第 4 章 鉄粒子を先端に有した繊維状炭素のガス化反応に及ぼすガス化温度およびガス組
4.2 実験方法
4.2.2 繊維状炭素試料性状の調査
繊維状炭素析出反応について今までに数多くの研究が成されている。柏谷ら 18)は、
析出炭素の形態について調査を実施しており、繊維状炭素内に鉄微粒子が含有されるこ とが明らかにされている。加えて、TEM観察・分析によって鉄微粒子から Fe-C のピ ークが得られたことも確認している。また、J. Zhangら26)は析出炭素のXRD 分析に よってFe3CとFe2Cのピークを検出している。以上をまとめると、鉄微粒子は最初に Fe-Cとして生成されてその後、その不安定性ゆえにFe3CあるいはFe2Cへと変化する と考えられる。本研究では実験に際して、繊維状炭素試料に含まれる構成物質を明らか にすることとした。まず、試料表面性状および内部のSEM観察を実施した。以下に観 察手法を示す。粉状である繊維状炭素試料をステージ上に固定するためにカーボンテー プを用いた。また、横断面を観察するためにビームカプセルを用いた樹脂包埋・切削を 実施した。Fig. 4-1 に手順を示す。包埋樹脂にはQuetol651、NSA、MNA、DMP-30 を混合したものを使用した。それぞれ7.5ml、8ml、4.5ml、0.3mlの量を混ぜて混合し た。ビームカプセルに繊維状炭素試料を装入し、包埋樹脂を加えた。その後、先端に樹 脂がいきわたるように竹串で軽く混合した。およそ50℃のドラフターに24h放置した 後に、室温で3h程度放置し樹脂を硬化させた。包埋樹脂試料を表面へ露出させるため にウルトラミクロトームを使用して試料先端を切削した。デルタナイフで先端をおおま かに切除した後で、ダイヤモンドナイフを用いて切削し切り出し面をSEMで観察した。
Fig. 4-2に繊維状炭素試料の表面および横断面のSEM観察結果を示す。この図より鉄
67
微粒子を起点として繊維状炭素が成長していることがわかる。横断面観察結果より、試 料内部には還元鉄試料の残存は無いことが確認できる。したがって、ほとんどの還元鉄 試料は鉄微粒子に分解されたと考えられる。Fig. 4-3に繊維状炭素試料のXRD分析結 果を示す。この図より、鉄系のピークではFe3Cの回折ピークが強く検出されているこ とがわかる。これはJ. Zhangらの結果と同じ結果であった。これらの結果からガス化 反応前の試料に含有されている鉄分はFe3Cが主な相であると考えられる。したがって 本研究の実験試料はセメンタイトの微細粒子と繊維状炭素で構成されていると考えら れる。
Fig. 4-1. SEM observations of samples before gasification and cross section of the sample.
68
Fig. 4-2. SEM observations of samples before gasification and cross section of the sample.
Fig. 4-3. XRD patterns of the sample before gasification.
69