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終了時評価の結果

ドキュメント内 Disaster Education in Turkey (ページ 55-63)

4-1 結論

トルコ国の新学期である9月以降に残りの活動が集中していることから、プロジェクト目標は、現 時点で4分の3程度達成であると判断できるが、成果1及び成果3の残りの活動が予定通り実施され るならば、プロジェクト目標は概ね達成される見込みである。プロジェクトは、トルコ国の防災に関 する国家政策・行動計画への協力であり、実施担当機関である国民教育省教員育成総局のニーズとも 合致していることから、その妥当性は高い。プロジェクトは、3つの成果を出すことでプロジェクト 目標を達成するよう適切に構成されており、事業効果を図るためのエンドライン調査も計画されてい ることから、その有効性は高い。プロジェクト実施に対する教員育成総局の予算支出やC/Pの努力は 大きいものの、プロジェクト実施期間中に教育制度改革と組織改編が行われたためプロジェクトも影 響を受けており、効率性としては中程度と判断される。パイロット県におけるインパクトに関しては、

「防災くまキャラバン」等の好事例も見られ、既に2県においては、県内すべての学校で防災教育を 実施している例も見られた。しかしながら、終了時評価の時間的制約から、防災教育の活発でない学 校への視察が出来なかったため、より正確なインパクトの発現に関しては、エンドライン調査の結果 を分析する必要がある。持続性については、技術的には大きな問題は見られず、財政面においても、

教員育成総局の教員育成予算は十分であることが確認されている。政策・制度面では、上位目標達成 のためには、トルコ全体の防災政策を担う AFAD との連携をより促進し、国家全体の防災政策の整 合性を高めることで、プロジェクト終了後の防災教育の質の向上及び普及の拡大が期待される。

AFADという組織がトルコ国全体の防災施策と対応を担っており、学校教育における防災教育の実施 者としての MoNE との連携により、プロジェクト終了後の防災教育の普及の拡大が期待される。ま た、組織面では、トルコにおける省庁全般的に、選挙による組織改変、及びそれに伴う大幅な人事異 動が懸念されることから、現地の事情を勘案した防災教育普及計画策定が必要である。

4-2 提言

PDM Ver3に示されたプロジェクト目標は「パイロット80校の教員の学校防災教育能力の強化」(プ

ロジェクト終了時)であり、上位目標は「パイロット県での学校防災教育能力強化」(プロジェクト 終了から3~5年程度)、またスーパーゴールでは「全国での学校防災教育能力強化」(プロジェクト 終了から5~10年程度)がそれぞれ目標となっている。

プロジェクト終了まで残り半年の活動期間において、プロジェクト目標の達成とともに、プロジェ クト終了後もその効果が定着し、上位目標やスーパーゴールの達成に向けてプロジェクトの成果が持 続・発展していくための提言を次のとおりまとめた。

(1) プロジェクト目標の達成に向けた提言

1-1. 活動成果を踏まえた2013年12月までの残りの期間、POに基づき着実に実施すること。

1-2. 中等教育学校のパイロット校の選定ならびに計画された活動を早急に行うこと。

1-3. プロジェクトの内容や成果・進捗の判りやすい報告書を作成してC/P・WG間のコミュニケー

ションの向上を図ること。また、渉外向けには PR にも利用できるプロジェクト紹介資料を

作成すること。

1-4. エンドライン調査については、ベースライン調査・中間評価調査の結果も踏まえ、PDM Ver3

にある各指標の達成度との関連を検討することが必要である。

1-5. 県のマスター教員の防災教育の県内での普及を促進する調整組織が確実に県に設置されるこ

と。

1-6. 今後設置されるコーディネーション組織において、MoNE の各部局(教員育成総局、基礎教

育総局、中等教育総局、サービス支援総局、及び教育委員会)から防災教育普及担当者が選 任され、教員育成総局が中心となり、プロジェクトが行ってきた活動を持続・発展させてい くこと。

(2) プロジェクト効果・成果品の定着に向けた提言

2-1. 以下の事項について責任部署を明確にすることが望まれる。

成果 事項 想定担当部署

成果1 1) マスター教員の任命・辞任・引継ぎ等に関する規定の作成

2) マスター教員の制度的な裏付け(資格制など)に向けた現 行制度の調査・改変

3) 現在のパイロット校、マスター教員のリストの見直し・ア ップデート

4) パイロット校となる中等教育学校の選定 5) 防災教育の県内における普及手法の計画作成

6) 防災教育の普及計画に関する県教育事務所との窓口部署 7) マスター教員に対する継続的なリフレッシュ研修の実施 8) ハンドブックPart1~Part4の情報共有・情報提供、広報

教員育成総局 教員育成総局

教員育成総局・県教育事務所

教員育成総局・中等教育総局・県教育事務所 県教育事務所

教員育成総局 教員育成総局 教員育成総局

成果2 1) 防災教育に関するハンドブックの国民教育省として承認

2) ハンドブックの教材としての認可のための、教育委員会へ の申請(TÜBİTAKの審査中)

3) プロジェクト終了後の、ハンドブックの管理、印刷・配布 4) プロジェクト終了後の、ハンドブックの改訂作業

大臣

基礎教育総局・教員育成総局

基礎教育総局・教員育成総局 基礎教育総局

成果3 1) 学校が防災緊急管理計画を作成・実施できる(又はすべき)

法的・制度的な根拠の整備

2) 学校防災緊急管理計画に関する県教育事務所との窓口部

3) 学校が作成する防災緊急管理計画の作成指示・評価 4) ガイドブックの管理、印刷・配布

5) プロジェクト終了後の、ガイドブックの改訂

サービス支援総局(・AFAD)

サービス支援総局

サービス支援総局、県教育事務所(・AFAD)

サービス支援総局 サービス支援総局

(3) プロジェクトの持続・発展に向けた提言

3-1. 国民教育省の教育政策における防災教育の位置づけについての共通理解を進めること。

3-2. 上述(2)の責任部署を含めて、JCC等の場において防災教育の実施体制を関係各総局と検討

すること。

3-3. エンドライン調査では、ベースライン調査・中間評価調査の結果も踏まえ、プロジェクトの インパクトとしての生徒・保護者の防災意識の向上が析出できるような質問項目となるよう 検討すること。

3-4. プロジェクトのスーパーゴールについては、防災教育の全国展開を目指すこと。

3-5. 現在トルコ国にて実施中の他案件「マルマラ地域における地震・津波防災及び防災教育プロ

ジェクト」(2013年5月~2018年4月)及び「リスク評価に基づく効果的な災害リスク管理 のための能力開発プロジェクト」(2013年7月~2017年6月予定)との防災教育面での連携

(相互訪問、活動進捗報告等)を進めること。

(4) その他の提言

4-1. プロジェクト実施を通して得られた知見やノウハウが失われないよう、MoNE は持続性を担

保するための必要な措置を取ること。

4-2. エンドライン調査については、プロジェクトに対する包括的なフィードバックを提供するた

め、十分な準備期間をもって実施に当たり、遅延無くトルコ側日本側へ報告すること。

4-3. 本件は成果の確保のため防災教育を公的教育からアプローチした案件であり、インパクトや

持続性の発現について、継続的にモニタリングを行い、アプローチの妥当性・課題を整理す ることが望ましい。

4-3 教訓

(1) 教育関係者と防災関係者の視点の違いを考慮して、両者が補完しあうことが重要である。

(2) 他の教育関連プロジェクトと共通の課題および異なる課題を整理し、活用すること。

(3) 非英語圏でのプロジェクトでは、意思疎通、関係機関との連絡調整に時間を要することから、

適切なリソースを計画的に投入する必要がある。

(4) 学校防災教育案件では、国内支援委員会を設置するなど学習指導要領作成やカリキュラム改訂 にアドバイスできる教育・教育行政の専門家によるバックアップ体制を整えること。

(5) 日本の震災経験・知見を共有することができる本邦研修はわが国の強みであり、防災教育、被 災からの復興を目の当たりに出来る貴重なリソースである。今後の防災教育案件においては、

案件形成時に本邦研修を重要な活動であると位置づけ、同研修のタイミング・内容ともに先方 政府に提示できる準備で臨むこと。

(6) 防災教育案件では、複数の総局が参画することになるが、各総局の上位にある次官の関与が不 可欠であることから、次官、関係局間の調整・協議に要する時間を本来の活動に掛かる時間以 外に見込んでおく必要がある。

4-4 団長総括

(1) プロジェクト全体

1) 調査・評価結果:合同評価報告書のとおり、おおむね良好な評価結果となった。その原因、理 由として、地震国としてトルコ国、国民が防災の重要性を理解していること、国民教育省が防 災教育を学校教育にて行うことの理由、効果を十分に理解していること、教員等が活動に自発 的に参加するだけでなくプロジェクトの成果を踏まえ、自発的に新たな活動を計画、実施して

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