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種々温度におけるCEVの感染実験と眠り病症状の再現

ドキュメント内 ウイルス性コイ浮腫症の病理学 (ページ 30-34)

第2章  ウイルス性コイ浮腫症とニシキゴイの眠り病との関連性

第2節 種々温度におけるCEVの感染実験と眠り病症状の再現

 前節において、CEV感染魚が低温下で飼育されると眠り病を発症する可能性が

示された。親松(1992)は、20℃でCEVを感染させた後、種々の温度に移行させ、

30℃では発症しないこと、16℃でも88%が死亡することを報告している。しかし、

眠り病はそれより低い温度帯で好発する。より低水温で感染が成立し発症するな ら、越冬池に集められた個体群に含まれる浮腫症耐過魚からのCEV非感染魚への 感染によって眠り病が発生することが考えられる。また、低水温で感染が成立し ないのであれば、眠り病病魚は発症よりかなり以前に感染を受け、低水温あるい

は何らかの要因によってウイルスが活性化し発症するものと考えられる。

 そこで本節では、CEVが感染しコイが死亡する温度帯を詳細に検討するととも

に、各温度帯で現れる症状の観察を行った。

材料と方法

〈供試魚〉

 本学吉田実験実習場で飼育された当歳魚のニシキゴイ(Cンρ7 nμs o岬io)(0.5±

0,12g)を用いた。

〈実験区〉

 供試魚は、飼育池から取り上げ18L容ガラス水槽に50尾ずつ収容し、一旦20℃

で飼育した。その後、通常浮腫症の感染実験を行う20℃を陽性対照区として、20℃

から3℃ずつ低下させ8℃まで実験区を設定し、それぞれの温度でウイルスを感染

させ同水温で飼育した。コイを低温に馴致させるために温度変化は1℃!6hとし、

一日で3℃低下させた。全ての温度に到達した時点で各々の水温で供試魚にウイ ルスを感染させた。また親松(1994)と同様に、20℃でウイルスを感染させ8℃

で飼育する区も設け。この場合も温度変化は上記と同様に行った。なお陰性対照

区として、20℃と8℃の水槽を設け健康魚鯉磨砕液を接種し飼育した。

〈ウイルス接種〉

 飼育水500mLを入れた2L容プラスティック水槽に供試魚50尾を収容し、ウイ

ルス液を500μL加え、エアレーションを行いながら1時間、各温度で暴露した。

その後、それぞれの水温の飼育水槽に移しエアレーションを行いながら無給餌、

イルス液と同一である。

〈感染の確認方法〉

 各飼育温度で死亡した個体10尾の鯉を個別に摘出し、PCR検査に供試した。

方法は前節と同様に行った。

結果及び考察

 各温度における死亡率は20℃で94%、17℃で100%、14℃で100%、11℃で96%、

8℃で10%であった。また20℃で感染させ8℃飼育していた魚群では48%であっ

た。なお陰性対照区では20℃でo%、8℃で4%であった(Fig.11)。死亡した個体

の一部をPCR検査に供試したところ、全ての個体でPCR陽性であった。これに

より、CEVは低温域でもコイに感染性を有することが明らかとなった。

 また20℃〜14℃区では死亡した魚は全て鼻上げ症状を示し浮腫症であったが

(Fig.12)、11℃以下の実験区では、死亡した全ての供試魚はいわゆる眠り病の症 状を示した(Fig.13)。症状としては、はじめに全く動かなくなり、2〜3日後に平

衡感覚が無くなり横になったり壁にもたれかけたりするようになるが、たまに泳

いだりする。それから2〜3日後には横になった状態で死亡したかに見えるが、取 り上げようとすると動きだしまた横になる。このころには呼吸数が極端に減り、2 日後ぐらいに死亡する。そして浮腫症に特有の鼻上げ症状は示さなかった。なお 上記症状を新潟県内水面水産試験場の大江氏に確認しだところ、眠り病と同様の

症状であるとの返答であった。

 一方、11℃において死亡が始まっている接種後12日目の飼育水を一部取り上げ、

新鮮な飼育水で3倍希釈し、健康なニシキゴイを収容し一つは11℃で飼育、もう 一つは20℃で飼育を行うと、11℃飼育では眠り病の症状が、20℃では鼻上げの症

状を示し供試魚は全て死亡し、20−8℃区においても同様の結果が得られた。

 これらの結果から、CEVは10℃付近でも感染性を有することが明らかとなり、

そのような温度になるとねむり病の症状を示し、今まで異なる疾病とされていた 浮腫症と眠り病がCEVによって引き起こされることが判明した。

28

1 OO 

90 

   

  0 

.  o 50 

a' 

40 

  30 

o  ‑COntrol (20 O 

CJ 

Days after infeCtion 

Fig,11 Cumulative mortality curve of carp experimentally infected with CEV at various  temperature, 20‑8 C indicate that the fish was infected at 20 C and then the water  temperature was lowered to 8 C at 3 C/day, 

Fig.12 Behavior of carp experimentally infected with CEV at 20 C. 

<‑: surfacing 

̲ '   

̲̲  

¥ 

//: 

 

Fig.13 Behavior of carp experimentally infected with CEV at 1 1  ; . Affected fish(   )  lied on the bottom of aqualium, but they have not died yet and alive several days more. 

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