4. 考察
4.3. 生産性向上の課題
4.3.3. 分業化する協力会社
・ 建設業では多種多様な部材を扱うことから、それぞれの工事を行う協力会社が分業化 している。しかし、工程の同期化は職種が増加するほど困難である。これまでユニット 化や揚重システムの改良といった様々な職種・工種削減の取組みが行われた。神戸商工 貿易センタービルでは各協力会社が用意していたホイストを建設会社が用意し統一す ることで無駄を削減し、梅田センタービルではトイレを極限までユニット化することで 現場での取付を1社で行っている。しかし、数々の取組みが行われたにも関わらず、依 然無駄が存在しているとの指摘が見られた。梅田センタービルの施工管理者は、自身が 実現できなかった課題として作業の統合、多能工の育成があると述べた。実際に躯体関 係の協力会社に多能工を養成させた例があるが、賃金や契約形態が折り合わず断念して いる。職人の技能を全て建設ロボットに置き換えることは、今後しばらく大きな効果は 得られないと予測でき、技能工の減少が明らかな現状で多能工による職種の統合は避け て通ることの出来ない課題である。職種を統合することにより前後作業の無駄の削減、
さらに作業工程がみえやすくなるといった効果が期待できる。しかし協力会社では協力 会社単体での多能工育成は無理があると述べており、建設会社が協力して取り組むべき だと考えられる。
5章 まとめ
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5. 5 章 まとめ
5章 まとめ
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・ 本研究では、1960~1980年代の高層ビルに関して資料調査及び技術者へインタビュー 調査を行い、生産性向上における取組みの変遷及び具体的な実例を明らかにした。その 結果から、今後生産性を向上させるうえでの課題と方策を考察した。
・ 生産性向上の取組みの背景には需要の増加・職人の減少といった社会的な背景が大き く影響し、時勢に合わせた開発が行われていた。ほとんどの大型建設機械は 1960年代 に開発され、その後も改良による性能向上の傾向がみられた。また、1968年竣工の霞が 関ビル建設を皮切りに、高層建築に適した工業化工法が数々開発された。1970年代は品 質、安全等の施工管理に注目が集まり、施工現場の環境が大幅に向上した。施工現場へ のコンピュータ利用も始まり、システム管理への一歩を歩み出した。1980年代には深刻 な職人不足を受け、建設ロボットや全自動施工の開発がみられたが、多くは普及してい ない。
・ 以上の調査結果を踏まえ、生産性向上に取り組む際の課題を挙げた。現時点で生産性 を評価できる指標はなく、記録も残しにくい構造的な問題がある。その為、施工者が生 産性向上の取組みの存在自体を把握してない場合があり、積極的な採用に繋がっていな かった。また、工法の採用は設計時に行われ、施工時に変更することは困難な場合が見 られた。その為、設計者が生産性向上の取組みを理解し、設計時に取り入れていく必要 がある。施工現場に存在する無駄を排除する為には協力会社との体制を考え直す必要も あり、これらの課題を解決していくことが期待される。