門 法 語 集
』 頭 注
〔*
〕
〔 水 鳥 の 云 々
〕こ の 歌 は 應 無 所 住 而 生 其 心 の 心 を 詠 み た る も の に て 卽 ち 北 條 時 頼 に 與 へ ら れ た る 中 の 一 首 な り(
転写 注=
「 應おう
無 所
む し ょ
住 而
じ ゅ う に
生しょう 其ご 心しん
。」 は
『金 剛 般 若経
』、 そ の書 き 下 し 文「 ま さ に 住す る 所 無く し て
、し か も そ の心 を 生 ず べし
。サ ン スク リ ッ ト原 典 か らの 翻 訳 は「 と ら われ な い 心を お こ さな け れ ば なら な い
。何 も の か にと ら わ れた 心 を おこ し て はな ら な い。
」「 ま え がき
」 に ひい た 岩 波文 庫pp.66-67
参照
)。
〔**
〕
〔 丙 丁 童
〕火 の こ と を い ふ
、即 ち 火 に 投 じ て 焚 く な り
( 転 写注
「=
丙 丁
」が 火 の 意(『
漢 辞 海
)』
、
火 の 世 話 を す る 下 僕
)
転 写 注
(
) 内 の 漢数 字 は 頁。
(四十五)
( 二)
啇 量 は か り 考 え る こ と
。 禅 で 師 家
( 指 導 者
) と 修 行 者 の 間 で 問 答 往 復 し て 量 り あ う こ と
。(
玉 城
)
( 三)
常 住 生 滅 変 遷 し な い で
、 恒 に 存 在 す る も の
。
(
『 新 潮
・ 現 代 語 古 語
』)
( 四)
分 別 対 象 を 認 識 す る は た ら き
。 一 般 人 の
「 分 別
」 は 個 人 的 な 体 験 や 主 観 に 基 づ く の で 真 の 認 識 と な り え ず
、 虚 妄 の 認 識 と さ れ る
。
(
『 新 潮
・ 現 代 語 古 語
』)
( 五)
変 作 不 思 議 な 力 で 現 し 出 す こ と
。
(『 広 説 仏 教 語
』)
( 五)
親 切 心 の 底 か ら す る こ と
。
(
『 新 潮
・ 現 代 語 古 語
』)
( 六)
祖 師 一 宗 一 派 の 開 祖
。 禅 宗 で は 釈 迦 以 来 連 綿 と つ づ く 禅 宗 上 の 師 と 仰 ぐ に あ た い す る 傑 出 し た 禅 匠 を い う
。(
『 広 説 仏 教 語
』)
( 六)
気 の 毒 恥 ず か し い こ と
。 き ま り が 悪 い こ と
。
(
『 新 潮
・ 現 代 語 古 語
』)
( 七)
瞋 恚 自 分 の 心 に 反 す る も の を 怒 り 恨 む こ と
。
(
『 新 潮
・ 現 代 語 古 語
』)
( 七)
自 性 本 来 か ら そ な わ っ て い る 性 質
。
(
『 新 潮
・ 現 代 語 古 語
』)
( 八)
本 智 基 本 と し て の 智
。(
『 広 説 仏 教 語
』)
(四十六)
( 八)
実 際 真 源
「 実 際
」 は
、 存 在 の 究 極 の す が た
。「 真 源
」 は
、 究 極 の 根 源
。(
『 広 説 仏 教 語
』)
( 八)
撥 無 否 定 し
、 無 視 す る
。(
『 広 説 仏 教 語
』)
( 九)
法 爾 と し て
「 爾
」 は
、 率 爾 な が ら
、 完 爾 と し て
、 の
「 爾
」 か
。「 法 な る も の と し て
」
( 九)
「 六 根 の 縁
」 と は 六 根 の そ れ ぞ れ の 対 象
。 色
・ 声
・ 香
・ 味
・ 触
・ 法 の こ と
。(
玉 城
)
( 九)
決 定 確 定 し て 変 わ ら な い さ ま
。(
『 漢 辞 海
』)
( 九)
順 逆 有 利 と 不 利
。(
『 漢 辞 海
』)
( 九)
昧 す
「 昧
」 は
、「 犯 す
」(
『 漢 辞 海
』)
。「 わ か ら な く さ せ る
」(
『 新 明 解 漢 和
』)
。
( 十)
無 念 無 我 の 境 地 に は い っ て い て 私 心
・ 妄 念 を 去 っ た 状 態
。
(
『 新 潮
・ 現 代 語 古 語
』)
( 十一
)
空 花 空 華 に 同 じ
。 実 態 の な い も の を 観 念 の う え に 描 き だ す こ と
。
(『 広 説 仏 教 語
』)
( 十一
)
證 據 理 解 し て 体 得 す る こ と
。(
『 広 説 仏 教 語
』)
( 十二
輪)
廻 霊 魂 が 肉 体 と と も に 死 滅 し な い で 転 々 と 他 の 肉 体 に 移 り
、ち ょ う ど 車 輪 が 回 る よ う に
、 永 久 に 迷 い の 世 界 を 巡 る こ と
。
(
『 新 潮
・ 現 代 語 古 語
』)
(四十七)
( 十二
即)
即 の 字 の も と に な っ た「 卩
」は 割 符 を 意 味 す る
。別 々 の も の の よ う に 見 え て も
、本 来 は 一 つ で あ る こ と を 示 す
。二 物 が 互 い に 表 裏 と な っ て 互 い に 離 す こ と が で き な い こ と
。(
『 広 説 仏 教 語
』)
( 十三
)
心 行 心 の は た ら き の 及 ぶ 範 囲
。(
『 広 説 仏 教 語
』)
( 十四
)
生 々 世 々 生 き か わ り 死 に か わ り
。 い つ ま で も
。
(
『 新 潮
・ 現 代 語 古 語
』)
( 十五
)
未 来 際 を 盡 く し て
「 盡 未 来 際
」 は 永 遠 の 未 来 ま で
。 久 遠 に
。
(
『 新 潮
・ 現 代 語 古 語
』)
( 十五
)
さ へ ず
「 さ ふ
( 障 ふ
)」 は
、 じ ゃ ま を す る
、 さ え ぎ る
。
(
『 三 省 堂 全 訳 読 解 古 語
』)
( 十五
二)
十 五 円 通 諸 法 実 相 の 理 に 通 達 し て 融 通 無 碍 の 心 に 安 住 す る 二 十 五 種 の 方 法
。(
『 広 説 仏 教 語
』)
( 十八
)
本 徳 本 来 固 有 の 功 徳
・ 価 値
・ 性 質
。(
『 広 説 仏 教 語
』)
( 二十
光)
明 仏
、菩 薩 の 智 慧 を 象 徴 す る も の と し て 用 い る
。迷 妄 の 闇 を や ぶ り
、真 理 を 表 す か ら で あ る
。
(『 広 説 仏 教 語
』)
( 二十
)
神 通 霊 妙 で 自 由 自 在 な さ ま
。
(
『 新 潮
・ 現 代 語 古 語
』)
(四十八)
( 二十 一
)
盡 未 来 際
(十 五
「)
未 来 際 を 盡 く し て
」 参 照
。
( 二十 二
地)
水 火 風 仏 教 で は 万 物 を構 成 す る 要 素 を 地・ 水・ 火・ 風 と 考 えた
。こ の 四 要 素 を「 四 大
」 と い う
。 四 大
( 三 十 六頁
)
参 照
。
(
『 新 潮
・ 現 代 語 古 語
』)
( 二十 三
往)
来 釈 迦 が 衆 生 を 救 う た め に
、こ の 世 界 に し ば し ば や っ て 来 る こ と
。(
『 新 潮
・ 現 代 語 古 語
』)
( 二十 三
)
法 見 い ず れ か 一 つ の 法 に 執 着 し て 他 の 法 を す べ て 非 と す る こ と
。(
『 広 説 仏 教 語
』)
( 二十 四
)
仏 果 仏 道 を 修 行 し て
、 成 仏 と い う 結 果 を 得 る こ と
。
(
『 新 潮
・ 現 代 語 古 語
』)
( 二十 四
)
恒 河 沙 恒 河 は ガ ン ジ ス 河 の こ と
。ガ ン ジ ス 河 に あ る 砂 の よ う に 多 い の 意
。無 数 な る こ と に た と え て い る
。(
『 広 説 仏 教 語
』)
( 二十 五
)
断 無
「 断 無 の 見
」 は 断 見 の こ と
。「 叢 書
」 頭 注
( 五
) を 参 照
。
( 二十 八
)
真 あ る が ま ま
。(
『 広 説 仏 教 語
』)
( 二十 九
)
化 度
衆 生 を 教 化 し 済 度 す る こ と
。
(
『 新 潮
・ 現 代 語 古 語
』)
( 二十 九
)
根 感 覚 器 官
( 眼
・ 耳
・ 鼻
・ 舌
・ 身
)。 ま た そ れ に よ る 認 識 能 力
( 意
)
。
(四十九)
( 三十
)
三 毒 人 の 善 心 を 害 す る 三 種 の 迷 い
。 貪 欲
・
瞋 恚
・ 愚 痴
。
(
『 新 潮
・ 現 代 語 古 語
』)
( 三十
)
計 度 か ぞ え は か る
。
(
『 大 漢 和
』
)
( 三十 二
)
無 自 性 そ れ 自 体 が な い こ と
。
(『 広 説 仏 教 語
』)
( 三十 三
電)
『 説 文 解 字
』に よ る と
、「 雨
」と
「 申
」(
= い な び か り
)か ら 構 成 さ れ る(『
漢 辞 解
』)
。 こ の
「 電
」 の 訓 を
、 こ の よ う に 読 ん で み た
。
( 三十 八
)
直 指 見 性 直 指 は
、迂 遠 な言 語 文 字 を も
、い ろ い ろ な 手 段 を も 用 い ず
、端 的 に ま っ す ぐ に そ の も の を 示 す こ と
。見 性 は
、真 の 自 己 に 気 が つ く こ と(
『 広 説 仏 教 語
』)
。
「 直 指 人 心
、 見 性 成 仏
」 を 略 言 し た も の
。
( 三十 八
)
理
、 事 は
、 左 の
「 事 理
」 参 照
。
( 三十 九
)
事 理 千 差 万 別 の 現 象 と
、 唯 一 平 等 の 真 如
(
『 新 潮
・ 現 代 語 古 語
』)
。 現 象 世 界 と 究 極 の 境 地
(『 広 説 仏 教 語
』)
。
( 三十 九
「)
叢 書
」に は「 理 雖
二
頓 悟
一、 乘
レ
悟 併 消
レ事
、非
レ
頓 除
レ因
、 次 第盡
」と あ る が
、『 禅 門 法 語 集
』 に は 句 読 も 返 り 点 も つ け て い な い
。「 叢 書
」 の 句 読 と 返 り 点 は 誤 り と し て こ
(五十)
れ を 削 除 し た
。な お『 楞 厳 経
』の 原 テ キ ス ト は「 理 則 頓 悟
、乘 悟 併 銷
。事 非 頓 除
、因 次 第 盡
。」 で あ る(
「 理 と し て 則 ち 頓 悟 な り
、乘 と 悟 と 併 び に 銷 す
。事 と し て 頓 除 す る に 非 ず
、 次 第 に 因 り て 盡 く
」)
。(
「 銷
」 は
「 消
」 に 通 じ る
。
)
( 三十 九
)
上 根
「 根
」は 前 注
( 二 十九
「)
根
」参 照
。ま た「 機 根
」( 教 え を 聞 い て 修 行 し う る 能 力
=
『 広 説 仏 教 語
)』
を 指 す 場 合 も あ る
。そ れ を 上 下 に わ け て
、悟 り の 能 力 の す ぐ れ た も の を 上 根 と い う
。
( 四十
)
り か ん
( 利 勘
) 損 得 を 計 算 し て か か る こ と
。 ま た
、 そ の 考 え の 強 い こ と
。
(
『 新 潮
・ 現 代 語 古 語
』)
( 四十 一
)
な る 程 実 義
「 な る 程
」 は
、 で き る 限 り
。「 実 義
」 は
、 誠 意
。 ま ご こ ろ
。
(
『 新 潮
・ 現 代 語 古 語
』)
( 四十 一
)
そ が ひ
( 背 向 ひ
) 背 の 方 を 向 き 合 わ せ た さ ま
。 背 中 合 せ
。(
『 岩 波 古 語
』)
( 四十 四
)
本 覚 本 来 備 わ っ て い る 清 浄 な 性 質
。
(
『 新 潮
・ 現 代 語 古 語
』)
(五十一)
参 考 文 献
[
転 写 底 本]
・ 鷲 尾 順 敬 編 輯
『 国 文 東 方 仏 教 叢 書 第 2 輯 講 說 部
』( 東 方 書 院
、 昭 和 五 年
)
[
転 写 参 照]
・ 山 田 孝 道
・ 森 大 狂 校 訂
『 禅 門 法 語 集 下 巻
』( 光 融 館
、 大 正 六 年
。[ 覆 刻 版
= 至 言 社
、 昭 和 四 十 八 年]
)
[
一 般]
・ 玉 城 康 四 郎
『 日 本 の 禅 語 録 第 十 六 巻 盤 珪
』( 講 談 社
、 昭 和 五 十 六 年
)
・ 中 村 元
・ 紀 野 一 義
『 般 若 心 経
・ 金 剛 般 若 経
』[ ワ イ ド 版 岩 波 文 庫 8]
( 岩 波 書 店
、 1 9 9 4 年
)
(五十二)
[
辞 典]
一 般 辞 典の 場 合 は掲 載 あ るか ぎ り
、「 仏 教 語 の意 義
」 なる も の をと っ た
。
・『 岩 波 古 語
』 大 野 晋 他 編
『 岩 波 古 語 辞 典
』( 岩 波 書 店
、 1 9 7 9 年
)
・『 漢 辞 海
』 佐 藤 晋
・ 濱 口 富 士 雄 編
『 全 訳 漢 辞 海
』( 三 省 堂
、 2 0 0 6 年
)
・『 広 説 仏 教 語
』 中 村 元
『 広 説 仏 教 語 大 辞 典
』( 東 京 書 籍
、 平 成 十 三 年
)
・『 三 省 堂 全 訳 読 解 古 語
』 鈴 木 一 雄 編
( 代 表
)『 三 省 堂 全 訳 読 解 古 語 辞 典 第 二 版
』( 三 省 堂
、 二
〇
〇 四 年
)
・『 新 潮・ 現 代 語 古 語
』 山 田 俊 男 他 編『 新 装 改 訂 新 潮 国 語 辞 典
― 現 代 語・ 古 語
―
』( 新 潮 社
、 昭 和 六 二 年
)
・『 新 明 解 漢 和
』 長 澤 規 矩 也 他 編
『 新 明 解 漢 和 辞 典
― 第 四 版
』( 三 省 堂
、 一 九 九
〇 年
)
・『 大 漢 和
』 諸 橋 轍 次
『 大 漢 和 辞 典 修 訂 版
』( 大 修 館 書 店
、 昭 和 六 十 年
)