本研究では、まずオブジェクト指向開発における通信の定義を行った。特に動的モデル のイベントを中心的に捉えたもので、オブジェクトがイベントを発生し、オブジェクトが イベントを取得するという簡潔な定義である。それに基づき通信モデルの概念を形成し た。基本はイベントの振る舞いを扱う計算モデルというものである。イベントを扱い考察 するためにイベント空間を提案した。そしてイベント空間が唯一イベントの存在する領域 であり、通信モデルで扱う範囲とした。またオブジェクトの振る舞いは実行モデルによっ て定義される。そして、通信モデルの考察はパラメータ抽出であり、通信モデルの変更は パラメータの値の変動であるとした。そこから今回、イベント遅延時間、イベント寿命な どのパラメータを考えた。
これらの概念を用いて、ObCL/ObMLに対して拡張を施した。具体的には、各フィー ルドをイベント空間とみなし、それぞれ独立した通信モデルを持つことが可能となるもの である。これを扱うObCL記述としてフィールドプロパティを提案し、実装した。
実際に通信モデルを念頭に置いた開発を行うことは難しいため、そのための方法論を提
案した。ObTS/ObCLを中心にとらえた開発プロセスの指針であり、具体的にイベント
フローリスト、オブジェクト関連図、フィールドリンク図といった設計分析手法を提案し ている。また本研究の成果を適用した、イベントと通信の意味が一元的な開発プロセスで もある。これらを用いてObTS/ObCLの記述が円滑に行えることを、実際に仮想的なエ レベータの設計に適用し実践した。結果は円滑な設計が行えたが、フィールドプロパティ に関しては十分な例題とはならなかった。
通信モデルのパラメータはまだ多く抽出さておらず多くの議論ができなかったが、通信 モデルの議論は始まったばかりであり、今後の発展が期待できる。
謝辞
本研究を進めるにあたり、多大な御指導を賜った片山卓也教授に深く感謝致します。ま た日頃から有益な助言など御支援頂いた伊藤恵助手に心より感謝致します。
キャノンソフトウェア株式会社の久保秋真氏には大変お忙しい中、本研究に対する議 論、助言を頂きました。心より御礼申し上げます。また本論文をまとめるにあたって、さ まざまな面で協力頂いたソフトウェア基礎講座の皆様に感謝致します。
参考文献
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