第 5 章 再細胞化肝臓の高機能化に向けた基盤技術の開発
5.2 酸素化灌流培養システムの構築
5.2.3 結果
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Fig. 5-5 The photograph of the organ perfusion culture system.
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Fig. 5-6 Over-all oxygen transfer coefficient of each conditions.
以上の結果より、高密度再細胞化肝臓の酸素供給を充足させることができると期待され るが、血液に対して酸素富化が可能であるかの検討も引き続き行った。結果として、酸素 富化装置前、つまり静脈血の状態での酸素飽和度が約 44%であったのに対して、酸素富化 後の血液の酸素飽和度は約99%であった(Fig. 5-7, Fig. 5-8)。以上のことから、本酸素富 化装置は血液に対しても酸素富化が可能であり、酸素飽和度もほぼ100%を達成できている ことから、その性能も申し分ないことが示唆された。
0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5
Non oxygenator Oxygenator
k L a (/min)
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Fig. 5-7 Optical absorbance spectrum of hemoglobin before and after the oxygenator.
Fig. 5-8 Oxygen saturation of blood before and after the oxygenator.
0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 1.4 1.6
450 500 550 600
A bsorbance [ -]
Wavelength [nm]
Before through oxygenator After through oxygenator
43.7
99.1
0 20 40 60 80 100
Before After
Oxy gen sa turation [% ]
80
5.2.3.2 灌流培養システムによるラット右葉の培養
現時点では、正常肝臓に匹敵する細胞密度での再細胞化肝臓の作製は実現できていない。
そこで今回は高密度再細胞化肝臓のモデルとしてラットの右葉の灌流培養を行った。
まず、基礎検討として、酸素富化装置の有無を変数としてラット右葉の12時間の灌流培 養を行い、肝障害の指標としてALTを経時的に測定した。また、培養終了後の右葉のH&E 染色を行った。結果として、灌流培養12時間後には酸素富化装置なしの条件ではALTが
2549 U/Lまで上昇し、酸素富化装置ありの条件では234 U/Lに抑えられていた(Fig. 5-9)。
肝細胞懸濁液を超音波処理によって破砕して ALTを測定して細胞あたりの ALT 量を実験 的に求めたところ、およそ0.44 U/106 cellsとなった。本データを用いて灌流培養後の右葉 の何割が死滅しているか推算したところ、酸素富化装置なしの条件ではおよそ 40%が死滅 していたのに対して、酸素富化装置を組み込むことで約4%の死滅に肝障害を抑えることが できたことが示唆された。また、H&E染色の結果からも、酸素富化装置なしの条件では広 範囲に壊死が見られ重度のうっ血や肝障害が確認されたが、酸素富化装置を組み込んだ条 件においては壊死や類洞構造の崩壊等はほとんど観察されなかった(Fig. 5-10)。以上の結 果より、酸素富化装置の導入によって長期間の培養が可能であることが期待された。
Fig. 5-9 The change of ALT activity in perfusate with time. The right lobe was cultured for 12 h (n = 1).
0 1000 2000 3000 4000 5000 6000
0 6 12
AL T [U/L ]
Perfusion time [h]
Without oxygenator
With oxygenator
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Without oxygenator With oxygenator
×40
×200
Fig. 5-10 H&E staining of 12 h preserved liver in the perfusion culture system. Bars : 200 m
更に、灌流培養後の肝機能評価として、灌流培養回路に1 mMとなるように塩化アンモ ニウム水溶液を添加し、1時間灌流を行うことによってアンモニア負荷試験を行った。1時 間の灌流培養後の灌流液中のアンモニア濃度をFig. 5-11に示す。本灌流システムによって 12時間の灌流培養を行った右葉は、摘出直後の右葉と同等のアンモニア代謝能を有してい ることが示された。この結果から、本灌流培養システムによって培養された右葉はアンモ ニア代謝能を保持していることが明らかとなった。従って、本灌流培養システムによって 高密度再細胞化肝臓の培養が可能になることが期待される。
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Fig. 5-11 Ammonia concentration after 1 h perfusion of the perfusate which contained 1 mM ammonia. n means the number of experiments.