VOCsの測定結果(年平均値)を表1に示した。年平 均値は原則として 12 回の測定結果を算術平均して算出 した。なお,平均値の算出にあたり検出下限値未満の場 合は検出下限値の 1/2 値を用い,検出下限値以上で定 量下限値未満の場合は測定値を用いた。優先取組物質 9 物質のうち大気環境基準の定められているベンゼン,ト リクロロエチレン,テトラクロロエチレン及びジクロロ ベンゼンの4物質について,環境基準を超える物質は無 かった。さらに,優先取組物質について平成19年度地方 公共団体等における有害大気汚染物質モニタリング調査 結果2)と比較したところ,塩竃市のジクロロメタン,大 崎市のクロロホルムが高めであったが,その他の物質は 同程度か低めであった。
優先取組物質以外の物質について,各調査地点の年平 均値を比較したところ,前年度同様にフロン類 4 物質,
四塩化炭素及び1,1,1-トリクロロエタンは調査地点によ る差は小さかった。また,トルエンは各調査地点で高い 濃度を示した。
4 まとめ
前年度に引き続き優先取組物質に加え優先取組物質以 外のVOCsについて,各調査地点における単年度の濃度 分布状況を把握した。今後データの蓄積を図り多変量解 析等を行うことにより,県内の汚染実態がより明確にな ると考える。
5 参考文献
1) 環境庁大気保全局大気規制課:有害大気汚染物質測 定方法マニュアル,平成10年3月
2) 環境省水・大気環境局大気環境課:平成 19年度地 方公共団体等における有害大気汚染物質モニタリン グ調査結果,平成20年12月
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表1 VOCsの測定結果(年平均値;平成20年度) 単位:μg/m3 No.物質名大河原町名取市塩竃市大崎市全体平均最低濃度最大濃度検出下限値(3σ)定量下限値環境基準等全国データ2) (一般環境)(道路沿道)(発生源周辺)(一般環境)最小最大(10σ)平均(平成19年度) 1Freon12-2.62.62.62.62.42.80.0090.0180.046 2Freon114-0.120.120.120.120.100.150.0020.0030.008 3Chloromethane-1.11.21.11.10.981.30.0020.0020.006 4Chloroethene-0.0100.0090.0060.008ND0.0210.0020.0020.007100.081 51,3-Butadiene-0.230.110.0930.140.0270.420.0030.0050.0122.50.19 6Bromomethane-0.0440.140.140.110.0240.540.0030.0080.021 7Chloroethane-0.0490.0540.0320.045ND0.110.0060.0120.028 8Freon11-1.41.51.41.41.31.80.0020.0110.024 9Freon113-0.590.600.580.590.550.660.0020.0140.036 101,1-Dichloroethene-0.0040.0040.0040.004NDND0.0030.0120.028 11Dichloromethane-3.15.61.53.40.76160.0040.0150.0341502.3 12Acrylonitrile-0.0610.150.0880.0990.0180.300.0040.0050.01520.10 131,1-Dichloroethane-0.0060.0060.0060.006NDND0.0060.0160.037 14c-1,2-Dichloroethene-0.0050.0050.0050.005NDND0.0030.0220.035 15Chloroform-0.170.200.740.370.0752.30.0010.0020.005180.21 161,1,1-Trichloroethane-0.0580.0650.0580.0610.0500.0890.0020.0040.010 17Tetrachloromethane-0.600.600.590.600.560.670.0030.0120.027 181,2-Dichloroethane-0.0870.0880.120.0970.0370.330.0020.0050.0101.60.15 19Benzene-1.51.10.981.20.372.30.0040.0070.01631.5 20Trichloroethylene-0.0590.0580.0640.060ND0.260.0040.0110.0292000.76 211,2-Dichloropropane-0.0310.0470.0270.0350.0050.160.0020.0040.011 22c-1,3-Dichloropropene-0.0130.0020.0020.006ND0.0690.0030.0070.013 23Toluene-112513174.2780.0010.0080.016 24t-1,3-Dichloropropene-0.0010.0010.0010.001NDND0.0010.0030.006 251,1,2-Trichloroethane-0.0020.0020.0020.002NDND0.0030.0040.010 26Tetrachloroethylene-0.100.100.0520.0840.0210.260.0030.0110.0232000.31 271,2-Dibromoethane-0.0040.0040.0040.004NDND0.0040.0100.025 28Chlorobenzene-0.0290.0240.0330.029ND0.0750.0040.0050.014 29Ethylbenzene-8.61.57.55.90.69220.0010.0030.008 30m-&p-Xylene-5.62.34.74.21.6110.0070.0080.023 31o-Xylene-1.81.21.51.50.653.30.0030.0040.011 32Styrene-0.341.40.940.890.113.40.0030.0130.024 331,1,2,2-Tetrachloroethane-0.0020.0020.0020.002NDND0.0020.0080.016 341,3,5-Trimethylbenzene-0.440.490.270.400.120.740.0030.0050.014 351,2,4-Trimethylbenzene-1.61.80.981.50.502.70.0050.0060.017 36m-Dichlorobenzene-0.0030.0030.0030.003NDND0.0050.0070.019 37p-Dichlorobenzene-0.490.530.300.440.140.970.0060.0130.030 38o-Dichlorobenzene-0.0260.0100.0060.014ND0.0730.0010.0040.010 391,2,4-Trichlorobenzene-0.390.0490.0790.17ND1.70.0050.0270.051 40Hexachlorobutadiene-0.0350.0030.0030.014ND0.140.0040.0080.021 注:平均濃度の算出にあたり,検出下限値未満の値は検出下限値の1/2を平均値算出に用いた。「ND」は,検出下限値未満を示す。 は優先取組物質を示す。
廃棄物分析情報迅速検索システムの構築について
Rapid Search System for Data Base of Final Disposal Site
秋野 正造 鍵谷 真男 小山 孝昭 Shozo AKINO,Masao KAGITANI,Takaaki KOYAMA
キーワード:検索プロブラム;検索コンパニオン;ファイル名検索;全文検索 Key words:search program;reference companion;file name search;full text search
1 はじめに
最終処分場や不法投棄現場等に関する水質分析デー タ等は,現在文書綴りや台帳に記載され保管されている ので,不法投棄・不適正処理の発見時や最終処分場設置 者の指導時に,必要とするデータ等を探し出そうとする と膨大な時間を要する。
行政上のみならず処分場等の調査研究及び分析値の確 認を行う上でも,迅速なデータ検索は必要なことである ので,過去 10年間の当該データの電子ファイル化を行 い,パソコン上で迅速に検索できるシステムを構築した ので報告する。
2 方 法(電子ファイルの作成)
既存の台帳記載のH10~H20年度の最終処分場,不法 投棄等の検査データは1検査結果毎に電子化し,エクセ ルの1ファイルとし,H17~H19年度及びH21年度の 採水現場のデジタル写真は1箇所の現場を1ファイルに,
H21年度検査した最終処分場の採水地点の緯度経度は1 地点1エクセルファイルに記述し電子化した。
1ファイル中のデータの個数, 検索プログラムの使い 易さ及びファイル名の記載事項(記載文字数も含む)を 検討し,緊急の要求に対して,容易に短時間で分析結果,
現場写真及び現地地図を検索し表示できるかを検討した。
3 結果及び留意点
3.1 水質データはエクセルファイルに統一
検索者が検索後のデータのグラフ化等によって解析し 易くするため,調査年月日毎,最終処分場毎の水質を 1 件毎に 1 エクセルファイルにした。画像は 一般的な JPEGのファイルとし,地図データは Web 国土地理院 へリンクし、現地地図が閲覧できるように、水質データ と同じソフトであるエクセルファイルに記載した。
3.2 検索プログラム
通常業務で使用するのでメンテナンスのし易さが必須 であることから新たなソフトを導入しなくとも対応でき るものを探した結果,本県の庶務業務支援システムで使 用しているパソコンに標準で装備されている Windows の検索コンパニオンを使用できることがわかり,ファイ ル名で検索することを検討した。
半角スペースで区切ることにより,検索文字列も1個
だけでなく,アンド検索で複数のキーワードで検索でき ることが分かった。
ただし,全角スペースの区切りでは文字列と見なされ るためかアンド検索はできなかった。また,検索はエク セル,ワード,一太郎,画像ソフトのJPEG等のどれに でも使え,特定のソフトにより再入力する必要がなく,
使用者の使い易さが確保される。
3.3 検索のスピードアップ
検索については,「ファイル名検索」と「全文検索」
の方法があるが,検討した結果,前者が5~20秒であり 後者の40秒~2分30秒に対してスピードがあり,あい まいな情報の場合は文字列を変えての再検索を行うこと も十分可能な時間で来客時のリアルタイムな情報確認や 苦情処理対応等の急な要求に十分対応可能であることが 分かった。
図1 水質データ検索状況(Excel)
図2 現地写真
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表1 検索時間の計測結果
使用したコンピュータ: 動作周波数2.1GHz RAM 2.0GB HDD75GB
3.4 ファイル名 3.4.1 検索項目
検査年度,検査の種類,処分場名,不法投棄等原因者名,
市町村(地名),放流水,地下水等の調査区分,検出項目及 び基準超過項目。ヒ素,砒素等のように表現が異なる物質 の検索もれ対策で「ひそ」とひらがなを付記した。「pH」 の検索はコンピューターの機械語のアルファベットのファ イル名の一部と混同されるので,ひらがな又はカタカナの 記述が検索に有利であることが分かった。
3.4.2 記載文字数
ファイルに記載可能な文字列はエクセル,Word,JPEG
及び一太郎の場合半角260文字使用可能であることが分 かった。
4 まとめ
このシステムは,新たなデータベース検索ソフトを使用 しないで,Windows の「検索コンパニオン」を使用する ことにより,「ファイル名検索」で数秒から数十秒で迅速 に検索することが可能となった。
また,Windows の「ファイル名検索」でソフトの種類
に関係なく検索可能であるので,既存の電子データファイ ルを活用できることから,同一ソフトに統一したデータの 再入力の必要がなく,ファイル名の記載ルールを明確に規 定しておくことによりデータ記入時間の節約につながる。
以上のことから,過去 10 年間の水質情報等が容易に 呼び出せるので不法投棄事案への迅速対応や水質検査の 効率的実施及びデータの確認並びに調査研究にも活用で きる。
検索対象 ファイル名検索 全文検索 PCハードデスク 5~20秒 40秒~2分30秒
(自動停止) MO 2~6秒 17秒~1分50秒 操作性 ○ △~×
廃棄物中に含まれる金属及び陰イオン
Metals and Anions Included in Waste Products
鍵谷 真男 佐々木 ひとえ 藤原 成明 小山 孝昭 Masao KAGITANI, Hitoe SASAKI, Shigeaki FUJIWARA, Takaaki KOYAMA キーワード:廃棄物;金属;陰イオン ; ICP-AES ; イオンクロマトグラフ
Key words:waste ; metal ; anion ; ICP-AES ; ion chromatography
1 はじめに
本県の産業廃棄物の排出割合は汚泥と動物のふん尿で 全体の8割を占めているが,その成分についてはほとん ど判っていない。また,汚泥や焼却灰などの再利用を推 進していくためにはその安全性を確認する必要がある。
さらに,廃棄物の不法投棄も後を絶たない状況である が,不法投棄者を迅速に特定することは難しいのが現状 である。
そこで,事業所や廃棄物の種類によってどのような特 徴があるかを調べるために,県内の廃棄物のうち,汚泥,
堆肥及び焼却灰に含まれる金属及び陰イオンについて分 析を行ったので報告する。
2 方法 2.1 分析試料
製造業,廃棄物処理業,試験研究施設,浄水場等から 提供を受けた,汚泥22件,堆肥6件,焼却灰14件を分 析試料とした。
2.2 前処理法及び分析法
分析試料の50mg程度をステンレス製の分解容器に取 り,超臨界水分解法1)を用いて有機物を分解した後,分 解液を測定した。
金 属 に つ い て は ICP-AES ( Thrmo Fisher SCIENTIFIC 製 iCAP6300)を用い,Zn,Fe,Ca, Al,Mg,Na,Mn,K,Ni,Pb,Cr,Cu,Cd,Co, Baの15成分,陰イオンについてはイオンクロマトグラ フ(日本DIONEX製 ICS-2000)を用い,F-,Cl-,Br-, SO42-の4成分の分析を実施した。
3 結果と考察
廃棄物1kg中に含まれる各成分の量を表1に示す。一 般に焼却灰はCaを多く含む傾向がある。それに対し汚 泥・堆肥は金属,陰イオンともに濃度が低いものが多い が,これは汚泥・堆肥には水分が多く含まれるためと考
えられる。
本研究は,不法投棄者の特定を第 1の目的として実施 されたものであるが,分析結果を以て直ちに不法投棄者 を特定することは難しいと考える。今後は,特徴的な成 分についてのデータや含水量の測定などよりきめ細かい データの蓄積が必要と思われる。
また,不法投棄の防止に寄与できるように,データの 解析方法についてさらに検討していく必要がある。
4 まとめ
焼却灰にはCaが比較的多く含まれるという特徴があ ることが判った。
前 処 理 に 超 臨 界 水 分 解 法 1)を 用 い る こ と に よ り ,
ICP-AES とイオンクロマトグラフによる同時分析が可
能となった。
5 参考文献
1)宮城県産業技術総合センター研究報告,No.3,p1
(2005)