表15 1秒間に読める文字数における隣接学年間の差の有意確率
学年 1 2 3 4 5 6
(1~2年 ( ~) 2 3年 ( ~) 3 4年 ( ~) 4 5年 ( ~) 5 6年)
.003 .118 .006 .207 .024
有意確率
学年が上がるにつれ,RST課題の試行文は長くなるので時間が短いほど読む速さが速い ということにならない。1 年生が最も試行文が短いのにも関わらず,音読時間が最も長くかか っている。WM容量が「読み」という処理活動に多く使われていることが予想される。3 年生 も音読時間が長く,このことがRST得点があまり伸びなかった理由ではないかと思われる。
また,6 年生が試行文は最も長いが,音読時間はそれ程かかっていない。WM容量を保持活動 に有効に使えたのではないかと予想される。
次に,RST得点と 1 秒間当たりに読む平均文字数(音読速度)との相関係数を表 16 に示 す。
表16 RST得点と音読速度の相関
年 年 年 年 年 年
1 2 3 4 5 6
.391 .171 .264 .399 .275 .259
Pearson の相関係数 * **
**p<.01, *p<.05
( , ) ( , ) 。
1年 r=.391 p<.05 と4年 r=.399 p<.01 において有意な相関関係が見られた
(2)正答とエラーについて
1)正答率とエラー率
表17 RST課題のエラー率と正答率
年 年 年 年 年 年 全体
1 2 3 4 5 6
30.3 37.0 41.5 45.9 54.5 55.4 43.6
正答率(%)
69.7 63.0 58.5 54.1 45.5 44.6 56.4
エラー率(%)
試行に 文条件が (2×5)個のターゲット語, 文条件が ( × )個のターゲッ
1 2 10 3 15 3 5
4 20 4 5 45 1
ト語, 文条件が ( × )個のターゲット語があり,合計 個のターゲット語がある。
38 1 1710 45 38 4 5 6
年の人数が 名なので 年全体で ( × )個のターゲット語があることになる。 , ,
5 1 2 3 4 2 1845
年と大学生は 文条件まで行ったが, , , 年に合わせ 文条件までを集計した。 年は
(45×41)個,3年は1620(45×36)個,4年は1890(45×42)個,5年は1530(45×34) 個, 年は6 1440(45× 32)個,計 10035 個のターゲット語があることになる。それらを学年 ごとに正答とエラーに分けた。表17と図12にRST課題の正答率とエラー率を示す。正答率 とエラー率の合計は100(ターゲット語の総数)と一致する
図12 RST課題の正答率とエラー率
正答率は学年が進むにつれ徐々に増えており,エラー率は学年が進むにつれ徐々に減ってい る。 , 年において横ばいになっている。5 6
今回調査した大学生では,正答率が 76.7%,エラー率が 23.3%で,小学生と比べると正答率 は,かなり高い。
0 20 40 60 80 100 120
1年 2年 3年 4年 5年 6年 大学生 学年
割 合 (
% )
正答率
エラー率
表18 正答率における隣接学年間の差の有意確率
学年 1 2 3 4 5 6
(1~2年 ( ~) 2 3年 ( ~) 3 4年 ( ~) 4 5年 ( ~) 5 6年)
.012 .086 .104 .002 .753
有意確率
従属変数を正答率として一元配置分散分析を行ったところ正答率について学年間に有意
( 〔 , 〕= , < 検定による多重比較を行い,正答 な差が認められた F 5 217 25.55 p .01)。LSD
率における隣接学年間の差の有意確率を抜き出したものが表 18 である。 年から1 2 年にかけ て( <p .05)と 4 年から 5 年にかけて( <p .01)有意な正答率の上昇を認めた。その他の学年間 では有意な差は認められなかった( >p .1)。
2)各文条件における正答数
表19 各文条件における平均正答数
学 年
年 年 年 年 年 年 全体
1 2 3 4 5 6
38 41 36 42 34 32 223
N= N= N= N= N= N= N=
1.55 2.46 2.56 3.24 3.65 3.88 2.85
2文条件
0.05 0.15 0.25 0.14 0.44 0.72 0.27
3文条件
0 0 0.28 0.07 0.12 0.06 0.04
4文条件
0.02 0.03 0 0.02
5文条件
図13 各文条件における平均正答数
0 1 2 3 4 5
2文 3文 4文 5文
文条件 正
答 数
1年
2年
3年
4年
5年
6年
19 1 2 59 表 に各文条件における平均正答数を示した。 年全体では 文条件をクリアした数が ある。 年生1 1人当たり2文条件を平均1.55クリアしたことになる。図9は,文条件における
2 1
正答数を棒グラフにしたものである。 文条件においては 学年が進むにつれ増加している, 。 年から2年にかけてと3年から4年にかけての間に急激な伸びが見られる。
表20 2文条件における隣接学年間の差の有意確率
学年 1 2 3 4 5 6
(1~2年 ( ~) 2 3年 ( ~) 3 4年 ( ~) 4 5年 ( ~) 5 6年)
.001 .736 .013 .139 .439
有意確率
( 〔 , 〕=
正答数について各文条件の一元配置分散分析を行ったところ 2 文条件 F 5 217
3 LSD
18.90,p<.01)と 文条件( 〔 ,F 5 217〕=4.99 p .01,< )において有意な差が認められた。
検定による多重比較を行い,2 文条件における隣接学年間の差の有意確率を抜き出したものが 表20である。 文条件の1年から2 2年にかけて( <p 0.01)と3年から 4年にかけて( <p .05) 有意な得点の上昇を認めた。その他の学年間では有意な差は認められなかった( >p .1)。
3)エラーの種類
エラーについて詳細にみるためエラーを7通りに分類した。エラーの分類は,目黒・藤井・
山鳥(2000)を参考にした。 忘却(忘れてしまい何も答えられない誤り , 非ターゲット語1. ) 2.
(その文中のターゲット語以外の単語を再生する誤り , 意味性関連語(ターゲット語と似) 3.
た意味の別の単語を再生する誤り , 音韻類似語(ターゲット語と音韻が似ている別の単語) 4.
を再生する誤り , 文表出(全文または,ほぼ全文答える誤り) 不完全語(ターゲット語に) 5. 6.
助詞や前後の単語などを足したり,抜かしたりした不完全な単語を再生する誤り , 誤り語) 7.
(ターゲット語でも非ターゲット語でもない単語を再生する誤り)の7種類に分類した。目黒
・藤井・山鳥(2000)のエラーの分類では,誤り語の中に意味性関連語と音韻類似語を含めて
, , 。 , ( )
いたが 今回の調査ではより詳しくみるために 分類を分けた また 目黒・藤井・山鳥 2000 は文表出の中に句表出も含めたが,今回の小学生対象の調査ではRST課題の文が短いことか ら句表出は不完全語の中に含めた。
エラーの中に,セットが変わってから以前報告したターゲット語や誤った単語を報告する侵 入エラーがあるが,これについては後で述べる。
RST課題のエラーの結果は,表21, 図14に示すとおりである。 年から4 6年は5文条件 まで行ったが, 年から1 3年は4文条件まで行ったので,エラーの集計は 4文条件までを集計 した。
表21 RST課題のエラーと正答
年 年 年 年 年 年 全体
1 2 3 4 5 6
38 41 36 42 34 32 223
N= N= N= N= N= N= N=
1.忘却 984 954 781 846 609 595 4769
(57.5) (51.7) (48.2) (44.8) (39.8) (41.3) (47.5) 2.非ターゲット 76 108 106 103 46 32 471
( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) 語 4.4 5.9 6.5 5.4 3 2.2 4.7 3.意 味 性 関 連 5 6 6 2 7 4 30
( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) 語 0.3 0.3 0.4 0.1 0.5 0.3 0.3
4.音韻類似語 1 1 3 2 0 2 9
(0.1) (0.05) (0.2) (0.1) ( )0 (0.1) (0.08)
5.文表出 33 20 2 0 0 0 55
(1.9) (1.1) (0.1) ( )0 ( )0 ( )0 (0.5)
6.不完全語 92 72 49 70 34 9 326
(5.4) (3.9) (3.0) (3.7) (2.2) (0.6) (3.2)
7.誤り語 1 2 0 0 0 0 3
(0.1) (0.1) ( )0 ( )0 ( )0 ( )0 (0.03)
1192 1163 947 1023 696 642 5663
エラーの計
(69.7) (63.0) (58.5) (54.1) (45.5) (44.6) (56.4)
518 682 673 867 834 798 4372
正答
(30.3) (37.0) (41.5) (45.9) (54.5) (55.4) (43.6)
1710 1845 1620 1890 1530 1440 10035
総 計
( )は全ターゲット語に対し正答数も含む学年ごとの%
図14 RST課題のエラー
被験者全体の結果を見ると忘却(47.6%)が最も多い。次に多かったのは非ターゲット語 (4.7%),不完全語(3.2%)と続く。文表出と誤り語のエラーは低学年にみられ高学年にはみら れなかった。
次に学年ごとにエラーの種類の図を示した(図15~図21)。
図15 1年エラー出現頻度 図16 2年エラー出現頻度
1年
0 10 20 30 40 50 60
忘却 非ターゲット語 意味性関連語 音韻類似語 文表出 不完全語 誤り語 正答
エラーと正答 割
合(
%)
2 年
0 1 0 2 0 3 0 4 0 5 0 6 0
忘却 非ターゲット語 意味性関連語 音韻類似語 文表出 不完全語 誤り語 正答
エ ラー と正 答 割
合(
%)