総 括
本論文 は、ナノ インプ リン ト法 により 高分 子薄膜 表面に 賦与 した 微細構 造 の非破 壊精密 評価 法の 確立 、有機 薄膜 太陽 電池お よび新 規表 面改 質手法 への 応用に 関する 研究 結果 をまと めた もので ある。以 下に、そ の成 果を総 括す る。
第 1 章では 、表 面微細 加工 法で あるナ ノイ ンプリ ント法 の概 要お よび他 の 微細加 工法に 対す る優 位性 、ナノ イン プリ ント法 により 形成 され る微細 構造 の応用 ・展開 を示 し、 本研究 の目 的を述 べた。
第 2 章では 、ナ ノイン プリ ント 法によ り高 分子材 料の表 面お よび 内部に 賦 与した 微細構 造を 放射 光を用 いた 超小 角 X 線 散乱測 定に 基づき 非破 壊かつ 精密に 評価し た。 小角 X 線 散乱の X 線源 として 、輝度 およ び指 向性が きわ めて高 い放射 光を 用い ること で、サブ ミク ロンス ケール の構 造体 の評価 が可 能であ ること を確 認し た。微細構 造を 賦与 した高 分子薄 膜の 放射 光を用 いた 超小 角 X 線散 乱測定 にお いて材 料表 面お よび‘ 埋もれ た’ 微細 構造に 由来 する回 折斑点 が明 瞭に 観測さ れ、得ら れた 散乱像 を解析 する こと でその 構造 の非破 壊精密 評価 が可 能であ るこ とを示 した。
第 3 章で は、 ナノイ ンプ リント 法に より 電子供 与体/電子受 容体 界面に 秩 序構造 を導入 した 秩序 ヘテロ 接合 型有機 薄膜太 陽電池 (OHJ-OPV) の‘埋 も れた’ 微細構 造お よび 分子鎖 凝集 構造解 析を行 った。OPVsに 広く 用いら れ て い る poly(3-hexylthiophene-2,5-yl) (P3HT) と[6,6]-phenyl-C61-butyric acid methyl ester (PCBM) の界 面にナ ノイ ンプ リント 法によ り秩 序構 造を賦 与し
OHJ-OPV の調 製を 行っ た。放 射光 を用い た小角 X 線散 乱測定 に基 づく構 造
解析よ り、P3HT 薄 膜への PCBM の積 層に 伴い P3HT 非晶 相への PCBM の拡 散により P3HT のライ ン幅が 増加 し、P3HT/PCBM 界面の 広が りはガ ウス 分 布に従 うこと を明 らか にした 。ま た、微 小角入 射広 角 X 線回 折測 定より 、 表 面 に 微 細 構 造 を 賦 与 し た P3HT 鎖 は 主鎖 が 基 板 に 対 し て 垂 直 に 配 向 し た vertical 構 造を 形成 し 、ま たチ オフ ェン 環 がラ イン パタ ーン 方向 に配 列し た 特異的 な分子 鎖凝 集構 造を形 成し ている ことを 明らか にし た。
第 4 章 で は 、 ナ ノ イ ン プ リ ン ト 法 と 表 面 開 始 原 子 移 動 ラ ジ カ ル 重 合 (SI-ATRP) 法と の併用 に基 づく、材 料表 面 の物理 的・化学 的性 質の精 密制 御 および 表面特 性の 評価 を行っ た。表 面改 質に用 いる材 料と して、ATRP 開始 剤 部 位 を 導 入 し た poly(methyl methacrylate) 誘 導 体 (P(MMA-co-BIEM)) 薄 膜 を 用 い た 。 ナ ノ イ ン プ リ ン ト 法 に よ り 表 面 微 細 構 造 を 賦 与 し た P(MMA-co-BIEM) 薄 膜 表 面 か ら SI-ATRP 法 に よ り 側 鎖 に フ ッ 化 ア ル キ ル (Rf) 基 を有 する 2-(perfluorooctyl)ethyl acrylate (FA-C8) をグ ラフ トし 、表面 特性の 制御を 行っ た。X 線 光電子 分光 測 定およ び微小 角入 射広 角 X 線回 折 測定よ り、基板 の表 面形 状によ らず PFA-C8の 側鎖 Rf基は薄 膜最 表面 に偏析 し結晶 化して いる こと を明ら かに した 。また、表面 の物理 的お よび 化学的 性 質を同 時に精 密制 御す ること でそ れぞれ 単独で はなし 得な い、新規 機能を 発 現する ことを 見出 し、 ナノイ ンプ リント 法及び SI-ATRP を併 用し た表面 改 質手法 が新規 高機 能性 材料の 調製 に有用 である ことを 示し た。
第 5 章では、 本論 文を 総括し た。
ナノイ ンプリ ント 法は、1970 年 代に日 本電 信電話 公社 (現 NTT) の 近藤 ら により その概 念が 提唱 され、1990年 代に Stephen Y. Chou教授 らによ り飛 躍 的に進 展を遂 げた 。本 手法 は、広 面積 かつ 高解像 でのパ ター ニン グが可 能で あり、さら に低コ スト かつ 生産性 に優 れ るため 、工 業的に も有 用な 表面微 細 加工法 である 。デバイ スへ の応用 に当 たり 形成し た微細 構造 や分 子鎖凝 集構 造 を 明 ら か に す る こ と は 非 常 に 重 要 で あ る 。 本 研 究 で は 放 射 光 を 用 い た X 線構造 評価手 法を 用い ること でこ れらの 構造を 明らか にし た。また 、ナノ イ ンプリ ント法 によ る材 料表面 の物 理的改 質に合 わせ 、化 学手改 質手 法を組 み 合わせ ること で、それ ぞれ 単独で はな し 得ない 、新 規機能 の発 現が 可能で あ ること を見出 した 。こ れら の成果 は、ナノ インプ リント 法の 化学 と工業 にお ける、 さらな る発 展と 応用を 開拓 するも のであ る。
最後に 本研究 が、 ナノ インプ リン ト技術 および 放射光 を用 い た X 線構 造 解析手 法の更 なる 発展 の布石 とな ること を切に 願う。