1500℃で 10 時間焼成した YSZ/(Ce1-yYy)O2-y/2 (y=0.05〜0.25) サンプルのCeのスペクトル強度を抜出した結果を示す。それぞれの Ce強度は、観察した表面から界面側に向かって1 µmの深さまでの平均強度で規格化し、バックグラウ ンド強度を差し引いた値である。破線はフィッティング曲線である。図 4-2 より、ドープ元素の濃度が

5mol%から 20mol%の領域ではドープ元素濃度が増加するに従い、固溶層の厚さに相当する長さが減少

傾向にあり、20mol%を超えると増加に転じることが確認できる。フィッティングは、3.4.1 節で述べた 通り、固溶層の厚さの定量化のために見掛けの拡散係数 (Da) を定義し、式 (3-3) を用いてフィッティン

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グしたものである。図4-3にフィッティングを実施した際の模式図を示す。Ceのスペクトル強度が高い 領域は、YDC中間層領域とし、Ceスペクトル強度が高い領域からゼロ点と想定される候補点を選択した 後、式 (3-3) を用いてフィッティングし、適切にフィッティングが成功するまで繰り返すことで、ゼロ 点と見掛けの拡散係数を同時に導出した。図4-2で示したとおりいずれの濃度のYDCにおいても良いフ ィッティングが得られたことがわかる。図4-4に1500℃において焼成したYSZ/YDCサンプルのCeの スペクトル強度から導出した見掛けの拡散係数とドープ元素濃度の関係を示す。図よりドープ元素濃度 の増加に従い見掛けの拡散係数は単調に減少し、ドープ元素濃度がおよそ 20mol%あたりで見掛けの拡 散係数は飽和する傾向を示した。各ドープ元素濃度の YDC と電解質 YSZ 材料を用いて、1300℃から

1500℃において焼成した拡散対について、同様にして導出した見掛けの拡散係数の温度依存性を図 4-5

に示す。1300℃から 1500℃いずれの温度においても 1500℃同じ傾向を示し、また、いずれのドープ元 素濃度においても、見掛けの拡散係数の対数と 1/T は直線関係を示した。この温度依存性の結果を用い て、1350℃で2時間の焼成を考慮した際のYSZ/YDCの界面におけるCe の拡散挙動の計算結果を図 4-6に示す。図4-6において、各ドープ元素濃度のYDCを用いた場合にYSZ/YDCの界面において、Ceの 強度が1/eになる距離はドープ元素濃度が、5mol%、10mol%、15mol%、20mol%、25mol%の時に、そ れぞれ、0.63 m、0.57 m、0.56 m、0.35 m、0.47 mとなり生成する固溶層の厚みに差が生じるこ とがわかる。これより、中間層材料としてドープ元素濃度が異なるYDCを用いた場合に、高抵抗な固溶 層 (Ce,Zr)O2の厚みが、中間層のドープ元素濃度により影響を受け、異なる厚みになることが分かる。こ の結果は、中間層材料として YDC を用いた場合に適切なドープ元素濃度の YDC を選択することで、

SOFCのセル性能が向上することを示唆する結果である。YDCの場合には高抵抗層の厚さを低減させる という観点においてドープ元素濃度を 20mol%とすることで高抵抗層の厚さの低減の効果を得ることが 出来ると考えられる。

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(a) YDC0595 (b) YDC1090

図4-1 1500℃において焼成したYSZ/ Ce1-yYyO2-δ (y=(a) 0.05, (b) 0.10, (c) 0.15, (d)0.25) サンプルの断 面のSEM-EDS分析結果

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(c) YDC1585 (d) YDC2575

図4-1 1500℃において焼成したYSZ/ Ce1-yYyO2-δ (y=(a) 0.05, (b) 0.10, (c) 0.15, (d)0.25) サンプルの断 面のSEM-EDS分析結果

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(a) YSZと(Ce1-yYy)O2-y/2 (y=0.05〜0.20)の界面におけるCeの拡散挙動

(b) YSZと(Ce1-yYy)O2-y/2 (y=0.20〜0.35)の界面におけるCeの拡散挙動

図4-2 ドープ元素濃度が異なる中間層材YDCを用いて1500℃で焼成したYSZ/YDC中のCeの拡散挙

動の比較結果 (サンプル中の省略表示は表2-1に示したYDC中のYとCeの濃度を意味する (以降も同 様) )

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図4-3 フィッティング分析手法の模式図

図4-4 1500℃にて焼成したYSZ/YDCにおける、YSZ中のCeの見掛けの拡散係数のドープ元素濃度

依存性

図4-5 各ドープ元素濃度YDC中のCeのYSZ中への見掛けの拡散係数の温度依存性

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図4-6 1350℃2時間の焼成を仮定した場合のYSZ/YDC界面におけるCeの強度曲線計算結果 (水平方

向の破線は、YDC 中 Ce 濃度の 1/e の濃度を表している。X 軸上の 0.35 µm、0.63 µm は、それぞれ

YSZ/YDC界面からCe濃度が1/eになるまでの距離を示したものである。)

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