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[第2部]

ドキュメント内 Ł\”ƒ1-4 (ページ 69-119)

連 携 及 び   研     究  

Collaboration and Research

1.はじめに

プロ野球独立リーグであるBCリーグに2008シーズンから参戦した群馬ダイヤモンドペガサスは、平成19年12 月に本学と産学連携に関する協定を結び、平成20年度より、ビジネス情報学部スポーツマネジメント学科を中心 に連携事業がスタートした。主な連携事業の内容としては、球団のマーケティング活動の一環となる球場において の観戦者調査の実施やホームゲームでの試合運営に関する学生ボランティアの派遣がビジネス情報学部を中心に展 開され、看護学部より試合開催時に球場に待機する看護師の派遣が行われた。また、スポーツトレーナー実習とし て、スポーツマネジメント学科の学生がチームの練習に一週間帯同し、プロスポーツチームでの実践的な演習活動 を体験することができた。

これらの活動は、スポーツマネジメント学科が目標としているスポーツビジネスにおける企画の運営やマネジメ ント、またスポーツ指導やトレーナーなどの様々な専門性を修得するための教育実践活動として有効な取り組みで あると同時に、地域社会との連携や貢献を目指す球団の理念が具体化された活動であった。

ここでは、連携事業の中でも中心的な取り組みであり、スポーツマネジメント分野の研究においても近年注目を 集める課題となっている、BCリーグのマネジメントについて、観戦者を対象としたマーケティング調査を中心に 報告する。

2.群馬ダイヤモンドペガサスにおける観戦者の特性および観戦行動に関する基礎的研究

(1)研究の背景・目的

BC(Baseball  Challenge)リーグ(以下、BCリーグ)は、2007年4月より新潟、富山、石川、長野の北信越 地域の4県によりスタートしたプロ野球独立リーグである。スポーツによる地域の活性化が注目される中、「野球 による地域貢献」を目指し、2008シーズンからは群馬と福井の2チームが参戦し、6球団によるリーグ戦が展開 されている。プロスポーツによる地域の活性化においては、1993年に開幕したJリーグのホームタウン制を契機 に様々なスポーツ組織が取り組むようになったが、特に、プロスポーツの試合開催が少ないローカルな「地方」と 呼ばれる地域では、チームが活躍することによる全国的な知名度の向上や地元住民への活力、さらには経済的な発 展など、様々な貢献が期待されている。

スポーツマネジメントの分野では、プロ野球やJリーグなどのスペクテータースポーツ(みるスポーツ)を対象 としたマーケティングは中心的な研究課題であり、これまでも観戦者の動向やスポーツプロダクトに関する研究が 数多く報告されている。特に近年では、BCリーグをはじめとする「Localism(ローカリズム)」と呼ばれるよう な地域密着型のスペクテータースポーツにおけるマネジメントは、新たなプロスポーツの発展や地域の活性化に対 して多くの期待が寄せられている。

これらを背景に本研究では、群馬ダイヤモンドペガサスにおける観戦者動向に着目し、観戦者の実態を明らかにす るとともに、球団の実践的な取り組みや今後のマーケティング活動に有効なポイントを検討することを目的とした。

群馬ダイヤモンドペガサスとの連携事業について

― 観戦者を対象としたマーケティング調査の実施 ―

ビジネス情報学部 講師●

小野里 真弓

産学連携

(2)研究方法

①調査項目の設定

調査項目は、これまでのプロスポーツ調査に関する先行研究を参考に、観戦者マーケティングの基本となる性別 や年代などに関するデモグラフィックス、観戦回数や同行者など観戦行動に関する項目を中心に設定した。

②調査対象試合およびデータの収集

調査は、BCリーグ2008シーズンにおける群馬ダイヤモンドペガサスのホームゲーム36試合のうち、リーグ開 幕戦を含めた前期リーグ2試合および最終戦を含めた後期リーグ3試合の計5試合において観戦者に対して質問紙 によるアンケート調査を行った。調査の実施日および開催会場、対戦カード、回収数等については、表1に示した とおりである。

③分析の手順

得られたデータに対し、統計ソフトSPSS17.0Ver.を用いて、基礎集計および調査実施日別の分析を行った。

(3)結果と考察

①調査対象者のデモグラフィックス特性

性別、年代、職業などのデモグラフィックスは、調査対象者の実態を把握するための基本的な情報であると同時 に、マーケティング活動を行う上での重要な指標となるものである。

表2は、調査対象者となった観戦者のデモグラフィックスを示している。性別では、各調査実施日により多少の 違いがみられるが、全体的に男性が約7割と圧倒的に多く、女性がおよそ3割を占めている。年代では、各年齢層 にばらつきがあるものの、全体でみると「60歳代」が15.65%と最も高い割合を占め、次いで「40〜44歳」が 12.57%、「35〜39歳」が12.06%と高い割合が示された。職業では、「会社員・公務員」が全体で48.50%と 約半数を占め、次いで「主婦(パート)」が13.86%、「その他」が13.69%の順に多い結果が示された。

これらの結果から、BCリーグの観戦者層は先行研究で明らかにされているプロ野球の観戦者層と同様に男性が 中心であり、30歳代、40歳代が主な観戦者層であることが示された。プロ野球においてはこれまでもこのような 観戦者層がマーケティング活動の中心的なターゲットとなっているが、新たなファンの拡大や顧客の確保を目指す ためには女性観戦者を増やすためのアプローチも今後の可能性として期待される。

表1 調査対象試合

②観戦者の商圏

表3は、開催球場別の観戦者の居住地を分析した結果を示している。当然のことながら、各開催球場が所在する 地域に居住している観戦者が高い割合を占めているが、いずれの会場においても高崎市、前橋市、伊勢崎市に在住 の観戦者が多い傾向が示された。一方、球場までのアクセスとして所要時間の問題があることは否めないが、現段 階では集客できていない地域も多く見受けられた。観戦者の居住地は、マーケティングにおける商圏であり、今後 の集客やプロモーション活動を進めていく際の目安となるものである。一般に、球場までの所要時間が短いほど観 戦回数が多い傾向にあることはこれまでの研究でも明らかにされており(松岡ら;1996)、球場の立地条件や交 通網の整備などが課題とはなるが、これらの結果は今シーズン比較的に集客ができている地域をはじめ、これから さらに拡大を図る地域の選定など、球団のプロモーション活動や独自のマーケティング戦略を展開する上で、重要 な示唆を与えるものと考える。

③調査対象者の観戦行動

観戦回数や同行者、開催試合の認知媒体といった項目は、観戦者の情報収集ツールや誰と観戦に行くのかなどの 観戦行動を示すものであり、より具体的なマーケティング活動へと発展させるためのスポーツ消費者層を明らかに する指標である。表4は、観戦回数、同行人数、同行者、認知媒体に関して調査日ごとに分析した結果を示してい る。尚、観戦回数については、後期リーグ3試合の調査において回答を求めた。その結果、全体で「10〜19回」

表2 調査対象者のデモグラフィックス

表3 調査対象者の居住地

表4 調査対象者の観戦行動

が23.11%と高い割合を占め、次いで「20回以上」が17.50%、「5〜9回」が15.25%と観戦経験の多いリピ ーターの割合が高いことが示された。また、同行人数では、1回目の結果を除き「2人」が最も多く、次いで「1 人」の観戦者が高い割合を占めた。一人でも気軽に来場できることも野球観戦の一つの魅力ではあるが、より多く の集客を目指すためには、3人以上のグループでの来場を促進するようなチケット販売やサービスづくりが有効で あると考える。同行者では、「家族」が45.25%と圧倒的に高い割合を占め、次いで「友人・仲間」が16.17%と なっており、家族観戦は比較的定着しているが友人や仲間との来場者は今後の拡大が期待できる部分である。

認知媒体では、「新聞」が29.68%と最も多く、次いで「後援会」が22.67%、「インターネット」が16.94%

の順に高い割合を占め、新聞を通しての様々な情報提供が有効に機能していることが明らかとなった。特にリーグ 開幕戦である1回目の調査結果では、「新聞」が45.86%と約半数を占め、新聞を活用したプロモーションの有効 性やリーグや球団の認知度を効果的に高めるメディア媒体であることが示された。

これらの結果から、観戦者行動が明らかになるとともに、チケット販売の工夫やマスメディアの有効活用など、

今後の具体的なプロモーション展開の可能性が示唆された。

(4)結論

本研究は、BCリーグにおける群馬ダイヤモンドペガサスの観戦者に焦点を当て、マーケティングの視点から観 戦者の諸特性および観戦行動を明らかにすることを目的とした。データ分析および結果の考察は、以下のように要 約される。

・観戦者のデモグラフィックス特性は、男性が約7割を占め、年代では60歳代が15.65%と高い結果を示し た。この結果は、プロ野球観戦者に関する先行研究に比べ年齢層がやや高い傾向であり、群馬ダイヤモンド ペガサスのファン層の特徴であると言える。また、観戦者の拡大を課題とするならば幅広い年齢層や女性観 戦者へのアプローチがポイントになることが示唆された。

・観戦者の居住地による分析から、球場への集客については、各開催球場が所在する地域だけではなく、群馬 県民球団としての県内全域に対するプロモーション活動や開催球場の選定が課題となると言える。

・観戦行動では、観戦回数や同行人数が明らかになるとともに、情報発信として効果的なマスメディアの機能 が示された。これらの結果は、今後の新たなサービス開発に有効な示唆を与えるものと考える。

今後は、これらの分析結果を主催者となる球団サイドと共有し、データを有効に活用することによってBCリー グの活性化や顧客となる観戦者の拡大へとつながるような実践的なマネジメントの解明が課題となる。

追記:今回の調査研究データは、論文として上武大学ビジネス情報学部紀要第7巻第2号にて、また、日本スポー ツ産業学会第17回大会にて発表した。

・「BCリーグのマーケティングに関する基礎的研究−群馬ダイヤモンドペガサスの観戦者調査を事例とし て−」 上武大学ビジネス情報学部紀要第7巻第2号.p.73−82.2009年3月.

・「地方におけるプロスポーツの可能生−BCリーグ:群馬ダイヤモンドペガサスに着目して−」 日本ス ポーツ産業学会第17回大会号.p.24−25.2008年7月.

ドキュメント内 Ł\”ƒ1-4 (ページ 69-119)

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