第4章 合体計算
4.4 磁気リコネクション
今回リコネクションの評価にあたり,4.3節で示した高解像度計算の結果を用いる.使用
した式は4.3.3節で示した式と同様であるが,基本的な積分範囲は高解像度領域内としてい
る.
高解像度領域におけるローレンツ力の時間変化をFig. 4-23に示す.高解像度領域全域で 計算した結果を黒線,セパラトリクス内のみで計算した結果を赤線で示している.高解像 度領域全域とセパラトリクス内のみでのローレンツ力はともに18.0μs からの増加が顕著で あり, 衝突時に強くでている結果であった.20.7μs時において両者は最大値を観測してお り,プラズマによるローレンツ力は全体におけるローレンツ力の 77%を占める結果となっ ていた.一度ピークをとった後は緩やかに減少していく結果となっていた.
そこで各時間における合体領域での磁場構造とローレンツ力分布をFig. 4-24に示す.今 回出力したのはローレンツ力の軸方向成分である.合体前の20.0μsではローレンツ力は負
→正→負→正と交互に分布している.最外殻付近でのローレンツ力は合体に向かう方向に 働いているものの内殻では合体とは反対の方向に分布している.21.8μsでは合体に向かう力 は薄く分布するのみになっており,時間経過とともに合体に向かう力が減少していること が見て取れる結果になった.25.4μsではローレンツ力分布のほぼ消失しており,合体に向か う力が残されていないことが分かった.
Fig. 4-23 高解像度領域におけるローレンツ力の大きさについての時間変化.
69 平衡の観点から圧力勾配分布について出力したのがFig. 4-25である.今回出力したのは 圧力勾配の軸方向成分である.圧力勾配分布をみるとFig. 4-24とほぼ同様の分布になって いることが分かる.移送・合体という特殊な条件下ではあるものの,平衡という観点から バランスを保とうとするならば当然の結果のように考えられる.セパラトリクスのコア部 分に近い領域ではセパラトリクス外殻部よりも圧力勾配が大きくでていることがわかる.
これはFRCの持つ高ベータという特徴や移送による圧力構造の偏りに起因するものである と考えられる.
Fig. 4-24 合体領域におけるローレンツ力分布.
70 分布に大きな際は生じていないものの,値の大きさに差異が生じていたため,差分をと って検証を行なった.ローレンツ力から圧力勾配の値を引くかたちで出力したのがFig. 4-26 である.Figure 4-26の上図が差分結果分布であり,o-point軸上における一次元分布が下図 である.分布を見るとローレンツ力分布,圧力勾配分布と反転した分布になる結果となっ
た.Figure 4-26の分布が平衡の式の差分結果であるということは,言い換えれば事実上FRC
に働く力のトータルであると考えられる.特筆すべきはO-pointに近い内殻部分では合体に 向かう力が働いている反面,X-point付近のセパラトリクス外縁部では合体とは逆の方向に 力が働いていることである.
Fig. 4-25 合体領域における圧力勾配分布.
71 Fig. 4-26 合体領域におけるローレンツ力-圧力勾配差分分布,
(上)差分結果分布,(下)o-point軸上での一次元分布.
72 またリコネクションにおいて上流側の圧力と下流側の圧力の関係はリコネクションのし やすさに影響する.一般的に上流側はリコネクション点のインフローが生じる側であり,
下流側はリコネクション点のアウトフローが流れる方向とされる.上流側の圧力が下流側 の圧力より高い場合はリコネクションが促進されるとされ,上流側の圧力より下流側の圧 力の方が高い場合,リコネクションはそれ以上進まないと考えられている.しかしこの議 論をする上で上流と下流の定義が重要になってくるが一般的な明確な定義はなされていな いため,本研究では特定のポイントにこだわらず分布において述べることとし,下流側の 圧力を述べる際には軸側の圧力について述べることとする.
本計算における衝突直前の20.0μsから25.4μsまでの圧力分布Fig. 4-27に示す.20.0μsで の上流側の圧力は下流側の圧力よりも高くなっているのに対し,23.6μsには上流側の圧力と 下流側の圧力の圧力がほぼ等しい分布となってしまっている.この原因の一因にはFRC衝 突後の反発現象によって圧力のピークが高解像度領域の外側に流れ,高解像度領域の圧力 分布が平坦になってしまっていることも考えられる.
Fig. 4-27 合体領域における圧力の時間変化.
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次にFig. 4-28に示す電流密度分布について述べる.リコネクションにおける電流シート
はFig. 4-2に示すように磁力線がつなぎ変わる箇所におけるシート上の電流を指すが,本検
証では「電流密度の値が負の箇所」という定義をする.
21.8μsでの電流シート幅は計算メッシュ数にして12メッシュ分存在している.これは4.1
節の非高解像度計算において 1 メッシュのみであったことを考慮すると,拡散領域におけ る電流シート幅として十分な幅があると考えられる.しかし 23.6μs では電流シート幅は 4 メッシュ分となっており,25.4μsでは完全に消失している.一般的にリコネクション時には 電流シートが発生するものとされているが,本研究ではo-pointの合体が終了する前に電流 シートが減衰しており,リコネクションが進みにくい構造が生まれていると考えられる.
Fig. 4-24 に示したローレンツ力も電流シートの減衰とともに減少していることからも合体
がコア部分まで行かない原因の一因となっていると示唆される.
本研究では異常抵抗を再現するために電流密度に依存する抵抗の関数を与えている.し かし電流密度の減衰とともにFig. 4-29に示すように抵抗分布も減衰していることが分かっ た.そのため21.8μs付近ではPetcheck型の早いリコネクションが発生し,磁力線のつなぎ
Fig. 4-28 合体領域における電流密度分布の時間変化.
74 変えが促進されるものの25.4μsではほぼ均一な抵抗分布になってしまい Sweet-Parker型の 遅いリコネクションになってしまっているものだと考えられる.
高解像度領域における温度分布についてFig. 4-30に示す.結果を見ると磁力線構造に沿 う形でプラズマは加熱されており,x-point 付近における加熱効果が高いことが分かった.
しかしLamy Ridgeコードによるシミュレーション結果に示されるような磁気リコネクショ
ン後のプラズマのコア部分に対する加熱効果は観測されなかった.
Fig. 4-29 合体領域における抵抗の時間変化.
75 Fig. 4-30 合体領域における温度分布の時間変化.
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