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5.1 まとめ

本研究の最終目的は,屋内環境全体の通路を対象として人流を把握することである.最終目 的を達成するための要素技術として本論文では,スマートフォンの磁気センサを用いた屋内位 置推定手法と,その結果を利用した歩行速度推定手法を提案した.具体的には,計測した磁気 系列データと磁気系列指紋をDTW に基づいた類似度計算によって比較することで位置を推定 する手法を提案した.本論文では,まず提案手法を実装し屋内位置推定精度および歩行速度推 定精度に関しての基礎実験を行った.その結果,磁気系列データから入力データを切り出す際 の時間窓の窓幅 Wwidthを大きく設定するほど,屋内位置推定誤差および歩行速度推定誤差が小 さくなるという知見が得られた.また,Wwidthを大きく設定するほど歩行速度の細かい変化を把 握することが困難になると考えられるが,ワーピングパスを解析することで,大きい Wwidthを 設定した場合でも細かい歩行速度が把握できる可能性が示唆された.実環境を想定した実験で は,マップ絞り込みのパラメータであるAcceptの候補や,同通路内に動線の異なる複数の磁気 系列指紋を複数作成することの有効性についての知見が得られた.

5.2 今後の課題と展望

今後は,まずワーピングパスを解析することで,大きい Wwidthを設定した場合でも細かい歩 行速度を把握する手法の検討を課題とする.具体的には,大きい Wwidthを設定し屋内位置推定 を行い,その際に算出されるワーピングパスの傾きを利用して細かい歩行速度の変化を把握す る.他の課題として,同通路において磁気系列指紋を複数作成する際の動線の間隔について検 討を行う.適切な間隔の動線で計測した磁気系列データを用いて磁気系列指紋を作成すること で,精度の向上や,より幅員の大きい通路への適用が可能になると考える.また今回は幅員が 2m の比較的幅員の小さい通路を対象に実験を行ったが,今後はより幅員の大きい通路におい ての実験も行っていく.

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謝辞

本研究を進めるにあたり,研究テーマの決定から論文や発表資料の添削などお忙しい中熱心 にご指導していただいた白石陽准教授に深く感謝を申し上げます.また,日頃からお世話にな った白石研究室の皆様,本研究の発表を聞いて非常に有益なご指導,助言をしていただいた学 生,教員の皆様に心から感謝致します.

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参考文献

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[14] 上坂大輔,村松茂樹,岩本健嗣,横山浩之,“手に保持されたセンサを用いた歩行者向け

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[18] 藪圭輔,榎堀優,間瀬健二,“GMMを用いたWiFi位置推定手法の実用化に向けた課題解

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[22] 櫻井保志,Christos Faloutsos,山室雅司,“ダイナミックタイムワーピング距離に基づくス

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図目次

図 1 人流の可視化(文献[1]から引用) ... 1

図 2 参加型センシングによる天候状態の把握(文献[7]から引用) ... 2

図 3 参加型センシングによる電車の混雑状況の把握(文献[8]から引用) ... 3

図 4 画像解析による人の検出(文献[2]から引用) ... 5

図 5 ビデオカメラで撮影した映像に対する画像解析(文献[3]から引用) ... 6

図 6 レーザレンジファインダを用いた人流把握(文献[4]から引用) ... 7

図 7 歩行時の重力方向の加速度の変化(文献[9]から引用) ... 7

図 8 混雑度の違いによるステップ間隔(文献[10]から引用) ... 8

図 9 歩行者デッドレコニングの流れ(文献[13]から引用) ... 9

図 10 磁気の連続した値(文献[20]から引用) ... 10

図 11 歩行速度の違いによる磁気系列データの違い ... 13

図 12 DTWに基づく波形マッチング(文献[22]から引用) ... 14

図 13 DTW行列におけるワーピングパス(文献[22]から引用) ... 15

図 14 SPRING手法を用いた類似部分の検出(文献[22]から引用) ... 15

図 15 座標系 ... 16

図 16 端末姿勢 ... 17

図 17 提案手法の全体像 ... 17

図 18 磁気センサのオフセット計測方法 ... 19

図 19 帯磁の影響の有無による磁気センサの計測値の違い ... 19

図 20 磁気系列データの平滑化 ... 20

図 21 磁気系列データの絶対値の違い ... 22

図 22 実験風景 ... 25

図 23 基礎実験の実験環境 ... 26

図 24 各窓幅における通路正解率 ... 27

図 25 各窓幅における位置推定の平均誤差 ... 28

図 26 各窓幅における歩行速度推定の平均誤差 ... 28

図 27 Wwidth = 4における位置推定結果の誤差と歩行距離推定結果の誤差の散布図 ... 29

図 28 予備調査の対象通路 ... 30

図 29 動線の違いによる磁気系列データの違い ... 31

図 30 実験時の歩行軌跡 ... 32

図 31 Acceptごとの屋内位置推定誤差の変化 ... 32

図 32 Acceptごとの歩行速度推定誤差の変化 ... 33

図 33 指紋数の違いによる屋内位置推定精度 ... 34

図 34 指紋数の違いによる歩行速度推定精度 ... 34

図 35 各推定においての正解歩行速度と推定歩行速度の比較 ... 35

図 36 ワーピングパス(推定ID = 14) ... 36

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