固有値解析の結果,上下動を単純に無視した場合の基本振
0 200 400 600 800 1000 1200 1400 0
200 400 600 800 1000
-300 -250 -200 -150 -100 -50 0
Fig.3 Irregularly bounded soil model (unit : m)
動モードの固有振動数は,0.8608(Hz)で,3次元解析に比べ,
やや高い結果となった.そこで,上下動を擬似的に考慮する 田村ら8)の方法を用いて同じ解析を行った結果,0.8465(Hz)と なり,幾分改善がみられた.ともに幾分高めの固有振動数の 評価となった要因としては,本手法において多層地盤を卓越 振動数が等しい等価な地盤に置き換えた後,地盤深さ方向の 振動モードを基本モードに固定したことによる影響が考えら れる.振動モードについては,Fig.7, 8にそれぞれ上下動無視 (plane-strain)と上下動を擬似的(plane-stress)に考慮した場合を 示す.ともに,3次元有限要素解析の場合と同様,基盤がフラ ットなセクションの傾斜基盤側の部分で変位が大きくなり,
基盤傾斜部で急変する結果が得られた.計算時間は3次元解 析に比べはるかに少ない.当然ではあるが,この場合には,
上下動は表れていない.また,短手方向についても,3次元解 析と同様な振動モードのパターンが得られている.
6.まとめ
本研究では,常時微動を用いた簡易な地盤調査と,精度や
簡便さの上で調査手法とバランスの取れた地盤モデル化手法 とを組み合わせた方法を提案した.地表の単点で観測された 常時微動のH/Vスペクトル比を基盤深さが既知という仮定の もと用いることで,実地盤と卓越振動数の等しい基盤上の等 価一様地盤でモデル化できる.そのようにして得られた等価 一様地盤は,実地盤の高次の振動特性は近似し得ないが,低 次の振動特性を比較的精度よく近似するという知見を利用し て,ここでは,深さ方向の振動モードを1次モードに固定する ことで,地盤モデルのさらなる簡便化を図った.このように して得られたモデルは,田村らによってすでに提案されてい る擬似3次元地盤モデル(Q3D Model)に類似するものである.
Vs=1100 (m/sec) Vs=900 (m/sec) Vs=700 (m/sec) Vs=500 (m/sec) Vs=300 (m/sec)
Fixed
Fixed Fixed
Fig.4 Soil profile
不整形な多層地盤の固有振動モードを解析例として検討する と,簡便モデルを簡単な地盤情報とともに用いた場合の解析 結果は,3次元有限要素法と詳細な地盤情報の組み合わせによ って得られる結果を概ね近似するものとなった.
謝 辞
本研究を実施するにあたっては,平成21年度徳島大学大学 院先端工学教育研究プロジェクト,科学技術振興機構・シー ズ発掘試験(発掘型)(研究代表者=三神厚,課題番号13-014) による研究助成の一部を使用させて頂きました.また,防災 科学技術研究所のKiK-net,K-NETサイトの地盤情報を活用 させて頂きました.常時微動測定の実施にあたっては,元徳 島大学大学院生の岡本輝正氏,松田敏和氏,現徳島大学大学 院生の斉藤剛彦氏,その他の学生諸氏にご協力頂きました.
以上,この場を借りて,感謝の意を表します.
0 200 400 600 800 1000 1200 1400 0
500 1000
-300 -250 -200 -150 -100 -50 0 50
Fig.5 Computational result by 3D FEM
0 200 400 600 800 1000 1200 1400
0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000
Fig.7 Computational result by Q3D Model (surface, plane-strain)
0 200 400 600 800 1000 1200 1400
0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000
Fig.6 Computational result by 3D FEM (surface)
参考文献
1) 田村重四郎,鈴木猛康: 地下構造物の地震応答解析のた めの擬似3次元地盤モデルの提案-地盤モデルの構成,生 産研究,Vol.39, No.1, 37-40 (1987).
2) 中村豊: 地表面震動の上下成分と水平成分を利用した表 層地盤特性推定の試み,第7回日本地震工学シンポジウム,
265-270 (1986).
3) 道上剛幸,三神厚,岡本輝正,成行義文: 常時微動観測 記録を用いた表層地盤構造の簡易推定,土木学会四国支部 第15回技術研究発表会講演概要集,29-30 (2009).
4) 大町達夫,紺野克昭,遠藤達哉,年縄巧: 常時微動の水 平動と上下動のスペクトル比を用いる地盤周期推定方法
の改良と運用,土木学会論文集,No.489/I-27, 251-260 (1994).
5) 国土地盤情報検索サイト KuniJiban,
http://www.kunijiban.pwri.go.jp/denshikokudo/
6) 大崎順彦:地震動のスペクトル解析入門,鹿島出版会,p.190 (1994).
7) Matsuda, T., Mikami, A., Okamoto, T., Nakano, S., Okabe, T. and Nariyuki, Y. : Two-layer modeling of ground based on microtremor observations and its application to areas devastated by recent major earthquakes in Japan, Proc. The 14th World Conference on Earthquake Engineering (2008).
8) Nogami, T., Konagai, K. and Mikami, A.: Simple formulation of
ground impedance functions for rigid surface foundations, Soil Dynamics and Earthquake Engineering, Vol.21, No.6, 475-484 (2001).
0 200 400 600 800 1000 1200 1400
0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000
Fig.8 Computational result by Q3D Model (surface, plane-stress)
9) Tamura, C., Konagai, K. and Suzuki, T.: Earthquake response analysis of soft soil deposit on undulating bedrock, Report of the Institute of the Industrial Scinence, The University of Tokyo, Vol.36, No.5, 227-261 (1991).
ミクロスケ-ルからの現象解明に基づいた炭化水素資源の増進回収 法の開発
末包 哲也
1*R&D on Enhanced Recovery Schemes of Hydrocarbon Resources Based on the Clarification of Mechanisms on a Micro Scale.
by
Tetsuya SUEKANE
An important aspect of any enhanced oil recovery (EOR) process is the effectiveness of process fluids in removing oil form the rock pores at the microscopic scale. Capillary and viscous forces govern phase trapping and mobilization of fluids in porous media.
Understanding the role of pore-level mechanisms is essential to the design of EOR process in oil-fields. In present study, first, we observed the pore-scale mechanisms of surfactant flooding and water-alternated-gas (WAG) scheme by using the porous plates. Reduction in the interfacial tension between oil and water due to surfactant results in the enhancement of oil productivity. During this process, some fraction of oil tends to be in an emulsion state, which suggests that the snap-off mechanisms are changed with the reduction in surface tension. In WAG processes, injection of gas both before and after surfactant injection facilitates to bring surfactant to the interface between oil and water by blocking the paths of water break-through. Finally, the oil trapping process in water flooding was visualized in a three-dimensional packed bed of glass beads by means of X-ray CT scanning. Piston-like displacement in a pore-network scale is primary mechanism in oil trapping comparing with the snap-off at pore-throat.
Key Words: surfactant, porous plate, gas flooding, enhanced oil recovery, trapping mechanism, snap-off
1. 緒言1
近年,新興国の経済発展に伴い原油への需要が急激に高ま っている.現代社会は,一次エネルギーの大半を化石燃料に 依存しているが,これを代替できるエネルギーは再生可能エ ネルギーと原子力エネルギーの2つである.温暖化防止の観 点から再生可能エネルギーの研究開発で盛んに行われてい るが,エネルギー密度の低さや出力調整が困難などの問題が あり,直ちに化石燃料を代替することは難しい.一方で原子 力は技術的に成熟しているものの,安全性の担保や単一エネ ルギー源に依存することのエネルギー安全保障の観点から の問題により,原子力のみへの急激な依存もまた困難である.
よって,21世紀中は依然として化石燃料に依存しななければ ならない.安定的な化石燃料の供給確保は安定的な経済発展 や次世代エネルギーへのソフトライディングを達成する上 で必要不可欠である.
1 徳島大学大学院ソシオテクノサイエンス研究部 Department of Mechanical Engineering, Graduate School of Engineering, The University of Tokushima
* 連絡先:〒770-8506 徳島市南常三島町2-1
徳島大学大学院ソシオテクノサイエンス研究部
貯留岩内部に包蔵される原油は坑井を掘削することによ り,油層が持っている圧力により流動化・回収することがで きる.しかし,一部の原油を生産した後に貯留層内部の圧力 は速やかに低下し,それ以上,生産を継続することはできな い.よって,水を圧入し,油層の圧力を維持することにより,
生産性を確保する水攻法が採用される.この手法を用いても 原油のおよそ半分は回収することができず,原油は貯留層内 部にトラップされてしまう.微視的には,油がスナップオフ されることにより,毛管力による保持力が水の流れによる粘 性力あるいは圧力勾配に比べ強くなるために,岩石内部にト ラップされる.よって,原油増進回収法(EOR)として,界面 活性剤の注入による界面張力の低下(サーファクタントフラ ッディング(1)-(2)),超臨界CO2によるミシブル化(CO2フラッ ディング(3)),ガスと水の交互圧入による掃き出し効率の向上
(WAG法)などがすでに実用化されている.
本研究は,微視的なスケールからの現象の解明に基づいて,
原油のトラップメカニズムを明らかにし,生産性向上の指針 を得ることを目的とする.はじめに,可視化が容易な2次元 多孔質体を用いて,サーファクタントフラッディングと WAG法を対象として,空隙スケールでの流動現象を明らか にする.次に,より実多孔質構造に近い充塡層を用いて,原 油のトラップメカニズムをX線CTを用いて可視化すること
のより,現象の解明を行う.
2. ポーラスプレートによるEORプロセスの可視化 2.1 ポーラスプレート
実験にはFig.1に示すような2次元の模擬多孔体を用い
た.32.2 mm×68.4 mmの領域に円形のポアを配位数4の流路
でつなぐことにより,ポアネットワークを再現している.ポ アの直径は450,585,720,855,900 μmの5種,1502個で,
流路の幅は90,117,144,171,198μmの5種であり,それ ぞれの出現頻度が正規分布に近い11.5,23.0,31.0,23.0,11.5%
となるようにしている(4).ポアおよび流路の深さは90μmで あり,ポアネットワーク部分の面積空隙率は0.30である.プ レートは石英ガラス製であり,ポアネットワークをブラスト 加工した後,オプティカルコンタントにより接合されている.
2.2 実験手法
毛管力と粘性力の相対的な大きさを表す無次元数キャピ ラリー数は以下のように表される.
U
Ca (1)
ここで,µ:水の粘度 ,U:水のダルシー流速,γ 水と油の 界面張力である.
Fig. 2に実験装置の概略を示す.ポーラスプレートを最初,
原油を模擬したn-ドデカンで満たす.次に,ポーラスプレー トを水平に設置し,シリンジポンプを用いて所定のCa数に なるように一定流量で水,界面活性剤,空気を注入する.各 段階において,上部から写真撮像を行う.各相の判別を容易 にするために,水はメチレンブルーで,n-ドデカンはスーダ ンレッドでそれぞれ染色されている.
2.3サーファクタントフラッディング
Ca 数を 1.0×10-6として水および界面活性剤を圧入したと
きのオイル生産の様子をFig.3に示す.なお,Ca数にはと もに水の界面張力を用いており,Ca 数が同じとき,圧入流 速が同じことを意味している.ポーラスプレートは最初,n-ドデカンで満たされており,Fig. 3において左側から水また はサーファクタントが圧入され,右側から生産されている.
水攻法の場合,数個から十数個のポアに渡って広がっている 比較的大きな残留オイルが観察されている.一方,サーファ クタントフラッディングの場合,大きな残留オイルの個数が 低下し,生産性の向上が観察されている.一方,ポアスケー ルでは,エマルジョン化も進んでおり(Fig. 4),約5%のポア において,オイル液胞が細分化されてトラップされていた.
流体の圧入速度が同じであっても,界面張力の違いにより,
オイルの剪断のされやすさが変化し,オイルがスナップオフ されるプロセスに変化が生じているために,残留量に変化が 現れたと推察することができる.今回は,剪断の過渡的な現 象を捉えていないが,今後,スナップオフプロセスを詳細に 検討する必要がある.
Fig. 1 porous plate.
Fig. 2 Experimental setup.
(a) Water flooding
(b) Surfactant flooding
Fig. 3 Distribution of trapped oil at the capillary number of 1.0×10-6
Fig. 4 Close up view of trapped oil droplets shown in Fig. 3b in surfactant flooding at the capillary number of 1.0 × 10-6.