第 6 章
結論および今後の展望
6.1.1 DfE 定量評価データベースの構築とその解析 ... 6-1 6.1.2 家電製品の DfE の定量評価とその類型化による設計改善策の提案 ... 6-1 6.1.3 大型家電のリサイクルプロセスの環境性・経済性評価 ~使用済み冷蔵庫を 中心として~ ... 6-2 6.1.4 小型家電のリサイクルプロセスの設計手法の構築とその評価 ... 6-3 6.2 今後の展望 ... 6-4 6.2.1 DfE 定量評価データベースの拡充について ... 6-4 6.2.2 DfE 定量評価データベースと DfE 評価結果の利用方法について ... 6-6 6.2.3 研究成果の社会システムへの適用について ... 6-10
図 6.1 八潮市の処理プロセス ... 6-5 図 6.2 データベースの高度利用に向けた今後の展開 ... 6-6 図 6.3 社会システムへの還元 ... 6-8 図 6.4 グリーンポイントシステム ... 6-9 図 6.5 社会システムと環境情報連携 ... 6-9 図 6.6 研究成果の社会システムの適用イメージ ... 6-10
第 6 章 結論および今後の展望
6.1 結 論
本研究はまず,幅広い家電製品の DfE を評価するために,DfE 定量評価デー タベースのコンセプトを明確にし,その構築を行った.また,そのデータベー スを活用した家電製品の DfE の定量評価によって,製品を類型化することで,
取るべき対策を明らかにした.さらに,大型家電と小型家電を対象に,そのリ サイクルプロセスを環境性・経済性の両面から設計できる手法の開発を行った.
大型家電では,既存のリサイクルプロセスの効率化の検討を中心に,大型家電 の混合処理についても検討した.一方,小型家電では,製品回収ルートが構築 されていないことから,埼玉県における資源回収実験の結果とデータベースを 組みわせることで,回収品目の選定手法を提示した。
以下に本研究で得られた知見を整理する.
6.1.1 DfE 定量評価データベースの構築とその解析
環境配慮デザインの定量評価に必要となる「DfE 定量評価データベース」の コンセプトを提示し,家電製品の解体を中心とした情報収集によりデータベー スを構築するとともに,その解析及び活用方法を示した.以下に得られた結果 を示す.
・ 環境配慮デザインの中における ,リユース・リサイクルへの対応として 求められる製品の易解体性とライフサイクル全般の環境負荷を評価する ために必要となる情報をデータベース化する「DfE 定量評価データベー ス」のコンセプトを提示した.
・ 分解性評価指数 DPI と環境効用ポテンシャル評価手法 E2-PA の考え方を 導入し,企画・設計段階で入手可能な情報で構成された DfE 定量評価デ ータベースを構築した .各家電製品を手解体することで情報を入手し , 89 品目,300 製品のデータを搭載した.
・ 家電製品を構成する素材構成や部品の結合方法などに着目した DfE 定量 評価データベースの解析を行い,各種家電製品の DfE の動向や特徴を示 した.
・ DfE 定量評価データベースの活用方法として,家電製品の解体フローと連 携したリサイクルプロセスの設計への応用事例を示した.
・ 構築したデータベースに搭載された家電製品の素材構成に着目したクラ スター分析を行い,今後のデータベースの拡充方針を示した.
・ データベースの拡充方法として ,研究室で従来から行っている各種家電 製品の解体に加えて ,自治体の小型家電のリサイクルプロセスからのデ ータ取得を提案し,今後の展望を示した.
6.1.2 家電製品の DfE の定量評価とその類型化による設計改善策の提案
タルカメラを例にした DfE 向上のための設計改善策を提案した.以下に得られ た結果を示す.
・ 製造時と使用時の環境負荷に着目し,大型家電と小型家電(生活家電系)
は使用時の環境負荷が多くを占めることから, 「省エネ設計や省エネに 関する積極的な情報公開が望まれる製品群」 であり,また,小型家電(デ ジタル機器)は製造時の環境負荷が多くを占めることから , 「3R へ配 慮した設計や使用済み製品の積極的回収が望まれる製品群」 であること を示した.
・ 製造時の物質投入における希少金属の環境負荷に着目し ,希少資源の占 める割合が高い「PCや薄型テレビ」は易解体性の向上が特に必要である ことを示した.さらに,「家に保管されていることの多い旧型のモバイル 機器」も希少資源の割合がある程度高いことから ,収集回収の仕組み作 りが必要な製品群であることを示した.
・ DfE がリサイクルプロセスに与える影響に着目し ,デジカメ,ドライヤ ー,冷蔵庫は,複合材の減少や表示なしプラを表示化することが設計段 階で有効であることを示した .また,デジカメ,携帯,プラズマテレビ は基盤などを回収すべき製品群であることを示した .さらに「携帯電話 やハンドクリーナー ,ハンドマッサージャー,空気清浄機,アイロン」
といった製品群は表示ありプラの割合が高く積極的に手回収することが 有効であることを示した.
・ 希少金属の環境負荷が高いデジタルカメラを例に取り上げ ,各部品を取 り出すまでの時間と再生資源強度の関係について分析を行うとともに , その解体フローから点在している基盤の偏在化の設計改善策を提案した . 6.1.3 大型家電のリサイクルプロセスの環境性・経済性評価
~使用済み冷蔵庫を中心として~
収集回収ルートが確立されている大型家電のリサイクルプロセスの設計の検 討にあたり,冷蔵庫を取り上げて,その環境性・経済性の評価を行った.また,
DfE 定量評価データベースを活用し,大型家電を混合処理するリサイクルプロ セスの環境性・経済性評価を行った.以下に得られた結果を示す.
・ 冷蔵庫のリサイクルプロセスを対象に ,手解体プロセスを積極導入した 場合と指定回収物の回収を中心とした場合のケーススタディを行い ,環 境性・経済性を定量的に評価した.その結果,手解体プロセスを積極導 入する場合,指定回収物の回収を中心とした場合と比べ ,資源売却収入 が 3 倍程度になるが,人件費も 3 倍程度かかることから,結果的には冷 蔵庫 1 台あたりの収益が約 600 円程度低いことがわかった.
・ DPI を応用することでリサイクルプロセスの設計改善策を検討した .本
工程を省略すると損益が他のリサイクルプロセスを上回る試算結果とな った.一方で,扉回収工程とコンプ底板回収工程を省略すると経済性が 悪化することを示した.
・ 冷蔵庫ではプラスチックが点在していることが特徴として挙げられるこ とから,手回収するプラスチックの質量を 100g ずつ増やしたときの損益 を評価し,庫内部品の平均質量に相当する約 400g 程度のプラのみを回収 することが経済性が最も高くなることを示した .また,資源価格の変動 を考慮した経済性評価を実施し,現状より 1.8 倍以上になると手解体プロ セスの積極導入が有利となることを示した .
・ DfE 定量評価データベースを活用することで ,冷蔵庫と洗濯機を同一プ ロセスで処理した場合の環境性・経済性評価を実施し ,混合処理によっ て冷蔵庫の個別処理よりも環境性・経済性がともに向上することを示し た.
6.1.4 小型家電のリサイクルプロセスの設計手法の構築とその評価
埼玉県における使用済み小型家電の実証試験を通して,そのリサイクルプロセ スの設計手法の構築を行った.以下に得られた結果を示す.
・ 埼玉県下の複数の自治体で回収された小型家電を対象に ,高度なリサイ クルプロセスを有する民間施設で再資源化処理を行った結果 ,乾式選別 施設で処理する方法が有効であることを示した.
・ DfE 定量評価データベースとリサイクルプロセスを経て回収される資源 との関連性を分析し ,DfE 定量評価データベースに搭載されている情報 から,収集回収品目を検討可能な設計手法の構築を行った .
・ 処理プロセス後における各製品の素材売却価格と再生資源強度を算出し , MD レコーダーのようにポテンシャルに対して大きく減少する製品や , ホームベーカリーのように減少が少ない製品等 ,製品間で傾向の違いが あることがわかった.
・ 資源価格変動に対する収支の関係を考察し ,想定量として家庭から排出 される量を条件として設定し ,価格両立性指数の最大値を算出すること で,価格変動に強い製品群の選定手法を構築した .
・ 処理コストに対する収支の関係を分析し ,全製品を対象に処理した場合,
利益を得るためには約 26%の処理コスト削減が必要であることを示した .
・ 回収した資源の経済性を表す売却価格と環境性を表す再生資源強度を考 慮した環境性・経済性両立指数について ,想定量として家庭から排出さ れる量を条件として設定し ,その最大値を算出することで ,環境性・経 済性を両立させる製品群の選定手法を構築した .
・ DfE 定量評価データベースを活用した回収品目の選定手法 について,使 用済み小型電子機器再資源化促進法における自治体での活用方法を示し た.