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第 5 会場(1―5―1〜1―5―131)

ドキュメント内 01_目次 (ページ 101-200)

1―3―1 出生後のイヌ永久歯歯胚組織を用いた器官原基法による完全 な臓器としての歯の再生

○大野充昭*,大島正充*.**,園山 亘*,小川美帆**,***,笈田育尚*,Emilio S. Hara*, 新川重彦*,中島 隆*,辻 孝***,****,窪木拓男*

*岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 インプラント再生補綴学分野,**東京理科大学 総合 研究機構,***(株)オーガンテクノロジーズ,****理化学研究所

Fully Functional Bioengineered Tooth Regeneration Utilizing an Organ Germ Method with the Parmanet Tooth Bud Tissue of the Post-natal Canine.

Ono M*, Oshima M*,**, Sonoyama W*, Ogawa M**,***, Oida Y*, Hara ES*, Shinkawa S*, Nakajima R*, Tsuji T***,****, Kuboki T*.

*Dep. of Oral Rehabilitation and Regenerative Medicine, Okayama Univ. Grad. Sch. of Med., Dent. and Pharm.

Sci.,**Res. Inst. for Sci & Tech., Tokyo Univ. of Sci.,***Organ Technologies Inc.,****RIKEN Center of Developmental Biology

Ⅰ.目的

歯の生物学的な再生は,補綴学の究極の目標の一つ である.現在は,歯の欠損に対し,義歯やデンタルイ ンプラントなどの人工臓器を用いて機能回復を図って いるが,生理的な臓器である天然歯と比較すると,咬 合感覚,侵害受容入力,歯の移動などの生理的機能,

周囲歯槽骨の安定保持などにおいて改善の余地があ る.一方,マウスの胎生期歯原性細胞を用いて確立さ れている器官原基法による再生歯胚の移植・機能回復 技術1,2)を用いれば,臓器としての歯・歯根膜・歯槽骨 複合体を発生させることが可能である.しかし,マウ スの胎生期歯原性細胞以外を用いた系で器官原基法が 成功した例はない.今回,出生後のイヌ永久歯歯胚組 織から採取した組織や細胞を用いて世界で初めて生理 的機能を有する臓器としての歯を再生することに成功 したので報告する.

Ⅱ.方法

生後30日齢のビーグル犬の下顎第2, 3, 4乳臼歯を 抜歯後,顎骨からP2, P3, P4の永久歯歯胚を摘出した.

摘出した永久歯歯胚組織から上皮組織と間葉細胞を分 離採取し,器官原基法による再生歯胚を作成した.そ の後マウス腎皮膜下に移植し,組織形成能をX線学的,

組織学的に評価した.また,正常歯胚と再生歯胚を,

同一個体の乳歯抜歯窩に自家移植し,再生歯胚の発生 をコンビームCTで経時的に評価した.また,顎骨内 で発生し,萌出した再生歯が天然歯と同様の形態や機 能を有しているかを確認するため,組織学的ならびに 電子顕微鏡による形態学的解析を行なった.さらに,

再生歯に天然歯と同様の歯根膜機能が備わっているか を確認するため,実験的矯正力を加え矯正学的な歯の 移動を確認した.

Ⅲ.結果と考察

生後30日齢のP2,P3,P4の歯胚は,形態学的に帽

状期であった.また,これらを用いて作製した再生歯 胚は,マウス腎皮膜下において正常な歯冠組織を発生 することが確認された.自家移植した再生歯胚は顎骨

内で正常発生し,移植120日後に口腔内に放出した.

放出した再生歯の生理的機能を評価するため,実験的 矯正力を加えたところ,天然歯同様,矯正学的な歯の 移動が生じた.また,組織学的検討の結果,再生され たセメント質と歯槽骨との間には歯根膜・シャーピー 線維様の構造が確認され,天然歯と同様の臓器として の歯周組織再生が証明された.

以上より,マウスだけでなく大型動物であるイヌに おいても,さらには胎生期歯原性細胞ではなく出生後 の永久歯歯胚組織を組織・細胞ソースとしても,器官 原基法を応用することで歯や歯周組織の再生が可能で あることがわかった.

Ⅳ.文献

1) Nakao K, Morita R, et al. The development of a bioengineered organ germ method. Nat Methods 2007;

4(3):227-30.

2) Oshima M, Mizuno M, et al. Functional tooth regeneration using a bioengineered tooth unit as a mature organ replacement regenerative therapy. Plos One 2011;6(7):e21531.

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1―3―2 歯根膜には大腿骨骨髄に由来する幹細胞が存在する

○加来 賢,北見恩美,Juan Marcelo Rosales Rocabado,井田貴子,秋葉陽介,魚島勝美 新潟大学大学院 医歯学総合研究科 生体歯科補綴学分野

Recruitment of Femoral Bone Marrow Derived-Stem Cells in PDL.

Kaku M, Kitami M, Rosales JMR, Ida T, Akiba Y, Uoshima K

Division of Bio-Prosthodontics, Graduate School of Medical and Dental Sciences, Niigata University

Ⅰ.目的

歯根膜は歯周組織の維持/再生における組織幹細胞 の供給源として重要な役割を果たしている.発生初期 の歯根膜を構成する細胞のほぼ全てが神経堤由来であ ることはよく知られているが,我々は歯根膜における 神経堤由来細胞の占める割合が,発生過程が進むに 従って減少していくことを見出しており1),リモデリ ングの過程において,他の細胞源から歯根膜に細胞が 供給されている可能性が高いと考えている.近年の研 究から代謝活性の高い間葉系組織において,骨髄に由 来するCirculating -Mesenchymal Stem Cell (MSC)や周 皮細胞(Pericyte)が組織幹細胞として機能している可能 性が示唆されており,歯根膜における間葉系幹細胞は 血管近傍に検出されることからも,骨髄由来幹細胞の 血行性供給が強く推察される.

本研究の目的は歯根膜における大腿骨骨髄由来細胞 の局在および幹細胞マーカーの発現を解析し,歯根膜 に細胞を供給している新たな幹細胞源の存在を明らか にしようとするものである.

Ⅱ.方法

4週齢のGreen Fluorescent Protein (GFP)ラット

(SD-Tg(CAG-EGFP))の大腿骨より骨髄間質細胞を採取し,

免疫不全ラット(F344/NJcl-rnu,4週齢)の同部位に移植 した.移植4週後に一部のラットには上顎両側第1臼 歯の抜歯即時再植を行った.移植4週後および再植1 週後に4%Parafolmaldehydeにて還流固定を行い,上 顎歯周組織,大腿骨,小腸,腎臓,皮膚を採取してパ ラフィン包埋組織標本を作成した.GFP陽性細胞を ウサギ抗GFP抗体,Alexafluor 488にて,各種幹細胞 マーカーをマウス由来抗体,Alexafluor 594にて多重 染色を行った.MSCマーカーとしてCD29, CD105, SSEA4, 神 経 堤 幹 細 胞 マ ー カ ー と し て HNK1, p75/

NGFR, PericyteマーカーとしてαSMA, PDGFRβ,破 骨細胞マーカーとしてCathepsin Kを用いた.本実験 は新潟大学動物実験倫理委員会の承認を得て行った.

Ⅲ.結果と考察

歯根膜において,GFP陽性の大腿骨骨髄由来細胞は

血管近傍に検出され,その多くは幾つかの細胞が凝集 した小塊を形成していた.歯根膜中には幹細胞マー カー(CD29, SSEA4, HNK1,αSMA)に陽性の細胞が検 出されたが,GFP陽性細胞中にはCD29, SSEA4陽性 細胞のみが検出された.

再植モデルの歯根膜においてはGFP陽性細胞の増 加が主として骨表面に認められ,創傷治癒の場におい て骨髄由来細胞が動員されている可能性が示唆され た.骨表面のCathepsin K陽性細胞にはGFPにも陽性 の細胞が存在し,大腿骨骨髄に由来する破骨細胞の遊 走が確認された.また一部の骨細胞はGFP陽性で あった.さらにGFP陽性細胞は大腿骨骨髄腔内の海 綿骨表面にも依然として存在し,小腸間質,腎臓皮質,

皮膚の結合組織層においても検出された.

本研究により,歯根膜には大腿骨骨髄に由来する間 葉系幹細胞および破骨細胞の前駆細胞が血行性に供給 され,組織の創傷治癒に寄与していることが示された.

本研究で構築した実験モデルは,生体が元来有する再 生能を担うメカニズムの1つとして着目されている,

遠隔幹細胞の誘導機構(ホーミング)を解析する研究 モデルとしても期待される.

図1,歯根膜における大腿骨骨髄由来細胞(GFP陽 性細胞)の存在(左図矢印)と,抜歯即時再植によ る増加(右図)

Ⅳ.文献

1) Kakuet al. Identification and characterization of neural crest-derived cells in adult periodontal ligament of mice. Arch Oral Biol 2012; 57 (12):1668-75.

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1―3―3 Id2 遺伝子欠失 iPS 細胞を用いた BMP-2 の骨芽細胞分化促進 機構の解析

○裏口真也,江草 宏,矢谷博文

大阪大学大学院歯学研究科 顎口腔機能再建学講座 クラウンブリッジ補綴学分野 Analysis of BMP-2-induced osteogenesis using Id2 deficient iPS cells

Uraguchi S, Egusa H, Yatani H

Department of Fixed Prosthodontics, Osaka University Graduate School of Dentistry

Ⅰ.目的

骨形成蛋白質(BMP)はインプラント治療における 確実な歯槽骨増生を可能とする薬剤として期待されて いるが1),高価ゆえに,低容量で高い効果を発揮させ る新たな技術が求められている.

近年,BMPの標的遺伝子としてinhibitor of DNA binding/differentiation-2(Id2)が報告されたが,その骨 芽細胞分化における役割は未だ不明である.Id2の機 能解析にはId2遺伝子欠失(Id2-/-)マウスが有用なツー ルとなるが,このマウスは出生後の早期致死率が高い ため,安定して実験に供することは困難である.そこ で我々は,Id2-/-マウスからiPS細胞を樹立することで

「Id2遺伝子欠失iPS細胞」を作製し,これをBMPに よる骨芽細胞の分化誘導機構の解析に用いる手法を着 想した.

本研究の目的は,Id2-/-マウスから作製したiPS細胞 を用いて,BMP誘導性の骨芽細胞分化におけるId2の 役割を明らかにすることである.

Ⅱ.方法

Id2-/-マウスおよび野生型(Id2+/+)マウスから分離 培養した歯肉線維芽細胞に山中因子を導入して初期化 を誘導した.出現したES細胞様コロニーからiPS細 胞クローン株(Id2-/--iPSおよびId2+/+-iPS)を作製し,

そのES細胞特異的遺伝子(Nanog,Oct3/4,Eras)の発 現および多分化能を,RT-PCR解析およびテラトーマ 形成実験により評価した.

次に,各iPS細胞株から胚様体を誘導し,骨芽細胞 分化誘導培地を用いて培養した.骨芽細胞特異的遺伝 子(Collagen-1a1,Osteocalcin,Igf1)の発現,石灰化基 質およびハイドロキシアパタイト(HA)結晶の形成を,

RT-PCR,Arizalin Red染色および電子線回折解析を用 いて評価し,iPS細胞の骨芽細胞への分化を確認した.

各iPS細胞をBMP-2(100 ng/ml)存在下で骨芽細胞 に分化誘導し,骨芽細胞特異的転写因子(Runx2OsterixDlx5Msx2)の発現をreal time RT-PCRによ り解析した.また,Id2-/--iPSおよびId2+/+-iPSにおけ るBMP,Wntシグナル関連遺伝子群の発現を,PCRア レイを用いて比較解析した.

Ⅲ.結果と考察

樹立したすべてのId2-/--iPSおよびId2+/+-iPS株は ES細胞特異的遺伝子を高発現し,テラトーマ形成実 験の結果,三胚葉の組織に分化する能力を有するiPS 細胞であることが確認された.

Id2-/--iPSを骨芽細胞へ分化誘導した結果,骨芽細胞 特異的遺伝子の発現は亢進し,HAの結晶構造を含む 細胞外基質の石灰化を認めた(図A).Id2-/--iPSは Id2+/+-iPSと比較して著明に高い石灰化基質の形成を 示した(図B).

BMP-2存在下における骨芽細胞分化誘導の結果,

Id2-/--iPSではId2+/+-iPSと比較してOsterix,Dlx5,

Msx2の発現が有意に上昇し(ANOVA:P<0.01),

Runx2およびWntシグナルのアンタゴニストである

Sostの発現は有意に低下した(ANOVA:P<0.01).

PCRアレイ解析の結果,Id2-/--iPSではId2+/+-iPSと比 較してWntシグナル関連遺伝子(Wnt6Wnt10aSfrp2

Sfrp4)の著明な発現上昇を認めた.

以上の結果より,Id2遺伝子を欠失した細胞からで もiPS細胞の樹立は可能であり,Id2遺伝子の欠失が

BMP-2による骨芽細胞分化を促進的に制御すること

が明らかとなった.この制御には,Runx2発現抑制に 関連したWntシグナル機構の活性が関与している可 能性が示唆された.今後,Id2に関与するこれら分子 を標的とすることでBMPの機能を向上する技術に繋 げていきたいと考える.

図.Id2-/--iPSにおける石灰化亢進:(A)電子線回折

(HA結晶構造)(B)アリザリンレッド染色像

Ⅳ.文献

1) Egusa H, Sonoyama W, Nishimura M et al. Stem cells in dentistry- Part II: Clinical applications. J Prostho-dont Res 2012; 56:229-248.

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