第1章では緒言として、本研究の研究背景、研究目的などの概要を述べた。
第2章ではタンタル酸化物薄膜の作製法と評価法として、試料の作製手順と評価について 述べた。作製装置については、スパッタリング装置について説明を行った。また、評価方 法として、PL測定系、XRD,EPMAについて述べた。
第3章では、Eu添加タンタル酸化物薄膜の作製と評価として、Eu添加タンタル酸化物薄 膜のアニール条件とスパッタリング条件を変更し作製と評価を行った。アニール条件の変 更として、アニール温度とアニール時の雰囲気を変えた。アニール温度特性として概ねど の試料においても800℃~900℃でアニールした試料から強い発光が得られた。アニール時 の雰囲気の変更によっては、600℃でアニールした時に空気中でのアニールとの差が最も出 た。また、アニール温度800℃の試料が最も発光強度が強かった。
スパッタリング条件の変更としては、Eu2O3タブレット枚数、RF 電力、Ar ガス流量を変 え試料作製を行い、評価を行った。600℃でアニールした場合には、タブレット枚数に強度 が大きく反映された。また、タブレット枚数が2枚でアニール温度800℃の試料が最も強度 が強かった。RF電力依存性では、概ね200Wで成膜した試料の方がPL強度が強い傾向に あり、800℃でアニールを行った試料が最も発光していた。Ar ガス流量の変更ではアニー
ル温度600℃で最も差がでており、800℃で強度が最大になった。
また、XRDによる結晶性評価を行った。アニール処理が大きく発光のピーク強度に影響し ていることが分かっていたが、アニール温度が600℃から800℃までの試料では非結晶であ ることが分かり、ピークの発光由来は結晶性にあるわけではないということが分かった。
第4章では、Ce添加タンタル酸化物薄膜の作製と評価として、Ce添加タンタル酸化物薄膜 の作製と評価を行った。Ceのみを添加したタンタル酸化物薄膜からは発光が得られなかっ た。
CeとTmを共添加した試料からはTm由来の発光と思われる波長800nm付近のピークを 確認した。また、Tmのみでは少なかった発光強度も100倍以上増幅された。
CeとEuを添加した試料からは,波長700nm付近のピークが620nm付近のピークよりも2 倍強い発光スペクトルを得た。
CeとErを共添加した試料からもErのみの試料と比べて発光強度が10倍以上になってい た。
これらの共添加試料は、アニール温度が900℃のみもしくは900℃と1000℃の時に発光を 確認することができた。XRDによる結晶性評価とそのことから、おそらく発光は結晶性に 大きく影響されていることがわかった。
72 第5章では、ZnO導電膜とそれを用いた太陽電池の評価と作製について述べた。
まずZnO薄膜の特性として光学的特性と電気的特性を調べた。
透過率はどの試料においても概ね80%を得ることができ、吸収の少ない膜の作製ができた。
また、H2ガス導入による効果として吸収端の短波長側へのシフトも見られた。
抵抗率に関しては、以前の研究に比べ低い値を得ることができた。また、目標としていた
1.0×10-3[Ωcm]は超えることはできなかったが、その値に近い1.3×10-3[Ωcm]を得ること
ができた。また、基板加熱を行った試料よりも行わずに成膜した試料の方が10倍ほど低い 抵抗率が得られた。また、H2ガスの流量を増やすとキャリア密度・移動度が低下すること も分かった。
次に上記で作製・評価を行ったZnO膜をp型Si基板に成膜し太陽電池の作製を試みた。
変換効率の最も良かった試料はスパッタリングガス総流量が30sccm、H2ガスの割合が 13.3%の条件でZnOを成膜した太陽電池で、変換効率は 6.6×10-2%が得られた。この 値は、以前の研究で得られていた変換効率の値よりも3桁以上大きく大きな改善ができ たと言える。どの試料においても H2ガスの量を増やしていくと急激に変換効率が落ち ることも分かった。これはH2ガスの割合が増えるとZnO膜とSi基板との密着性が悪 くなるのではないかということなどが考えられる。また、pn 接合間に絶縁層を入れた ほうが、pn接合境界での電子と正孔の再結合を抑えることができると考えられるので、
ZnO層とSi 基板の間に SiO2層等を入れることにより、Si基板への密着性などが改善 されるのではないかと考えられる。
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謝辞
今回修士論文作成に際して研究に取り組んだこの 3 年間、数多くの方々の力添えなくして ここまで至ることはできなかったと痛感しております。
指導教員の三浦健太准教授には太陽電池に関する研究・タンタル酸化物を用いた発光素 子に関する研究と大変興味深い研究テーマを 2 テーマも与えて頂き、またその研究を行う 上で必要な設備を提供してくださったこと、そして研究を行う上で様々な助言を与えて下 さったことに心より感謝を申し上げます。
太陽電池の研究で、ホール効果測定装置及び四探針法測定装置を貸して下さった伊藤和男 准教授に心より感謝致します。
宮崎卓幸准教授には、お忙しい中、本論文の審査をして頂き誠にありがとうございました。
花泉教授には、実験の際に生じる問題点などに丁寧かつ的確なアドバイスを頂き、日頃の 研究をより充実したものにして頂いたこと、大変感謝しております。
野口克也技術専門職員には持ち前の幅広い知識をもって研究室の様々な設備において、サ ポートして頂き、円滑に研究を進められたことに非常に感謝しております。
修士 1 年の大沢拓視氏、金本直弘氏、学部 4 年の横田佑也氏、森田涼介氏には、研究に際 して真摯に取り組むだけでなく、様々な意見を交わし研究に励むことができたこと、そし て研究室での生活においても親身に接して頂き楽しい日々を送ることができたことに大変 感謝しております。特に、修士 1 年の大沢氏には、研究グループに後から入ったことで、
装置の使い方などを教わり、途中まで研究を引っ張ってもらったことに非常に感謝してお ります。
長岡技術科学大学へ転任された佐々木友之助教には、所属学生が多い中、研究室をまとめ ご指導頂けたことに大変感謝しております。
修士2年の高野佑樹氏には、同じ研究グループとして学部4年から3年間もの間、研究、
また私生活に渡り互いに意見を言える環境を作ってくれたこと、良い三年間を作ってくれ たことに大変感謝しております。
74 修士 2 年のサラーハジャー氏には、国際学会において英語の添削を行っていただき大変感 謝しております。
修士 2 年の方々には些細なことでも相談に乗って下さり、そして、お互いをはげましあう ことで充実した研究生活を過ごさせてくれたことに感謝しております。また、修士 1 年及 び 4 年生の方々も親しく接して頂き楽しく日々を送ることができたことに大変感謝してお ります。
最後に、常に私を支えてくださった両親と皆様にもう一度感謝の意を示し謝辞とさせて頂 きます。
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参考文献
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