第 5 章 健常者の終夜睡眠における入眠期の生理心理学的指標との比較(研究 3)
5.2 節 方法
参加者 H大学に通う健康な大学生および大学院生7名(男性5名,女性2名,平均年齢
22.6±2.15歳)を対象にし,これらのデータを研究 2 の統制群データに加えた。あらかじめ,
睡眠と覚醒リズムの乱れている者,睡眠導入剤を服用している者,もしくは医療機関を受診 し服薬中の者は除いた。参加者には睡眠日誌と腕時計型アクチグラフ(Actiwatch-L, Mini Mitter Company, Inc., U.S.)による記録,測定を3日以上行うことを依頼し,睡眠と覚醒リズ ムに極端な乱れのないことを確認した。以下,この7名を終夜睡眠健常群と表記する。本研
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究は,2011年10月8日付の太田総合病院倫理審査委員会での承認を受け,実施されたもの である。
手続き 終夜睡眠の PSG測定は,日本睡眠学会の睡眠医療・認定委員会の認定医療機関 である神奈川県川崎市にあるA 睡眠科学センター(認定番号: 機関A-0048-1)にて行われた。
測定スケジュールを図3-1に示す。参加者は測定当日,夕食を済ませたうえで19時にA睡 眠科学センターに到着後,シャワーを浴びた。そのあと検査室で質問紙の第1部に回答し,
測定装置を装着して午前0時までに測定を開始後,目覚めたら測定終了とした。起床後に装 置を外して質問紙の第2部に回答し,シャワーを浴びて午前8時頃退出した。
質問票 質問紙の第 1 部には,睡眠時間や運動,喫煙などの生活習慣に関する項目と,
STAIの状態不安の項目,KSS-Jを含めた。第2部には,入眠感調査票およびOSA-MAで構 成した。入眠感調査票とOSA-MA,STAIの状態不安,KSS-Jの各項目の内容はそれぞれ研
↓ シャワー
↓
↓
↓
↓
↓ シャワー
↓ 朝8時終了
図3-1 終夜睡眠PSG測定スケジュール A睡眠科学センター到着19時
質問紙「第1部」記入 PSG電極装着
終夜睡眠PSG測定(AM0時前までに開始し目覚めたら終了)
質問紙「第2部」記入
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究1および2で使用したものと同じである(表1-1, 1-2, 1-3, 1-4, 2-2参照)。睡眠に関する項目 については,A睡眠科学センターでの終夜睡眠について回答を求めた。
測定装置と記録 PSG データはポリグラフ測定装置(Tyco Health Care 社製 Sandman
SD32+)を用いて測定した。国際式10-20法に準拠し,脳波は両耳朶連結を基準電極として,
左右の前頭部(F3, F4),左右の中心部(C3, C4),左右の後頭部(O1, O2)の6部位に銀・塩化銀電 極を装着し単極導出した。眼電図は右上眼窩と左下眼窩により単極導出,筋電図は顎筋の左 右オトガイ筋2部位からと左右脛骨筋から導出し,心電図は左右前腕部から双極導出した。
呼吸に関する測定用に,気流(鼻圧センサおよび温度センサ),呼吸努力(胸部運動および腹部 運動),動脈血酸素飽和度,鼾音(ピエゾセンサ)を測定し,また,体位に関して測定した。リ ファレンス電極は前額部に,ボディアースは左右の腕に装着した。脳波の時定数は0.3 秒,
眼電図の時定数は3.0秒,心電図の時定数は1.5秒,筋電図の時定数は0.01秒とした。脳波 を測定するためのソフトは,Sandman Elite Ver. 7.2 (Tyco Health Care社製)を用いた。ただし 研究3での検討に主に用いた測定項目は,脳波および心電図であった。サンプリング周波数
は1,000Hzとした。電極装着は,装着箇所の皮膚をあらかじめアルコール消毒した後行った。
研究2と同じく,Hori et al. (1994)によって提案された,入眠期のための9段階5秒間判定 基準の各脳波段階の特徴は 2.3 節で記述した通りである。この脳波段階の判定は,消灯し PSG測定記録を開始してから30分間の区間を対象に行った。また研究2と同様,PSGによ って計測された心電図波形から,MemCalc 法を用いた時系列データ解析プログラム MemCalc/Win(諏訪トラスト社製)によって自律神経活動の指標を求めた。
分析 研究 2 と同様,質問紙への回答,脳波段階,睡眠段階,自律神経活動についての 群間比較を行った。なお,終夜睡眠健常群のPSGデータは,消灯後30分間の部分を使用し た。また,本章からは研究2の仮眠実験の統制群を仮眠統制群と表記する。研究3ではこの
72 仮眠統制群と終夜睡眠健常群を比較した。