第 3 章 ケナフ繊維/ポリスチレン複合材料の成形加工性及
3.3. 結果と考察
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ケナフ繊維が均一に分散しばらつきもないことが改質剤L(1%)で も効果が出たのではないかと考えられる.特性改善の目的から,
高流動の汎用材料であるPSJに対し,高剛性であるPSHをマトリッ クスとして使った場合のコンパウンドも検討した所,メタブレン を配合することでPSJとほぼ同当の流動長が出せることが分かっ た.メタブレンを配合するとコンパウンドの機械特性はやや低下 するが,PSHに対してはその程度が少ないようである.
実際に射出成形を行った際の複合材料の組成を確認するために 密度を測定した.なお,射出成形に当っては,CAをケナフ繊維の 5%配合した.Table3-3はポリスチレンとしてPSJおよびPSHを使用 し,ケナフ繊維なしおよびケナフ繊維含有量30%の場合の理論値と 実 測 値 で あ る . PSJ の 密 度 は 約 1.006g/cm3, PSH の 密 度 は 約 1.016g/cm3,ケナフ繊維の密度は約1.382g/cm3,改質剤の密度はそ れぞれL≈1.127g/cm3,S≈1.141g/cm3,C≈0.954g/cm3として,ポリス チレン,ケナフ繊維と改質剤の混合割合に基づいて計算した値を 理論値とした.改質剤添加の有無にかかわらず,実測値は理論値 にほぼ一致している.従って,CAを添加する限り,原料の仕込み 量通りにケナフ繊維を30%含有する複合材料が得られることが確 認された.
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Fig.3-3 Effect of the content of L on the MFR of the composites.
Fig.3-4 Effect of modifier on the MFR of the composites.
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Fig.3-2 Effect of modifier on the spiral flow length of the composites.
Table3-3 Density of specimen (g/cm3).
Specimen PSJ PSJ-KF(30%) PSH PSH-KF(30%)
Measured value
No modifier 1.006 1.112 1.016 1.124 L(3%)-C(5%) 1.004 1.110 1.013 1.125 L(3%)-S(5%) 1.009 1.107 1.018 1.122
Theoretical value
No modifier 1.006 1.119 1.016 1.126 L(3%)-C(5%) 1.007 1.121 1.016 1.127 L(3%)-S(5%) 1.016 1.127 1.026 1.134
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3.3.2. 動的粘弾性測定による複合材料の繊維-高分子界 面の考察
PSJ 系,PSH 系それぞれの KF/PS 複合材料の損失弾性率(E’)
の温度依存性を Fig.3-5,Fig.3-7 に,損失正接(tan δ)の温度依 存性を Fig.3-6,Fig.3-8 に示す.いずれの場合も,KF/PS 複合材 料の E'は温度の上昇とともに減少するが,いずれの温度域におい ても CA を 5%添加することによって E'が顕著に増加している.CA によって KF と PS マトリックスの界面接着性が向上した結果であ る.一方,改質剤をさらに添加した PSJ-KF (30%) -CA (5%) 複合 材料の E'は,改質剤なし PSJ-KF (30%) -CA (5%) 複合材料より若 干低下することが確認できた.改質剤によってマトリックスの弾 性率が減少することがわかる.
損失正接に関しては,PS の分子運動性が増加する 90 ℃以上で tan δ が増加するが,その極大値は CA の添加によって小さくなっ ており,より弾性的になる傾向が顕著に認められる.CA を用いる ことにより PS 鎖が KF に拘束される程度が増すものと思われる.
改質剤をさらに添加した場合は,PSJ 系複合材料の tan δ の極大 値は改質剤なし PSJ 系複合材料より僅かに増加するが,PSH 系複合 材料ではほぼ等しい極大値になっている.このことは,CA による KF/PS 複合材料の界面において PS 鎖を KF に拘束させる効果に対し ては,改質剤は影響を及ぼさないことを意味している.
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従って,改質剤は KF 表面近傍には存在せず,マトリックス PS 中に分散しているものと思われる.このために,弾性率が低い改 質剤 L,S,C はマトリックス PS の弾性率をわずかに低下させる影 響を及ぼすものと考えられる.
改質剤なし及び改質剤ありの複合材料の破断面の SEM 像を Fig.3-9 に示す.Fig.3-9 を見ると,繊維の幅が改質剤を添加する ことで細くなっていると思われる.これを確認するために複合材 料から KF 繊維を取り出し,繊維の幅と長さを確認した.Fig.3-10 に示すようにデジタル顕微鏡で観察した KF 繊維の結果から,改質 剤なしに比べ,改質剤あり複合材料から回収した KF 繊維の幅と長 さが短くなったことが確認できた.これは改質剤を添加すると,
マトリックスの粘度が低下することにより混練中のスクリュー回 転数が増大し,ケナフ繊維が切断,解繊しやすくなるためと考え られる[26].
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Fig.3-5 Storage modulus of the PSJ composites.
Fig.3-6 Tan δ of the PSJ composites.
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Fig.3-7 Storage modulus of the PSH composites.
Fig.3-8 Tan δ of the PSH composites.
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Fig.3-9 Cross-sectional SEM micrograph of tensile fracture surface of the PSJ-KF(30%)composite.
Fig.3-10 Length and width of the KF recovered from the composites.
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3.3.3. 改質剤を添加したケナフ繊維/ポリスチレン複合 材料の機械物性
PSJ (PSH) – KF (30%) 複合材料のシャルピー衝撃値に及ぼす改 質剤の影響を Fig.3-11 に示す.靱性改質剤 S,C を添加すること により,わずかにシャルピー衝撃値が増加するが,PSH 系に改質剤 L と S を添加した場合を除いては,有意差とは認め難い.
複合材料の引張破断応力と引張破断ひずみに及ぼす改質剤の添 加効果をそれぞれFig.3-12,Fig.3-13に示す.Fig.3-12で明らか なように,改質剤を添加したKF/PS複合材料の引張破断応力は改質 剤なしの複合材料より小さくなっている.同様の傾向はPS単独の 引張破断応力についても見られることから,E’の温度依存性で確 認されたように,改質剤が可塑剤として働き,マトリックスの弾 性率が低下することが原因となっていると考えられる.
一方,引張破断ひずみに関しては,PS単体に比して複合材料の 破断ひずみが極端に低下し,3%程度になっていることがわかる.
試料の延伸に伴って,剛直で変形がほとんど起こらないKFと軟ら かいマトリックス間にボイドが発生して破壊が開始するものと考 えられる.その後のクラックの進展は,改質剤SやCでは阻止でき ないものと思われる.ただし,PSH系に注目すると,PSH単体の引 張破断ひずみが改質剤の添加によって10%以上増加しており,こ れを反映する形で改質剤を添加した複合材料の破断ひずみが増加 している.これは,改質剤が可塑剤として機能したことにより,
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PSHの脆性を改善した結果と解釈できる.このことは, PSH系に改 質剤LとSを添加した複合材料のシャルピー衝撃値が増加するとい う結果と符合する.
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Fig.3-11 Effect of modifier on the charpy impact strength of the composites (without notch).
Fig.3-12 Effect of modifier on the tensile strength of the composites.
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Fig.3-13 Effect of modifier on the tensile strain of the composites.
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