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6.3 経路選択

6.3.3 結果と考察

まず、シミュレーションで使用したネットワーク構成について示すが、Aは経路選択ア ルゴリズムによって経路選択をしなかった場合の経路の場合のトラヒックの流れを表し、

B は経路選択アルゴリズムによって、経路選択をした結果、トラヒック分散を行った場合 のトラヒックの流れを表すとする。

(a) トラヒックの流れ(A)

(b)トラヒックの流れ(B)

図 6.9: ネットワークの接続図とトラヒックの流れ

また、Bの場合の経路を選択するに至った過程を第4章で紹介した経路選択アルゴリズ ムを使って導出してみる。

まず、Stub Router1側からStub router2へ至る経路とStub Router2からStub Router1 へ至る経路の判断基準の表を静的な要素について表にまとめる。ただし、ここでは双方と も同じ表を参照することになるのでNodeをSR(Stub Router)としている。

表 6.3:

Node Hop bandwidth

SR1-SR2 3 4

SR2-SR1 4 7

まず、静的な要素の判断基準から経路を絞る。上の表を参照し、各々の経路について式

(3.1)を用いて計算をする。ここでは簡単のため、α= 1.0であるとする。それぞれの計算

結果はそれぞれ約1.3と約1.75となる。次に各回線の帯域幅の逆数を取り、それぞれ2.5、

2.8となり、とりあえず要求されたQoSを満たしているとすると転送時間の短いことが期

待されるR1-R3の回線を通る経路について評価をする。

このため、図6.9(b)で使っている経路が選ばれ、次に各々の中継ノードの使用率を確か めることになるが、ここではどちらにしろ、経路を分散した場合は必ず図6.9(b)で示さ れる経路しか取りえないため、同じトラヒックで最初からトラヒック分散をしなかった場 合とした場合とを比較し、その有効性について考察する。

次に各々のトラヒックの流れにおける中継ノードの状態について考察する。

以下に各中継ノードにおける待ち行列の長さ及び使用率の結果の示し、さらに本研究で使 用している全体のトラヒックに占めるシグナリングのトラヒックの割合を示すαの値の遷 移について各ノード毎に示す。

そこで、ここでは図6.9にあるStub Router1とStub Router2の間のトラヒックにおけ る各中継ノードの状態について取り上げる。各図の見出しの()内のA,Bは図6.9で示さ れているトラヒックのパターンを示している。

(a) R1(A) (b) R1(B)

(c) R2(A) (d) R2(B)

(e) R3(A) (f) R3(B)

(a) R1(A) (b) R1(B)

(c) R2(A) (d) R2(B)

(e) R3(A) (f) R3(B)

(a) R1(A) (b) R1(B)

(c) R2(A) (d) R2(B)

(e) R3(A) (f) R3(B)

(a) R1(A) (b) R1(B)

(c) R2(A) (d) R2(B)

(e) R3(A) (f) R3(B)

まず、各中継ノードのシグナルの待ち行列の長さについてそれぞれ図6.10のトラヒッ ク分散をする前と後の各中継ノードの状態について考察し、トラヒック分散の効果を確認 する。図6.10を参照すると、パターンAを通った場合とパターンBの場合とで、シグナ ルの待ち行列の長さについてはそれほど、差は見られないが若干、経路Aの方の待ち行 列の方が長くなっていることが分かるが、パターンBの方はその待ち行列の長さに若干、

それぞれの中継ノードの待ち行列の長さに乱れがあるが、パターンAの方の待ち行列の 長さは、多少、経路Bよりもごくわずか長めに見えるが、突出して平均の待ち行列の長 さが長くなることもなく、どの中継ノードも安定して同じ程度の待ち行列の長さに収まっ ている。

つまり、どこかのノードで待ち行列の長さが長くなりすぎてしまうといくらそれ以外の ノードの待ち行列の長さが平均的に短くてもそのノードで滞ってしまい、さらにトラヒッ クがそのまま増えると遅延時間は非常に長くなってしまうので、一部のノードだけ突出し て待ち行列の長さが長くなってしまうことは、それだけ全体の遅延時間に影響を与える割 合が大きいので、シグナルのパケット用の待ち行列の長さから評価した場合、トラヒック 分散をした方が効率がよいと言える。

次に、各中継ノードの通常のトラヒックでの待ち行列の長さについて考察する。図6.11 を参照すると、パターンA,BのR3の待ち行列の長さにはそれほど差異は見られない。が、

R2についてはトラヒック分散をしたBの方が若干突出した箇所がある。これは図??(b)の トラヒック分散をした場合のR1の待ち行列の長さが、比較的長いためであると考えられ る。一方、R1についてであるが、これは明らかにトラヒック分散をしなかった方が待ち 行列の長さが短い。同じトラヒックであるので全く同じタイミングでパケットが発生し、

同じパケット長なのだが、これは図?? の全体のトラヒックに占めるシグナリングのトラ ヒックの割合を示している図の図??(a)と図??(b)を参照すると目算で約1割程度、トラ ヒック分散をしなかった方のR1のシグナリングのトラヒックの割合が多いことが分かり、

通常のトラヒックの割合が少なかったからだということが分かるが、なぜこのような現象 が起こったかを考えると逆に考えると、トラヒック分散を行った方が通常のトラヒックが 多かったと考えられる。これはSR1からSR2へトラヒックを流すとトラヒック分散をし なかった場合に比べて早い時間でSR2にパケットが到着する。パケットが到着するとSR2 はAckを返すため、そのトラヒックがSR2からSR1にむけて流れるが、Ackが到着する 前に、ランダム時間経過した後、さらにパケットを投げるのだが、その間隔が短かったた め、Ackが到着する前にさらにパケットを送出してしまい、R1に到着した頃、AckがR1 に次々と到着し、結果としてR1の通常のトラヒックの割合が高くなったためであると考 えられる。

つまり、トラヒックを分散して到達時間に差が現れるとAckを返すがAckが返ってく る前にデータグラムを送出するようなものの場合、時間差によってトラヒックが集中する

Hot Spotが生じてしまう可能性が高くなる。

各中継ノードの待ち行列の長さからトラヒック分散をした場合としない場合を比較し て、トラヒック分散の有効性を評価した場合、シグナリングのトラヒックについては比較 的緩やかな変化であるため有効性が高いと言えるが、通常のトラヒックを流した場合、時 間差によってHot Spotが生じてしまい、結果としてトラヒック分散をしない方が状態が よくなっている。経路選択によってQoS制御をするならば、そのトラヒックで使用する プロトコルに制限を付けなければならないことになり、QoS制御を行うための判断基準に 要求されたトラヒックの性質を示すパラメータも含めた方がよいのかもしれない。

次に、各中継ノードの使用率からトラヒック分散の有効性について考察する。使用率は

式(3.2)で示すように待ち行列の長さから算出して得た値であるのだが、各ノードの到着

するパケットの数とサービスされるパケットの数の比(λµであるので各ノードの状態がよ く分かる。

本研究の場合、各ノードのふたつの待ち行列の長さからそれぞれ使用率を出し、各待ち 行列の状態がよく分かるようにして問題点を洗い出してみる。まず、通常のパケットを格 納する側の待ち行列について図6.13(a),(b)を参照すると目算で約2倍違うように見える が、これは先ほどの時間差によるHot Spotの出現ということで理由がつく。使用率がト ラヒック分散をしない場合と下場合をそれぞれ約0.1、0.2ととらえると、トラヒック分散 をしなかった場合のパケット到着間隔にくらべてトラヒック分散をした場合はその半分の 時間で、約2倍のトラヒックが集まっているということが分かる。

その他の各中継ノードについては、図6.13(c)〜(f)までを参照すると、それほどトラヒッ クの流量に大きな差は生じていない事が分かる。つまり、使用率によって各ノードの状態 は分かっても、使用率がわずか0.1と0.2という比較的低い使用率でしかもわずかな差で しかないのに大きな遅延を生み出してしまっていることがわかり、一律に規定値を設けて 制御するだけでは要求されるQoSを満たすことは難しいことが分かる。もちろん、使用 率が0.7とか0.9に達してしまってはほとんど待ち時間が非常に長くなってしまい遅延時 間が長くなり、制御は必要であるが、たとえ小さな値の使用率であってもそのわずかな差 のトラヒック量は簡単に2倍、3倍に膨らんでしまうことも考慮して使用率を使う必要が あり、さらなる経路選択アルゴリズムの改良が求められる。

だが、ここで単純に通常のトラヒックだけを流した場合のR1,R2,R3のトラヒック分散

前と後の待ち行列の長さを調べてみる。しかし、ここではAckは返さないようにして通常 のトラヒックを流すことにし、また分散しない場合、すべてのトラヒックがR2を経由す るようにし、それぞれの経路はR1-R2-R3とR4-R2-R5-R6の二つの経路を使用した。ト ラヒック分散するときは、SR1からSR2へのトラヒックはR1-R3の経路を通り、SR3か らSR4へのトラヒックはR4-R5の経路を通るようにした。また、この実験はトラヒック 分散すること自体の有効性を探るためだけなのであえて、先ほどの条件を変え、R2にト ラヒックが集中するため処理能力は上がらないのでR2への各回線の帯域幅を10とした。

また、その他の条件について下記に示す。

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