評価に関する事例
第3編 評価に関する事例
1 評価を行うに当たっての基本的な考え方
新学習指導要領では,特別活動を通して育てたい力を一層明確にするために,全体の目標に
「人間関係」を加えるとともに,各活動・学校行事を通して育てたい態度や能力が新たに目 標として示された。
こうした学習指導要領の改善を踏まえ,特別活動の評価については,初等中等教育局長通知 (平成22年5月)において,学習指導要領の目標及び特別活動の特質等に沿って,各学校に おいて下の表を参考に評価の観点を定め,各活動・学校行事ごとに評価することについて示 されている。
また,指導要録における「特別活動の記録」の欄については,各学校が自ら定めた特別活動 全体に係る評価の観点を記入した上で,各活動・学校行事ごとに,評価の観点に照らして十 分満足できる活動の状況にあると判断される場合に,○印を記入することとされている。
<初等中等教育局長通知(H22.5.11)で例示された「評価の観点及びその趣旨」>
集団活動や生活への 集団や社会の一員としての 集団活動や生活についての 関心・意欲・態度 思考・判断・実践 知識・理解
学級や学校の集団や自己の生 集団や社会の一員としての役 集団活動の意義,よりよい生 活に関心をもち,望ましい人 割を自覚し,望ましい人間関 活を築くために集団として意 間関係を築きながら,積極的 係を築きながら,集団活動や 見をまとめる話合い活動の仕 に集団活動や自己の生活の充 自己の生活の充実と向上につ 方,自己の健全な生活の在り 実 と 向 上 に 取 り 組 も う と す いて考え,判断し,自己を生 方 な ど に つ い て 理 解 し て い
る。 かして実践している。 る。
※ 小・中学校の指導の一貫性に配慮して,観点及びその趣旨が例示されている。
2 評価の進め方
特別活動は,全校又は学年を単位として行う活動があり,学級担任以外の教師が指導するこ とも多いので,評価に当たっては,評価体制を確立し,学校全体で組織的に取り組む必要が ある。
また,評価を通じて,教師が指導の過程や方法を必要に応じて見直し,より効果的な指導が 行えるような工夫や改善を行っていくことが大切である。
各学校においては,特別活動の特質を踏まえ,以下のような評価の手順や留意点を参考にし て適切に評価を進めることが必要である。
(1)評価の手順
ア 評価実施のための責任と役割の分担を明確にする。
イ 特別活動全体及び各活動・学校行事ごとの指導と評価の計画を作成する。
ウ 計画に基づいて,評価のための基礎資料を収集する。
エ 生徒一人一人のよさや可能性を生かし伸ばす点から,好ましい情報や資料は,随時,当 該生徒に伝えたり,学級で紹介したりする。
オ 収集した資料を各学校で定めた所定の手続にしたがって総合的に判断し,評価を行う。
カ 評価結果を,各学校における指導や評価体制の改善に生かす。
(2)評価体制の確立
特別活動の指導は,学級活動では主として学級担任が行うが,生徒会活動や学校行事ではほ かの教師の指導を受ける場合もある。したがって,特別活動の評価に当たっては,次のような ことに配慮し,多くの教師による評価の結果を反映させることができるようにするなど,学校 としての評価体制を確立することが大切である。
・個々の生徒の活動状況について,担当する教師との間で情報交換を密にすること。
・評価に必要な資料を収集する方法を工夫するとともに,それらが学級担任の手元に収集さ れ,活用されるようにすること。
・必要に応じて評価した結果を全教師が共有し,指導に生かせるようにすること。
・年間を通してより多くの教師の目で「個人の変容」や「集団の変容」について評価するこ と。
とりわけ,特別活動においては,生徒に自信をもたせたり意欲を高めたりするために,生徒 一人一人のよさや可能性などを積極的に評価することが極めて重要である。したがって,生 徒のよさや進歩の状況などをどのように捉えるかなどについて共通理解を図るとともに,教 師相互の話合いや情報交換を積極的に行うことが大切である。
(3)指導と評価の計画の作成
各学校においては,各活動・学校行事ごとに指導と評価を適切に位置付けた計画を作成する ことが大切である。特別活動の指導と評価の計画については,目標,評価の観点,活動内容,
活動時期,活動の場,指導上の留意点等を記入し,各活動・学校行事の特質を踏まえて作成 することになる。
また,各学校で評価規準を設定する際は,第2編を活用し,学級活動(1),(2),(3),
生徒会活動,学校行事(1),(2),(3),(4),(5)について,観点ごとに設定すること が考えられる。
なお,学級活動の1単位時間の指導計画に記入すべき事項としては,題材名や生徒の実態と 題材設定の理由,本時の狙い,本時の活動計画(本時の展開),指導上の留意点などがあり,こ れらとともに事前・事後の活動も含めて記入することが効果的である。さらに,これらの記入 すべき事項に加え,各活動・学校行事ごとに設定した評価規準に即して,「十分満足できる活 動の状況」を具体的な生徒の姿として示した「目指す生徒の姿」を記入することが考えられ る。
(4)多面的,総合的な評価の工夫
特別活動においては,生徒が自己の活動を振り返り,新たな目標や課題がもてるようにする 評価を進めるため,活動の結果だけでなく活動の過程における生徒の努力や意欲などを積極 的に認めたり,生徒のよさを多面的・総合的に評価したりすることが大切である。その際,
所属集団の環境や状況に応じて評価方法を工夫するなど,一面的な捉え方にならないように することが大切である。また,特別活動で育成しようとしている「自主性」,「社会性」,「個 性」などが,生徒の活動意欲や積極的な態度,正しい知識や適切な判断に基づいた実践など の様々な側面を含んでいることを理解し,各学校で設定した評価の観点に照らして総合的に 評価することが大切である。
なお,生徒一人一人について評価する方法としては,主として教師による観察を中心としな がらも,質問紙法,チェックリストによる方法,生徒自身の各種記録の活用などが考えられ,
それぞれの評価方法の特質を十分に吟味しておくことが必要である。
特別活動は,活動の場が様々に設定されたり,生徒の自主的な活動が展開されたりすること も多い。また,特別活動として最も重視している「自分の活動を振り返り,自ら改善しようと する自主的,実践的な態度」を,生徒に育てる上で有効であることから,生徒の学習活動とし て自己評価や相互評価を行うことも多い。したがって,観察による教師の評価と併せて,生徒 自身による評価を参考にすることも考えられる。
(5)評価機会の設定
活動の積み重ねによって年間を通して生徒を育てようとする特別活動においては,全ての評 価の観点について,事前,本時,事後などの一連の活動過程の中で評価できるようにしたり,
各活動・学校行事における顕著な事項は補助簿を活用して記録したりしておき,一定期間に 実施した活動や学校行事を評価規準に基づきまとめて評価するなど,効果的で効率的な評価 となるよう配慮する必要がある。
本資料では,学級活動(1),学級活動(2)及び(3),生徒会活動,学校行事を取り上げ,
評価方法等の工夫例を紹介している。各事例においては,初等中等教育局長通知(平成22年5 月)で例示された評価の観点を活用するとともに,学習指導要領に示された各活動・学校行事の 目標及び第2編で示した「内容のまとまりごとの評価規準に盛り込むべき事項」を学校の目標及 び評価規準として活用している。
これらを参考にして,各学校において,学校や生徒の実態に応じて評価体制や評価方法を工 夫改善することが期待される。
学級活動の指導と評価
1 指導と評価の年間計画作成の基本的な考え方
学級活動の指導に当たっては,小学校での学級活動で身に付けた態度や能力を踏まえ,
学級集団における望ましい集団活動を通して,望ましい人間関係を形成し,集団の一員 としてよりよい生活づくりに参画し,学級や学校生活に関わる諸問題や,生徒の発達の 段階に即した諸課題を解決しようとする自主的,実践的な態度を,年間を通して計画的 に育成することが必要である。
学級活動の指導と評価の年間計画作成に当たっては,学級活動の目標に基づいて作成 し た 各 学 校 の 学 級 活 動 の 重 点 目 標 等 を 踏 ま え て , 学 級 活 動 ( 1 ),( 2 ),( 3 ) の三つ の内容のまとまりごとに評価規準を設定することが考えられる。さらに,一人一人のよ さや可能性を積極的に評価できるようにするため,題材ごとに,事前,本時,事後の一 連 の 活 動 過 程に お い て ,「 十 分 満 足 で き る 活動 の 状 況 」 を 具体 的 な生 徒 の姿 と して 示 し た「目指す生徒の姿」を観点別に作成しておくことも考えられる。
2 指導と評価の年間計画例
(1)学級活動の目標
学級活動を通して,望ましい人間関係を形成し,集団の一員として学級や学校におけ るよりよい生活づくりに参画し,諸問題を解決しようとする自主的,実践的な態度や健 全な生活態度を育てる。
(2)学級活動の評価の観点と評価規準
観点
. 集団活動や生活への 集団や社会の一員としての 集団活動や生活についての .内容
関心・意欲・態度 思考・判断・実践 知識・理解学級や学校の一員としての 充実した集団生活を築くこ 学 自己の役割と責任を自覚し, との意義や,学級や学校の
級 生活づくりへの参画の仕方,
活 学級集団として意見をまと
動
学級や学校の生活の充実と 向上に関わる問題に関心をも ち,ほかの生徒と協力して,
自主的,自律的に集団活動に
取り組もうとしている。 める話合い活動の仕方など
(1)
ほかの生徒の意見を尊重しな がら,集団におけるよりよい 生活づくりなどについて考え,
判断し,信頼し支え合って実 について理解している。
践している。
学 自己の生活の充実と向上に 日常の生活における自己の 級 関わる問題に関心をもち, 課題を見いだし,自己を生 活 自主的,自律的に日常の生 かしながら,よりよい解決 動 活を送ろうとしている。 方法などについて考え,判
(2) 断し,実践している。
集団や社会への適応及び健康 で安全な生活を送ることの大 切さや実践の仕方,自他の成 長などについて理解している。
学 人間としての生き方や学ぶ 自己の将来に希望を抱き, 学ぶことと働くことの意義 級 こと,働くことなどに関心 その実現に向け,現在の生 や,自己の能力や適性,進 活 をもち,自己のよさを伸ば 活や学習を振り返り,これ 路選択に必要な情報収集や 動 しながら,自主的,自律的 からの自己の生き方などに 将来設計の仕方などについ (3) に日常の生活や学習に取り ついて考え,判断し,実践 て理解している。